2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧
書評七福神とは!?「書評七福神」とは、翻訳ミステリーが好きで好きでたまらない書評家七人のことである。 日々貪るように翻訳ミステリーを読んでいる七人に、この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者…
『最終謀略』(上・下)/Tom Clancy’s Op-Center: War of Eagles トム・クランシー & スティーヴ・ピチェニック(Tom Clancy & Steve Pieczenik) /伏見威蕃・訳 新潮文庫/定価:本体各590円(税別)/ ISBN:上巻=978-4-10-247241-5 下巻=978-4-10-247…
ロンドンの教会で和歌を詠むという風変わりな使命を果たし、今年もフランクフルトへ向かった。 フランクフルト・ブックフェアは世界最大の書籍見本市である。“見本市”と書くと、業界外の方には誤解を招くかも知れない。世界の各出版社・エージェントがディス…
『優しい幽霊③ ディミティおばさまと古代遺跡の謎』/Aunt Dimity Digs In ナンシー・アサートン(Nancy Atherton)/鎌田三平・朝月千晶・訳ランダムハウス講談社文庫/定価903円(税込)/11月10日発売/ISBN: 978-4-270-10327-2 村の果てに広がる何の変哲…
1『犬の力』ドン・ウィンズロウ(角川文庫) 犬の力 上 (角川文庫)作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件) を見…
(承前) 2は、あまりに無茶なスピード感とプロットでおれの度肝をダース単位で引っこ抜いた怪作。荒唐無稽といえばそうなんだが、こんな話、思いついても書くやつはいないだろうし、無理をぶっ通して道理を地の底にねじこんでしまったような力技には爽快感…
(承前) 以下は駆け足で。 昨年度最強のイヤミス『制裁』の著者チームの第2作が6。前作同様に世界の醜悪さと真正面から切り結ぶヘヴィ・ノヴェル。そんなものなど読みたくないと思う向きには無理にはすすめないが、社会の暗部と切り結ぶ文学的ツールとし…
番外篇/S・J・ローザンがファルコン賞受賞について綴っています。 ファルコン賞は、マルタの鷹協会日本支部が贈呈しているもので、日本で刊行されたハードボイルド・私立探偵小説を対象としています。2009年の受賞作は、『冬そして夜』(創元推理文庫。刊…
『コンラッド・ハーストの正体』ケヴィン・ウィグノール(新潮文庫) コンラッド・ハーストの正体 (新潮文庫)作者: ケヴィンウィグノール,Kevin Wignall,松本剛史出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/01/28メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を…
「黄昏の狙撃手」上・下/Night of Thunder スティーヴン・ハンター(Stephen Hunter)/公手成幸・訳 扶桑社海外文庫/10月29日発売/定価各840円(税込) ISBN: 978-4-594-06072-5, 978-4-594-06073-2 あの『四十七人目の男』につづく、〈ボブ・リー・…
1ハンス=オットー・マイスナー『アラスカ戦線』(ハヤカワ文庫NV) アラスカ戦線 (ハヤカワ文庫 NV 22)作者: ハンス・オットー・マイスナー,松谷健二出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1972/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブロ…
(承前) 『高い砦』(1965年)は巨匠デズモンド・バグリイのこれまたオールタイム級の傑作山岳冒険小説だ。 ティム・オハラが操縦する旧式のプロペラ機がアンデス山脈上空でハイジャックされ、高地にある飛行場に着陸するよう要求される。ハードランディン…
『運命の日』デニス・ルヘイン(早川書房)運命の日 上 (ハヤカワ・ノヴェルズ)作者: デニス・ルヘイン,加賀山卓朗出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/08/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 37回この商品を含むブログ (25件) を見る運命の日 下 (ハ…
10月25日朝刊の読書ページに「「愛」は出版を救うか 翻訳ミステリー大賞創設」という記事が掲載されました。出版界活性化のヒントになりうるものとして、好意的に扱ってくださっています。ありがとうございます。 ネット上には記事が掲載されていないようで…
電子の闇にひそむ、もっとも卑劣な殺人鬼。 そいつは罪なき者を殺し、あやつり、その人生を破壊する。 ただ楽しみのためだけに。 科学捜査の天才リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは無実を主張するも、数多くの物的証拠が…
『毒蛇の園』ジャック・カーリー(文春文庫)毒蛇の園 (文春文庫)作者: ジャックカーリイ,Jack Kerley,三角和代出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/08/04メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (21件) を見る『毒蛇の園』の序盤で…
009/2009 CWA Dagger Award winnersThe Crime Writers Association of Britain (CWA) announced the winners for the CWA Dagger Awards as follows:CWA Gold Dagger, for the best crime novel of the year: A Whispered Name, by William Brodrick (Little…
ううむ、まずい、まずすぎる……。 その強烈な作品に出会ったのは、フリーランスになってまだ間もないころ。翻訳書の依頼を受けたのは数冊目というときのことだった。 いまでこそ、「うっわー、下手すぎる」などと率直に頭をかかえられるものの、当時はそのす…
10月21日の夕刊に記事が掲載されました。 ネット上では、下記のURLから閲覧が可能です。 http://book.asahi.com/news/TKY200910210284.html
008/2009 Anthony Award winners Bouchercon 2009 announced the winners for the 2009 Anthony Awards as follows:Best Novel: THE BRASS VERDICT by Michael Connelly (Little, Brown) Best First Novel: THE GIRL WITH THE DRAGON TATOO by Stieg Larsson…
1『犬の力』ドン・ウィンズロウ 犬の力 上 (角川文庫)作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件) を見る犬の力 下 …
(承前) 『ミレニアム』を2位とすることにはまったくためらわなかった。小説の実力からいって当然である。先になんでもありと書いたが、どの要素も均等に優れているという意味ではない。たとえば『ミレニアム1』は犯人捜しの要素を持った小説だが、フーダ…
(承前) あとは若干駆け足気味に。4位から6位まではほとんど同着と言ってもいいほどで、自分の中では評価に差はない。『ユダヤ警官同盟』は、もしもイスラエル建国が行われなかったら、という歴史改変小説であり、アメリカに借地をして集住していたユダヤ…
007/2009 Shamus Award Winners The Private Eye Writers of America (PWA) announce the winners for the 2009 Shamus Awards as follows:Hammer Award for Character Longevity: Matthew Scudder (created by Lawrence Block) Best Short Story: "Family V…
006/2009 Barry Award Winners Mystery News and Deadly Pleasures announced the winners for the 2009 Barry Awards as follows:Best Novel: The Draining Lake, by Arnaldur Indridason (Minotaur)Best First Novel: Child 44, by Tom Rob Smith (Grand C…
最近新訳が出たジェイン・オースティンの『ノーサンガー・アビー』(1817)(中野康司訳、ちくま文庫)に、ヒロインのキャサリンが友だちのイザベラと本の話をする場面がある。朝起きてからずっとアン・ラドクリフの『ユードルフォの謎』を読んでいたという…
(承前) 一世を風靡したラドクリフ夫人の作品も、現在ではそのテンポが悠長に過ぎるし、二百年前の読者をとりこにしたサスペンスも、残念ながら少々色あせてしまっている。ゴシック小説で、現代のミステリ・ファンにお勧めしたいのは次の二作。 (1)ウィリ…
005/2009 Macavity Award Winners The Mystery Readers International announced the winners for the 2009 Macavity Awards as follows:Best Mystery Novel: Deborah Crombie: Where Memories Lie (William Morrow)Best First Mystery: Stieg Larsson: The …
わが名はレッド (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: シェイマススミス,Seamus Smyth,鈴木恵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2002/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (15件) を見る『わが名はレッド』 シェイマス・スミス ハヤカワ…