2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

往事茫々 4 翻訳者と吞む(執筆者・染田屋茂)

こういう思い出話を書いていると、ときおり後ろめたさを感じることがある。要は、当時といまの翻訳業界の落差(格差)である。あの頃はいうなれば「翻訳バブル」、初版部数も重版の頻度も仕事の数もいまよりはるかに多かった。そんな頃の話を得々と書いてい…

第四回翻訳ミステリー大賞一次投票締切迫る!

第四回翻訳ミステリー大賞・一次投票締切は明日・30日(金)です。 ひとりでも多くのフィクション翻訳者のみなさまにご投票いただき、よりよい賞にしていきたいと事務局一同願っております。重ねてご協力のほどをお願いいたします。 ■翻訳ミステリー大賞とは…

Film9『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(執筆者・三橋曉)

ミステリ試写室 film 9 ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 怪談といえば日本じゃ夏の風物詩なのに、海の向こうのゴーストストーリーは居間の暖炉に火が入る冬が似つかわしいのは、コワイ話をめぐるお国柄の違いだろうか。というわけで、日に日に寒さが厳し…

第三十五回はチャーリー・ヒューストンの巻(執筆者:三角和代)

あのシリーズはその後どうなってるの? というモヤモヤにお応えするのが目的のひとつでもある原書レビュー枠、今回は9月に刊行されたハーラン・コーベンのスピンオフYAの続編をご紹介しようと思っていたのですが、おもしろいんだけれど1作目を読んでいない…

シャーロックレイジー(執筆者・北原尚彦)

第4回 『ドイル傑作集』完結 いよいよ今回で、わたしの出番も最終回となりました。一か月というのはあっという間ですね。次の週末は、もう師走ですよ。 一回目こそ翻訳裏話でしたが、回を追うごとにどんどん翻訳とはテーマが離れていってしまいました。です…

第三回千葉読書会レポート(執筆者・玉木亨)

自訳書読書会ドキドキ☆初体験レポート 読書会に参加したことは、一度もなし。おまけに、課題書が自分の翻訳した作品(アン・クリーヴス作『大鴉の啼く冬』)で、読書会のゲストとして招かれたとなれば、これはもうプレッシャーを感じないわけにはいきません…

第5回名古屋読書会レポート・後編(執筆者・大矢博子)

そしてようやく読書会本番 前編はここ 中編はここ 料理班19名、ギムレット班16名が一室に集まり、料理班よりスパニッシュオムレツ+ポテトサラダ+バタールが振る舞われる。飲み物はギムレットの他、『ゴミと罰』ならではの「みかんジュース」だよ。 「おい…

第5回名古屋読書会レポート・中編(執筆者・大矢博子)

ギムレットには神様が多過ぎる 前編はここ 料理班がオムレツをひっくり返していた頃、隣室ではギムレット班がへべれけになっていた。 こちらの課題図書もどき(誰も読んできてない)はレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』。あの有名過ぎるセリフ「ギム…

第5回名古屋読書会レポート・前編(執筆者・大矢博子)

証言で綴るミステリー・キッチン顛末記 ミステリー・キッチン。それは翻訳ミステリーに出てくる馴染みのない食べ物を実際に作って食べちゃおうという試み。今回は料理研究家にして料理探偵の貝谷郁子先生をお招きし、ジル・チャーチル『ゴミと罰』で主人公ジ…

理性と知性と科学に満ちた一冊――『エコー・メイカー』(執筆者・橋本輝幸)

エコー・メイカー作者: リチャードパワーズ,Richard Powers,黒原敏行出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/09メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (26件) を見る ネブラスカ州カーニーはアメリカの片田舎。名物とよべるのは渡りの途中に立ち…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第九十二回(執筆者・霜月蒼)

初心者のためのジム・トンプスン入門(執筆者・扶桑社T)

「初心者のためのジム・トンプスン入門」というお題をあたえられ、考えてみるに、なるほど世界中で高い評価を受ける特異な作家にもかかわらず、日本での売れ行きを考えると「初心者」のかたが多いのはまちがいなさそう。 そこで、最初に考えたアプローチは『…

シャーロックレイジー(執筆者・北原尚彦)

第3回 グリンペンの底無し沼のごとき古書収集 前回は洋書の話をしましたので、今回は日本の古書の話を致しましょうか。 最初に古本屋へ行くようになったのは中学生の時分で、「ミステリマガジン」のバックナンバーを買うためだったと記憶しています。エラリ…

【再掲】第四回翻訳ミステリー大賞一次投票のご案内

■翻訳ミステリー大賞とは何ですか? 2009年10月1日に設立された翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ賞です。 海外作品の原著者と日本の読者の架け橋となる翻訳家が選ぶ翻訳ミステリーという点を最大の特徴にしたいと考えております。 賞の正式名称:「翻訳…

新潮文庫11月の新刊

自白(上・下)/The Conffesion (2010) ジョン・グリシャム(John Grisham)/白石朗・訳 新潮文庫/定価:本体各710円(税別)/ ISBN:上巻=978-4-10-240929-9 下巻=978-4-10-240930-5自白〈上巻〉 (新潮文庫)作者: ジョングリシャム,John Grisham,白石…

第三回の北上氏の再反論にひとこと(執筆者・田口俊樹)

▼北上氏の再反論にひとこと 寡聞にして私、北上さんがダメ男研究の泰斗であられることを知らず、なんか地雷を踏んじゃったかなと思って恐る恐る読みはじめたんですけど、さすがダメ男をよく知るダメ男の中のダメ男ならではのおやさしいおことば(何言ってん…

#9『ナイン・テイラーズ』

さて今回は遅刻してしまってまことに申しわけありませんでした。そんなわけでちょっと間が空きながらも『ピーター卿の作り方』第八回、シリーズ中もっとも有名な大作である『ナイン・テイラーズ』の登場である。 ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)作者: ド…

第三回・田口俊樹氏『無罪』評に問う(執筆者・北上次郎)

田口 俊樹さまサビッチの浮気は2回だけ、とどうして言い切れるのですか? 無罪 INNOCENT作者: スコットトゥロー,Scott Turow,二宮磬出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09/28メディア: 単行本 クリック: 25回この商品を含むブログ (87件) を見る 「翻訳…

第十八回『樹海戦線』の巻(執筆者・東京創元社S)

みなさんこんにちは。前回の原稿を書き上げたあとに、事務局から嬉しいご連絡をいただきました。過去の記事のバックナンバーのいくつかに、〈通りすがり〉さんというかたがコメントを残してくださったそうです。おお、どんなのかな〜と読んでみたところ、あ…

シャーロックレイジー(執筆者・北原尚彦)

第2回 洋書を買う愉しみ 前回、『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』の話をしました。ではそもそも、どのようにしてその原書を見つけたかと……という訳で、今回は洋書の探し方、入手方法の話をしましょう。 わたしの若い頃は、ネ…

第一回西東京読書会のお知らせ

(11/13追記)おかげさまで満席となりました。キャンセル待ちをご希望のかたはnishitokyo.dokusho@gmail.comまでご連絡ください。 各地で読書会花盛りの今日この頃、西東京もようやく重い腰を……いや、満を持して読書会を開催いたします。司会に翻訳家の田口…

第3回クリスティー読書会 大阪・神戸・京都で連続開催!

関西翻訳ミステリー読書会主催 (翻訳ミステリー大賞シンジケート後援) 第3回 アガサ・クリスティー読書会(大阪、神戸、京都、三都市連続開催!) これまでの人気にお応えして、今回は大阪、神戸、京都の三都市で読書会を開催します。 3つのコースがあり…

第一回東東京読書会レポート(執筆者・青木悦子)

そもそもの発端は業界関係者がこぢんまりと集まった、東京東部のとある夜の酒席。 各地の読書会の話題が出るやいなや、 「東京でもあるといいよね」(←ヒトゴト)「うんうん、やってくれるといいなあ」(←ヒトゴト)「東京は広いからこっちは東支部ってこと…

 チームで翻訳! 〜百年前の本をめぐって〜(執筆者・田中亜希子)

今、わたしは日々大汗をかきながら「オズの魔法使いシリーズ」の新訳に4名のチームで取り組んでいるのですが(4名ともやまねこ翻訳クラブの会員で、内3名が訳者、1名がコーディネイター兼編集協力者です。詳しくはこちらをどうぞ)、チーム翻訳といえば…

書評七福神の十月度ベスト発表!

書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。 翻訳ラッシュも一段落し、落ち着いた感のある十月でした。年末に向け、積み残しの本の消化に忙殺されている方も多いことでしょう。そんな中、七福神たちの選択は……? (ルール) …

読書会資料傑作選・第4回 大阪『ブラック・ダリア』読書会へのメッセージ(執筆者・文藝春秋翻訳出版部N)

各地方読書会の資料傑作選、第4回は2012年4月27日に開催された第6回大阪読書会(課題書・ジェイムズ・エルロイ『ブラック・ダリア』)へ向けて、担当編集者の永嶋俊一郎氏が送った熱いメッセージを紹介します。 渾身の力作をみなさんにもそのままご覧いた…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第九十一回(執筆者・霜月蒼)

クリスティーの小説攻略完了まで、あと7冊。 今回のテキストはクリスティー文庫第90巻、『死への旅』である。 死への旅 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサ・クリスティー,奥村章子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/08/18メディア: 文庫 ク…

TVを消して本を読め!第三十六回(執筆者・堺三保/挿絵・水玉螢之丞)

第36回 正統派英国特殊部隊アクション『反撃のレスキュー・ミッション』 今月は女性読者ドン引き間違いなしの、男くさいアクションものドラマをご紹介したいと思います。たまには男性読者限定サービスってことでひとつ(笑)。 作品名は『反撃のレスキュー・…

シャーロックレイジー(執筆者・北原尚彦)

第1回 ホームズvs.ゾンビ ご指名に預かりました北原尚彦と申します。4週間、よろしくお願い致します。自分はたぶん、これまでにこのコーナーに登場した翻訳者の中でも、最も異色な部類だろう、と思います。翻訳だけでなく、創作をしたり、古本エッセイを書…

2012年10月度カンパご報告

以下の方からカンパをちょうだいしました。 心よりお礼申し上げます。 ヨダヨウさま 資金カンパにつきましては、こちらをご覧ください。 ――翻訳ミステリー大賞シンジケート事務局