2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
『Yの悲劇』/The Tragedy of Y エラリー・クイーン(Ellery Queen)/越前敏弥訳 定価740円(税込)/2010年 09月 25日発売 ISBN:9784042507161 推理小説史上、最高傑作と呼ばれる大作が、ついに新訳で登場! 大富豪ヨーク・ハッターの死体がニューヨークの港…
『愛おしい骨』/Bone by Bone キャロル・オコンネル(Carol O'Connell)/務台夏子・訳 創元推理文庫/定価1260円(税込)/9月11日/ISBN:978-4-488-19512-0 十七歳の兄と十五歳の弟。二人は森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷し…
ハヤカワの担当さんから、翻訳ミステリについてのコラムをいただけませんか、と頼まれた。 翻訳!? ただのミステリだけでも私のような者には敷居が高いのに、そこに海外が加わるの!? …と、初めからかなりの及び腰の私。だがしかし権力には逆らえず、とり…
エルサレムの秘宝を発見せよ!(上下)/Corsair クライブ・カッスラー&ジャック・ダブラル[著]/伏見威蕃[訳] ISBN:9784797355291(上) ISBN:9784797355307(下) 定価各630円(税込) 刊行日:2010年9月25日/[SB文庫] 幻の文書、伝説の宝玉――古の真実が、世界平…
最終回のテキストは、ケン・ブルーエンの『ロンドン・ブールヴァード』。とぼけた会話や、そこはかとないおかしみのある独白が随所にちりばめられ、ブルーエン(ブルーウン)の魅力がもっともストレートに表われた軽妙なクライム・ノベルだ。ブルーエンをま…
『ニューヨーク十二番地の呪い イヴ&ローク番外編』/THREE IN DEATH J・D・ロブ(J.D.Robb)/青木悦子 訳 定価861円(税込)/2010年9月18日発売 ISBN:9784863322738 いま初めて明かされる イヴとロークの三つの物語! マンハッタンで一人の男が無惨な射殺体…
『湖は餓えて煙る』/Starvation Lake ブライアン・グルーリー(著)/青木 千鶴(訳) ISBN:978-4-15-001839-9/刊行日:2010/09/09 定価1,995円(税込)/ハヤカワ・ミステリ 寂れゆく田舎町で、挫折にまみれた地元紙記者が追う町の英雄の死の真相とは――…
前回「甘い! アマンドのミルクココアより甘い!(というようなセリフが『パタリロ!』になかったっけ?)」と書いたら 「 甘い甘い!まるでルノアールのココアのようだ」 江口寿史「すすめ!パイレーツ」です というコメントをいただいた。ご指摘ありがとう…
猫はかわいい。じっと見つめられるとドキドキしてしまう。犬の落ちつきのなさもまたかわいいものだが、猫の落ちつきは見ているこちらにも鎮静効果をもたらす。かどうかは知らないが、なんであれかわいいものを見ていると癒される。 先日ペットショップで子猫…
ドン・ブライン、誰それ? とつぶやいたそこのきみ、早口にて10回連続で唱えてみましょう。原書レビュー枠は、これおもしろいんだけどなぁという作品を真剣に真摯に力説モードで紹介していますが、連日の猛暑につき今回は夏休みモードをチョイス。日頃がんば…
25年前、早川書房の編集者から、「いまアメリカで話題の、女性探偵が主人公のハードボイルドがあるんですが、訳してみませんか」というお話があった。 「あの〜、わたし、ハードボイルド、苦手なんですけどォ……」 「じゃ、ハードボイルドだと思わずに訳しま…
翻訳者が自分の訳書を評するスタンスは、絶賛する、褒める、ノーコメントの3通りしかない。仕事である以上、さまざまな経緯から、不本意ながら引き受けざるをえないこともあるけれど、仮にも自分の訳書として世に出る以上は一定の評価をしてもらいたいのが…
『ブーリン家の姉妹3 宮廷の愛人』上・下/THE VIRGIN’S LOVER フィリッパ・グレゴリー(Philippa Gregory)/高里ひろ・訳 集英社文庫/定価各820円(税込)/2010年9月17日発売/ISBN(上)978-4-08-760610-2 (下)978-4-08-760611-9ブーリン家の姉妹 3 宮廷の愛…
6人の容疑者(上・下)/Six Suspects ヴィカース・スワループ(Vikas Swarup)著/子安亜弥訳 武田ランダムハウスジャパン/定価 上・下巻各1890円/刊行日2010/09/15 ISBN:(上)9784270006023/(下)978427006030 アカデミー賞8冠『スラムドッグ$ミリオ…
みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか、って聞くまでもないですね。暑くて暑くてやってられるかー! って感じですね。ちなみに私の部屋にはクーラーがありません。溶けます。こんなに汗をかいて、食欲もおちているのに、すっかりさっぱり痩せないの…
書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。 おひさしぶりです。今月は大幅に遅れてしまい、申し訳ありませんでした。それにしても八月は傑作揃いでした。このまま年末に向けて新作ラッシュが続くのでしょうか。嬉しい悲鳴を…
相変わらずの暑さは続きますが、朝夕に虫の声も聞かれるようになり、秋らしい天候が近づいてまいりました。 八月には、当サイト主催の〈真夏の読書探偵〉コンクールに、告知・宣伝など多大なご尽力をいただき、誠にありがとうございます。北上次郎さんには「…
北上さんは次のように指摘しています。 (以下引用) 「熱い書評」を読んで本を買いに行く読者に対し、「自分自身で傑作を探せよお」と君は言っているのだ。なのに、作家に「熱く語ってもらう」機会を作ることが解決につながるというのは論理的に矛盾してい…
カンパ報告 2010年8月度(9月13日現在) 以下の方よりカンパをちょうだいしました。 心からお礼申し上げます。 ヨダ・ヨウさま 匿名希望の方一名 合計金額(9月13日現在)――435549円 翻訳ミステリー大賞運営事務局
ああ、ついに来てしまった。「会心の訳文」の原稿依頼。 といっても、もちろん、来るぞ、来るぞと思いながらじりじりしていたわけではない。まさか来るとは思ってなかったの。まさに青天の霹靂。会心の訳文なんて、そんな恐れ多い、と思いつつも、敬愛する同…
2010 Shamus Award Nominees Best Hardcover PI Novel The Silent Hour, by Michael Koryta (Minotaur/St. Martin's) Where the Dead Lay, by David Levien (Doubleday) Locked In, by Marcia Muller (Grand Central) Schemers, by Bill Pronzini (Forge) My…
第11回「捨て身の高校教師が悪の道にずぶずぶとはまり込んでいく、 黒い笑いに満ちたドラマ『ブレイキング・バッド』」 前回、「最近のエミー賞はケーブルテレビ局製作のドラマが強い」というような話を書きましたが、先日のエミー賞授賞式でも、コメディ…
吉野仁氏への質問のつもりが だんだんズレてしまったが 大事なことなので書いておこう ミステリマガジン誌上で「翻訳ミステリ応援団!」という座談会を1年以上にわたってやっていたことがある。これは翻訳家の田口俊樹が、翻訳ミステリー冬の時代を何とかし…
三階までのぼると流水の音が聞こえてきた。バスタブのまわりに蝋燭が立ててあるのを見て、わたしは今夜ジャックがどう過ごすつもりか理解した。彼がすでにバスタブのなかにいて、胸まで泡につかっているのも決定的な証拠だ。 これは先日刊行されたマーガレッ…
「翻訳ミステリー9月の読書会のお知らせ」でご案内した、9月11日(土)の「出版翻訳ネットワーク有志」主催による『黒竜江から来た警部』(サイモン・ルイス/RHブックス・プラス)の読書会につきまして、スタッフの方から以下の告知願いがありましたので、急…
追跡する数学者/The 351 Books of Irma Arcuri デイヴィッド・ベイジョー(著)/鈴木恵(訳) ISBN:978-4-10-217651-1/刊行日:2010/09/01 定価 900円(税込)/新潮文庫 蔵書、数式、官能。 “数の天才”が351冊の謎に挑む知的ミステリー。 数学者フィリ…