2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴィレッジブックス編集部発のひとりごと(執筆者・ヴィレッジブックス編集部(ふ))

翻訳ってすごいな――翻訳ものの編集に携わるようになってかれこれもう20年になろうとしていますが、いまだにしみじみそう思う瞬間があります。 ついこのあいだもそんなことがありました。アリス・シーボルトの『ラブリー・ボーン』という作品を担当したときの…

私設応援団・これを読め!『狼のゲーム』(執筆者・古山裕樹)

『狼のゲーム』ブレント・ゲルフィ/鈴木恵訳 ランダムハウス講談社文庫/ISBN:9784270102640 狼のゲーム (ランダムハウス講談社文庫)作者: ブレントゲルフィ,鈴木恵出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2009/01/09メディア: 文庫この商品を…

2009年、私のベスト10暫定版・第3回 その1(執筆者・川出正樹)

1位 ドン・ウィンズロウ『犬の力』(東江一紀訳/角川文庫) 犬の力 上 (角川文庫)作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブロ…

2009年、私のベスト10暫定版・第3回 その2(執筆者・川出正樹)

(承前) ところが八月になって、この熱き想いをも凌駕するとんでもない傑作が現れた。ドン・ウィンズロウの『犬の力』だ。 これにはまいった。完全にノック・アウトされた。舞台はアメリカ――メキシコ国境地帯を中心とした中南米諸国。麻薬に憑かれた三人の…

2009年、私のベスト10暫定版・第3回 その3(執筆者・川出正樹)

(承前) この調子で書いていると、とめどなく長くなりそうなので、ここから先は駆け足で。 第六位の『法人類学者デイヴィッド・ハンター』は、今回あげた十作中、最も読まれていないだろうと想われる一作だ。いかにもなタイトルはこの際おいとくとして、先…

翻訳ミステリー大賞及びこのサイトについて

■翻訳ミステリー大賞とは何ですか? 2009年10月1日に設立された翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ新しい賞です。海外作品の原著者と日本の読者の架け橋となる翻訳家が選ぶ翻訳ミステリーという点を一番の特徴にしたいと考えております。・賞の正式名称:…

北上次郎の質問箱・第一回(執筆者・北上次郎)

池上冬樹様、二流通俗小説『誇りと復讐』をどうして絶賛したのですか? 小説推理2008年9月号に書いたことだが、ジェフリー・アーチャー『誇りと復讐』を池上冬樹が絶賛していたのである。小説推理誌上では「酒場で会った知人の評論家」として実名を出さ…

最新海外ミステリーニュース20091013(執筆者・木村二郎)

004/Stuart Kaminsky dies スチュアート・カミンスキーが2009年10月9日、ミズーリ州セント・ルイスで 死亡。1950年代に陸軍衛生兵としてフランスに駐留しているときに伝染した肝炎 の治療のため、肝臓移植を待っているあいだに亡くなった。トビー…

ヴィレッジブックス 10月の新刊

『キャロットケーキがだましている』/CARROT CAKE MURDERジョアン・フルーク(Joanne Fluke)/上條ひろみ・訳 定価903円(税込)/09年10月20日/ISBN: 978-4-86332-185-4 相変らずお菓子づくりや人付き合いに忙しいハンナ。今回は共同経営者のリ…

どん底・転落サスペンス ベスト5 その2(執筆者・吉野仁)

(承前)『帰らない日々』は、映画化にあわせて文庫復刊された作品だ。ある大学教授が一家四人で出かけたとき、その帰りに息子がひき逃げされ、死んでしまう。運転していたのは、やはり息子を持つ弁護士の男。やがて被害者家族は崩壊し、教授の妻は自分の世…

どん底・転落サスペンス ベスト5 その1(執筆者・吉野仁)

私が終わる場所 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 12-1)作者: クリス・クノップ,熊谷千寿出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る クリス・クノップ『私が終わる場所』熊谷千寿訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)…

会心の訳文・第一回(執筆者・越前敏弥)

『氷の闇を越えて』 スティーヴ・ハミルトン ハヤカワ・ミステリ文庫 警察官のアレックス・マクナイトは、相棒とともにパトロールをしていたとき、異常者に銃で乱射される。相棒は命を落とし、アレックスも瀕死の重傷を負って退職する。それから14年たったい…

早川書房発のひとりごと その1(執筆者・ミステリマガジン編集部 ナガノ)

こんにちは。編集者エッセイ第二弾ということで大変緊張しています。早川書房のナガノです。翻訳ミステリーの雑誌《ミステリマガジン》や書籍に関わっております。 編集者と言われると、どういう職場を想像されるでしょうか。担当するジャンルによって仕事の…

私設応援団・これを読め!『フロム・ヘル』(執筆者・千街晶之)

『フロム・ヘル』 アラン・ムーア作、エディ・キャンベル画 柳下毅一郎訳 みすず書房フロム・ヘル 上作者: アラン・ムーア,エディ・キャンベル,柳下毅一郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2009/10/09メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 19人 クリッ…

東京創元社 10月の新刊

『ムーアに住む姉妹』/PLOTTED IN CORNWALL ジェイニー・ボライソー(Janie Bolitho)/山田順子・訳 創元推理文庫/定価966円(税込)/10月10日/ISBN978-4-488-19808-4 ボドミン・ムーアに住む姉妹から肖像画の依頼に大乗り気のローズだったが、曰くあり…

2009年、私のベスト10暫定版・第2回(執筆者・池上冬樹)

1位 スティーグ・ラーソン『ミレニアム』三部作(ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利訳/早川書房)ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/11メディア: ペーパーバ…

「翻訳ミステリー大賞」創設記念「今年の翻訳ミステリーはこれを読め! 読めばわかるさ!」座談会、開催決定!

「翻訳ミステリー大賞」創設記念 「今年の翻訳ミステリーはこれを読め! 読めばわかるさ!」座談会 本サイト及び翻訳ミステリー大賞の創設を記念して、特別座談会が開催されます。 詳しくは、下記の青山ブックセンター様のリリースをご覧ください。 予約受付…

文藝春秋 10月の新刊

『バッド・モンキーズ』/BAD MONKEYS マット・ラフ(Matt Ruff)/横山啓明・訳 文藝春秋 ペーパーバック版/定価1200円(税込)/10月10日発売/ISBN:9784163286204 SHORT SHARP SHOCK!!!――曲者作家が放つ、速く鋭い一気読みサスペンス! “あたしは悪…

アガサ・クリスティー攻略作戦・第一回 その1(執筆者・霜月蒼)

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,矢沢聖子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/10/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (51件) を見る アガサ・クリスティー『…

アガサ・クリスティー攻略作戦・第一回 その2(執筆者・霜月蒼)

ソフトバンク クリエイティブ 今月の新刊

『戦慄のウイルス・テロを阻止せよ!』上下/Plague Ship クライブ・カッスラー、ジャック・ダブラル/伏見威蕃訳 ソフトバンク文庫NV/定価各683円(税込)/発売中/ISBN上978-4-7973-5180-4下978-4-7973-5181-1 海洋冒険小説の王者が放つ〈オレゴン・フ…

わが愛しのハードボイルド、ベスト5(執筆者・権田萬治)

ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/03/06メディア: 新書購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (79件) を見る レイモンド・チャンドラー『ロング・グッ…

最新海外ミステリーニュース20091005(執筆者・木村二郎)

003/George Pelecanos Wins Hammett Prize The North American Branch of the International Association of Crime Writers announced on October 4 in Baltimore that George Pelecanos won the 2009 Hammett Prize for THE TURNAROUND (Little, Brown, 200…

早川書房 今月の新刊

『水底の妖』 ロバート・ファン・ヒューリック ハヤカワ・ミステリ1829/定価1,260円/10月9日発売/ISBN:9784150018290 神秘的な湖畔の町へ赴任したディー判事。湖上の船で催された歓迎の宴席で起きた殺人は、おそるべき陰謀の幕開きだったのか。他にも…

田口俊樹の自薦イチ押し本

『八百万の死にざま』 ローレンス・ブロック ハヤカワ・ミステリ文庫/定価882円/ISBN:9784150774516 翻訳を始めて30年余、アマゾンで調べたら、9月15日現在で拙訳202冊。もっとも、これには2冊の著作と文庫化本、上下本も含まれるから、実質は1…

新潮社今月の新刊

『レポメン』/The Repossession Mambo エリック・ガルシア(Eric Garcia)/土屋晃訳・訳 新潮文庫/定価820円(税込)/発売中/ISBN:9784102173312 “バイオ・レポマン”――それは、人工臓器の取り立て屋。金さえ払えば誰でも不死を購える近未来社会で、債務…

扶桑社発のひとりごと その2.1(執筆者・扶桑社(と))

このサイトが立ちあがったので、さっそく出版情報を見ていたら、いきなり驚きましたよ。 おお、ついに「ミッドナイト・ルーイ」が出るのか! さすが、ランダムハウス講談社! そう思った翻訳ミステリー編集者は多いんじゃないでしょうか。 これは、海外では…

文藝春秋 今月の新刊

『悪霊の島』上下/DUMA KEY スティーヴン・キング(Stephen King)/白石朗・訳 文藝春秋 四六判並製/定価各2100円(税込)/発売中/ISBN:9784163285009(上巻)/ISBN:9784163285108(下巻) この島には何かがいる。夜ごと不吉にささやく何かが―― 《恐怖…

扶桑社発のひとりごと その1(執筆者・扶桑社 (と))

いま、アメリカのミステリー界は、もとい、出版界全体が、ここ数年なかったような盛りあがりを見せています。そう、ダン・ブラウンの新作“The Lost Symbol”が発売されたのですね。なにしろ累計8000万部という『ダ・ヴィンチ・コード』の続編ですよ。初版500…

扶桑社発のひとりごと その2(執筆者・扶桑社 (と))

(承前) ところが、ウチの会社では、このカンヅメ作業をやったことがあります。しかも、2回も。それは、サッカー選手デイヴィッド・ベッカムの自伝『ベッカム:マイ・サイド』のときと、映画『ダイ・ハード4.0』のノヴェライゼーションのとき(笑)。どち…