2009-01-01から1年間の記事一覧

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その9

(承前) 続いては、三人の書評七福神が名前を挙げた作家を紹介したいと思います。さすがに、これはという定番の名前が挙げられていますね。 【3人が選んだ作家】 94『狩りのとき』スティーヴン・ハンター/公手成幸訳(扶桑社ミステリー)1998年刊行。 ハ…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その8

ここからはちょっと趣向を変えて、リストの重複作品をご紹介していきたいと思います。まずは、2人の書評家が名前を挙げた作家と作品からです。 【2人が選んだ作家】 76『狼殺し』クレイグ・トーマス/竹内泰之訳(河出文庫)1978年刊行☆ スパイ冒険小説の…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その7

(承前) 個人リストの最後は杉江松恋です。 【杉江松恋のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。 59『庭に孔雀、裏には死体』ドナ・アンドリュース/島村浩子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)1999年刊行 好感の持てる主人公、彼…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その6

(承前) ラス前は霜月蒼のリストからお送りします。【霜月蒼のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。 51『グリーンリバー・ライジング』ティム・ウィロックス/東江一紀訳(角川文庫)1994年刊行 刑務所で暴動が発生、外界か…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その5

(承前) そして吉野仁のリストです。【吉野仁のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。 39『黄色い部屋の謎』ガストン・ルルー/宮崎嶺雄訳(創元推理文庫)1907年刊行 子供の頃から海外探偵小説に親しんでいる方なら、すでにこ…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その4

(承前) 4番手は村上貴史リストです。 【村上貴史のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。 32『高い砦』デズモンド・バグリイ/矢野徹訳(ハヤカワ文庫NV)1965年刊行 飛行機はアンデス山脈の高地に不時着した。下山しよ…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その3

(承前) 続いては川出正樹リストから。 【川出正樹のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。 22『ながい眠り』ヒラリー・ウォー/法村里絵訳(創元推理文庫)1959年刊行 アメリカの郊外住宅地(サバービア)に、本格ものと警…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その2

(つづく) 続いて千街晶之のリストです。 【千街晶之のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。 13『ナイン・テイラーズ』ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子訳(創元推理文庫)1934年刊行 大晦日が関係するミステリというこ…

年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その1

2009年10月の開設以来、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」はみなさまの多大なるご支持をいただいてまいりました。感謝の気持ちをこめて、大晦日特別ブックガイドをお届けします。7人の書評七福神が事前打ち合わせ全く無しに「年末年始の休みに読むべきベス…

第一回翻訳ミステリー大賞授賞式&年末年始更新予定のお知らせ

翻訳ミステリー大賞シンジケート管理人兼編集人の杉江松恋です。 いつも当サイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。開設以来、多数の方からご愛顧を頂きましたことを心より感謝申し上げます。2010年が皆様にとって良い年になりますよう、お祈り…

第二回はハーラン・コーベンの巻(執筆者・三角和代)

80年代最★の曲だと思うものは次のどれか(アラフォー以下の人は検索してみてね)。 1.スターシップ「シスコはロックシティ」 2.Mr.ミスター「ブロークン・ウイングス」 3.カジャグーグー「君はToo Shy」 今回ご紹介するのは、へヴィな事件に巻きこまれ…

扶桑社12月の新刊

『消えた核を追え』(上・下) スティーヴン・クーンツ 北澤和彦/訳 定価940円 ISBN: 9784594061173、9784594061180 軍事スリラーの第一人者スティーヴン・クーンツ、待望の新作です。 ロシアの軍人が、核ミサイルの弾頭部分を闇市場で売却。核爆弾4発…

川副智子のイチ押し本

『サーカス象に水を』 サラ・グルーエン(Sara Gruen)/川副智子訳 ランダムハウス講談社 発売日:2008/7/10サーカス象に水を作者: サラグルーエン,川副智子出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2008/07/10メディア: ハードカバー…

翻訳ミステリーの子供・小路幸也さんの巻 最終回(構成・杉江松恋)

小路幸也さんをお招きしての「週末招待席」もついに最終回になってしまいました。お忙しい中、時間を割いて質問に答えてくださった小路さんには心から感謝します。実はこのインタビュー、直接お会いしてのものではなくて、メールの質疑応答を会話の形に起こ…

翻訳ミステリーの子供・小路幸也さんの巻 第七回(構成・杉江松恋)

小路幸也さんをお招きしての「週末招待席」も残すところあと一回。今回は、小路さんの翻訳ミステリー観をお聞きしてしまいます。日本語で書かれたのではない海外文学を日本語で読むことの意味や、翻訳文体と言われるものに対する気がつかなかった指摘など、…

早川書房発のひとりごと(執筆者・早川書房編集部H・K)

年末を迎えて、毎度想うこと 社によって違うでしょうが、早川書房は28日までが通常営業。29日午前中は、建前上は業務ですが、午後からの大掃除に備えての「臨戦態勢」に入ります。 入社以来ン十年になりますが、私がもっとも嫌なのが、この大掃除というやつ…

書評七福神の12月度ベスト発表!

書評七福神とは!? 今月もやってきました「書評七福神」のコーナー。今回から千街晶之さんが池上冬樹さんと交替で新メンバーに加わります。翻訳ミステリーが好きで好きでたまらない七人が選んだ、今月のお薦めはいかに……? (ルール) この一ヶ月で読んだ中…

私設応援団・これを読め!『黒猫ルーイ、名探偵になる』(執筆者・上條ひろみ)

『黒猫ルーイ、名探偵になる』 キャロル・ネルソン・ダグラス/甲斐理恵子訳 ランダムハウス講談社文庫黒猫ルーイ、名探偵になる (ランダムハウス講談社文庫)作者: キャロンネルソンダグラス,甲斐理恵子出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: …

私には『ミレニアム』が「無駄が多い」「薄っぺらい」「嘘臭い」「雑多」な小説とは思えない。あるいは、『ミレニアム』を批判する私という存在の謎 その1(執筆者・小山正)

※編集部注:12月8日に酒井貞道さんから寄稿いただいた「問題提起・ミレニアム三部作は本当に傑作なのか?」について、各論者に反論あるいは擁護の打診を致しましたが、執筆のお約束はいただけませんでした。今回の小山正さんご寄稿が、酒井論に対する最初の…

私には『ミレニアム』が「無駄が多い」「薄っぺらい」「嘘臭い」「雑多」な小説とは思えない。あるいは、『ミレニアム』を批判する私という存在の謎 その2(執筆者・小山正)

(承前) 私の場合、『ミレニアム』が本当にすばらしいと思う理由は、単行本『ドラゴン・タトゥーの女』下巻の後書きでも長々と書いたし、昨年刊行された『ミステリが読みたい!2009年版』(早川書房)でもさんざん語ったので、詳細は省略させて戴く。い…

私には『ミレニアム』が「無駄が多い」「薄っぺらい」「嘘臭い」「雑多」な小説とは思えない。あるいは、『ミレニアム』を批判する私という存在の謎 その3(執筆者・小山正)

(承前) また、酒井氏はジャーナリズムの扱いに関し、 「彼らのジャーナリズムや自分たちの立場に対する楽天的な信頼は、二十一世紀の小説にしてはあまりにも能天気である。これは、わかりやすい悪徳企業や政府権力を敵にしたことで、「何が正義なのか」と…

カンパ報告 2009年12月度

カンパを求める告知をし、郵便振替口座番号を公表してひと月ほどのあいだに、何人もの方々から温かいご支援を賜りました。 まさしく浄財をお預かりし、身の引き締まる思いです。今後、心して『翻訳ミステリー大賞』および本サイトの運営に有効に利用させてい…

第1回 アリステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』の巻その1(執筆者・東京創元社編集部S)

『ナヴァロンの要塞』 アリステア・マクリーン/平井イサク訳 ハヤカワ文庫NVナヴァロンの要塞 (ハヤカワ文庫 NV 131)作者: アリステア・マクリーン,平井イサク出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1977/02/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 10回この商…

第1回 アリステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』の巻その2(執筆者・東京創元社編集部S)

(承前) 以上を理解したころには、当初の難しそうというイメージは吹っ飛んでおりました。「おおお、面白い!」と電車の中で読みながら興奮。マロリー大尉たちの任務には1200人の命がかかっているわけですよ。なんというかこう、問答無用でわくわくしてくる…

ヴィレッジブックス 12月の新刊 その2

『バットマン:イヤーワン/イヤーツー』/BATMAN:YEAR ONE / YEAR TWO フランク・ミラー(Frank Miller)、マイク・W・バー(Mike W.Barr)/秋友克也、石川裕人・訳 定価3,360円(税込)/09年12月19日/ISBN:9784863322097 バットマンの誕生と…

会心の訳文・第六回(執筆者・東江一紀)

会心というより、腐心、専心、執心、乱心の末のぎりぎり(無理やり)得心もしくは放心、というような例を。 "Disiz a cute lihul place yoo got heah. Gawd, izit faw ehough away from evryting, or what. Oi mean, we drove an drove an drove an drove an…

翻訳ミステリーの子供・小路幸也さんの巻 第六回(構成・杉江松恋)

小路幸也さんをお招きしての「週末招待席」第六回。今回はちょっとマニアックな内容です。影響を受けた作家として小路さんはアーウィン・ショー、デイモン・ラニアン、マイクル・Z・リューインの三人を挙げられました。ではその三人について、初心者でもわ…

翻訳ミステリーの子供・小路幸也さんの巻 第五回(構成・杉江松恋)

小路幸也さんをお招きしての「週末招待席」も折り返し点を過ぎました。前回は、小路さんのファンなら聞き逃せないキーワードも飛び出しましたね。さて今回は、改めて小路作品の根幹についてお聞きしたいと思います。翻訳ミステリーとの出会いが、作家小路幸…

第1回翻訳ミステリー大賞1次投票、第9位の作品は…… その3(執筆者・村上貴史)

『バッド・モンキーズ』 マット・ラフ/横山啓明訳 文藝春秋バッド・モンキーズ作者: マットラフ,Matt Ruff,横山啓明出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/10/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 773回この商品を含むブログ (33件) を見る 白い壁。白…

早川書房発のひとりごと その1(執筆者・ミステリマガジン編集部 M・K)

《ミステリマガジン》という翻訳を中心としたミステリ雑誌の編集をしているM・Kです。今回は「ミステリマガジンの作り方」について、少々お話しさせてください。これを読めば、あなたも《ミステリマガジン》が作れる!? さて、《ミステリマガジン》は、大き…