2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

偵察任務#03:スティーヴ・ハミルトン『解錠師』(執筆者・矢口誠)

2005年ごろから、わたしは親戚の集まりや同窓会がキライになった。そういう席に顔を出すと、かならず誰かが「なあ、マコトォー、おまえも早く『ダ・ヴィンチ・コード』みたいなの訳せばぁー?」と茶化すようになったからだ。酔っぱらってすっかりデキあがっ…

あしたはあしたの風が吹く(執筆者・高山真由美)

第4回 アッティカ・ロックをめぐるあれこれ 夜明けで終わる物語が好きです。 空の色が徐々に変わり、夜が朝に取って代わられるとき、つかのま幻が見えたり(あるいは幻が消えたり)、主人公の心境に変化があったりする。 つい最近ではあれがそうでした(ネ…

「真夏の読書探偵」作文コンクール 配布用推薦リスト&フライヤー3種完成!

今年の「真夏の読書探偵」作文コンクールでは、出版社39社から推薦書を紹介していただき、先週末に5回に分けて掲載しました(全体リスト、詳細その1、詳細その2、詳細その3、詳細その4)。 これをまとめたPDF版ができましたので、ここに掲載します。…

集英社文庫7月の新刊

天使のゲーム(上下)/El juego del 〓ngel (2008) カルロス・ルイス・サフォン Carlos Ruiz Zaf〓n/木村裕美訳 定価:上=945円、下=872円(税込)/発売年月日:2012年7月20日 ISBNコード:上= 978-4-08-760646-1、下= 978-4-08-760647-8天使のゲーム 上 …

藤原編集室通信(出張版) 第10回(最終回)

或る日の編集室――業務日誌より ×月×日 『少年少女昭和SF美術館』(平凡社)の収録予定本が三箱、Oさんから届く。昭和20〜50年代のSF児童書、最終的には400点前後になるか。早速、スキャナーにかけて画像データ化にとりかかる。星を散りばめた宇宙空間に銀色…

ヴィレッジブックス&講談社文庫7月の新刊

わたしが眠りにつく前に/ Before I Go to Sleep (2011) SJ・ワトソン (SJ. Watson)/棚橋志行訳 定価・924円(本体価格880円+税)/発売日:2012/07/20 ISBN: 978-4-86332-393-3わたしが眠りにつく前に (ヴィレッジブックス)作者: SJ・ワトソン,棚橋志行…

#6『五匹の赤い鰊』

ピーター卿の成長を追う試みもいよいよ後半戦に入った。今回はシリーズ第六作、『五匹の赤い鰊』(創元推理文庫、浅羽莢子訳、1931)である。五匹の赤い鰊 (創元推理文庫)作者: ドロシー・L・セイヤーズ,浅羽莢子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1996/06…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第八十三回(執筆者・霜月蒼)

ベルリン限定・冷戦下スパイ小説ベスト5(執筆者・古山裕樹)

ベルリンの壁が崩れたころは高校生だった。翻訳ミステリーに興味を抱いたのもそのころだ。だから、 数々のスパイ小説に出会ったころには、「冷戦が終結したのでスパイ小説もおしまい」なんて烙印を押されていたのだ。……どんな烙印を押されていても、その魅力…

あしたはあしたの風が吹く(執筆者・高山真由美)

第3回 ジェラルディン・ブルックスをめぐるあれこれ 読むぶんにはとくに問題なくさらりと読めるのに、いざ訳そうとするととても日本語にしづらいテキスト、というのがあります(あくまで当社比です)。ジョー・R・ランズデールの文章がそうでした(短篇を…

読書探偵作文コンクール・各出版社からのメッセージと推薦書(その4)

今年の真夏の読書探偵作文コンクールでは、翻訳書を取り扱っていらっしゃる出版社39社から推薦書をあげていただきました。ご協力くださった出版社の担当者のみなさま、どうもありがとうございます。 きのうからきょうにかけて、各出版社からのメッセージと推…

読書探偵作文コンクール・各出版社からのメッセージと推薦書(その3)

今年の真夏の読書探偵作文コンクールでは、翻訳書を取り扱っていらっしゃる出版社39社から推薦書をあげていただきました。ご協力くださった出版社の担当者のみなさま、どうもありがとうございます。 きのうからきょうにかけて、各出版社からのメッセージと推…

読書探偵作文コンクール・各出版社からのメッセージと推薦書(その2)

今年の真夏の読書探偵作文コンクールでは、翻訳書を取り扱っていらっしゃる出版社39社から推薦書をあげていただきました。ご協力くださった出版社の担当者のみなさま、どうもありがとうございます。 きょうからあすにかけて、各出版社からのメッセージと推薦…

読書探偵作文コンクール・各出版社からのメッセージと推薦書(その1)

今年の真夏の読書探偵作文コンクールでは、翻訳書を取り扱っていらっしゃる出版社39社から推薦書をあげていただきました。ご協力くださった出版社の担当者のみなさま、どうもありがとうございます。 きょうからあすにかけて、各出版社からのメッセージと推薦…

真夏の読書探偵コンクール・出版社からの推薦書一覧

今年の真夏の読書探偵作文コンクールでは、翻訳書を取り扱っていらっしゃる出版社39社から推薦書をあげていただきました。ご協力くださった出版社の担当者のみなさま、どうもありがとうございます。また、多くの出版社を紹介してくださったやまねこ翻訳クラ…

第3回「"真夏の"読書探偵」作文コンクール開催!

「真夏の読書探偵」作文コンクール開催! 〜海外の小説や絵本を読んで、おもしろさを伝えよう!〜 。締め切り迫る! 9月18日(火、消印有効)です。 今年で3回目、「真夏の読書探偵」作文コンクールを開催します。去年は秋でしたが、今年は学校の夏休みに…

アイスランドで炸裂する悲劇、アーナルデュル・インドリダソン『湿地』を読め!(執筆者・大谷暁生)

翻訳ミステリーが好きな方はもちろん、ミステリーが好きな方は今すぐ購入して読んで欲しい。簡潔で無駄のない文章の本書は、抜群のページターナーぶりを発揮する一気読み必至の作品だからだ。 アイスランドの首都レイキャヴィクにあるアパートの一室で、孤独…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第八十二回(執筆者・霜月蒼)

ミステリ酒場スペシャル/ローレンス・ブロック酒場三連発 PART1 (7月24日)開催!

ミステリ酒場スペシャル ローレンス・ブロック酒場三連発 PART1 マット・スカダー編 全国のミステリファンに朗報です。 10月にあのローレンス・ブロックが来日することがほぼ決定しました(その前の9月に、新作も刊行予定)。来日記念イベントとして、10月…

初心者のためのカート・ヴォネガット入門(執筆者・YOUCHAN)

この原稿依頼が来たとき、きっとこれは私が編者を務めている『現代作家ガイド6 カート・ヴォネガット』のPRを兼ねてに違いない!と、二つ返事で快諾したところ「おお、それは良いタイミングでしたね」といったお返事が……。偶然だったようです。とはいえ、や…

武田ランダムハウスジャパン&小学館 7月の新刊

スリー・パインズ村と警部の苦い夏(ガマシュ警部シリーズ)/ A Rule Against Murder ルイーズ・ペニー Louise Penny /長野きよみ訳 定価:998円(税込)/刊行日:2012/07/10 ISBN:978-4-270-10418-7スリー・パインズ村と警部の苦い夏 (RHブックス・プラス…

最新海外ミステリーニュース20120715(執筆者・木村二郎)

スリラー賞受賞作発表 The International Thriller Writers has announced the winners for the 2012 Thriller Awards as follows: Best Novel: 11/22/63, by Stephen King (Scribner) Best First Novel: SPIRAL, by Paul McEuen (Dial Press) Best Paperbac…

ヨコハマは燃えているか―横浜読書会近況報告(執筆者・岡本真吾)

3月に開催された第2回『ローラ・フェイとの最後の会話』読書会からおよそ半年。沈黙を続けていた横浜読書会ですが、実は水面下でひっそりと活動を続けていました。その名も「スピンオフ読書会」。 「スピンオフ読書会」とは一体何か。それは横浜駅近郊の居…

原書房《コージーブックス》7月の新刊

パリのグルメ捜査官(1) 予約の消えた三つ星レストラン/The Grave Gourmet(2010) アレクサンダー・キャンピオン Alexander Campion/小川敏子訳 定価: 本体886円+税/7月10日発売 ISBN:9784562060054 予約の消えた三つ星レストラン―パリのグルメ捜査官〈1…

映画化に浮かれた頭でかんがえた「馬が語らない」ということ(執筆者・おおつか のりこ)

モーパーゴおじさん、とわたしがかってに知りあいのごとく呼ぶマイケル・モーパーゴは、ほんとうはイギリス児童文学界の大御所です。それに、第二次世界大戦中の生まれなので、ほんとうはおじさんというよりも、もうおじいさんです。 大御所ですから、これま…

書評七福神の六月度ベスト発表!

書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。 またもや刊行点数が増加した六月。しかも粒ぞろいでした。各社は談合とかしていいから、刊行ペースを均してくれないですかね。さて、この激動の一月を七福神の面々はどう過ごした…

東京創元社 7月の新刊

『はた迷惑なウェディング』/Wedding Day Murder レスリー・メイヤー(Leslie Meier)/高田惠子・訳 創元推理文庫/定価987円(税込)/7月11日/ISBN:978-4-488-24810-9 親友スーの娘が大富豪と結婚することになった。頼みこまれて自宅のあずまやを結婚…

扶桑社海外文庫7月の新刊

アルカード城の殺人 Transylvania Station(1987) ドナルド&アビー・ウェストレイク Donald & Abby Westlake/矢口 誠訳 価格:¥ 860/発売日: 2012/6/30 ISBN: 978-4594066369アルカード城の殺人 (扶桑社ミステりー)作者: ドナルド&アビー・ウェストレイク…

Film8『リンカーン弁護士』(執筆者・三橋曉)

ミステリ試写室 film 8 リンカーン弁護士 ずいぶんと待たされた気もするけど、でも調べてみると本国アメリカでの公開は去年の3月でした、マイクル・コナリー原作の〈リンカーン弁護士〉。まぁ、待つ身はツライということでしょうか。デニス・レヘインの「愛…

第十六回『踊らされた男たち』の巻(執筆者・東京創元社S)

第十六回『踊らされた男たち――大統領候補の系図を追え』の巻 みなさんこんにちは。毎度おなじみ「冒険小説ラムネ」のお時間がやってまいりました。今回は課題作がものすごくものすごく私好みで、しょっぱなからテンションMAXです。正直、今まで読んできた課…