2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

早川書房 11月の新刊

『最後の音楽』/Exit Music (2007) イアン・ランキン(著)/延原 泰子(訳) ISBN:978-4-15-001841-2/刊行日:2010/11/10 定価2,205円(税込)/ハヤカワ・ミステリ 〈ハヤカワ・ミステリ1841〉クリスマス近づく夜、エジンバラ城脇の寂しい道で、ひとりの…

第十一回はニナ・ライトの巻(執筆者・片山奈緒美)

今回ご紹介する原書は、わたくし犬好き翻訳者のカタヤマがジャケ買いならぬ表紙買いした作品。青空の下、長毛の大型犬が野原をのんびり散歩中。ああ、いいなぁ。大型犬の鷹揚な感じが出ているなぁ。このいかにもお嬢さま犬っぽい大型犬が活躍するミステリな…

ヴィレッジブックス11月の新刊

いとけなく愛らしき者たちよ/PRETTY LITTLE THING (2010) ジリアン ・ホフマン(Jilliane Hoffman)/吉田利子訳 定価903円(税込)/2010年11月20日発売 ISBN: 978-4-86332-291-2 あの『報復』のホフマンが再び世界を震撼させる! レイニーは13歳の可憐な少女…

翻訳者は月に一度、靴を履く・第4回(執筆者・池田真紀子)

猫は、毛皮を着たミステリーです。 うちの猫の例を以下に2つ。 1 目覚まし時計のミステリー ――アラームが鳴りはじめた瞬間にはもう、ベッドから床にすたん!と下りているのはなぜ? たとえば目覚ましの音が「ピピピピピピ……」なら最初の「ピ」か2つめの「…

翻訳ミステリー大賞・第一次選考締切のご案内

■翻訳ミステリー大賞とは何ですか? 2009年10月1日に設立された翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ賞です。海外作品の原著者と日本の読者の架け橋となる翻訳家が選ぶ翻訳ミステリーという点を一番の特徴にしたいと考えております。 ・賞の正式名称:「翻訳…

武田ランダムハウスジャパン11月の新刊

クリスマス・ラテのお別れ コクと深みの名推理(8)/Holiday Grind (2009) クレオ・コイル(Cleo Coyle)/小川敏子訳 定価:924円(税込)/刊行日:2010/11/10 ISBN:978-4-270-10369-2クリスマス・ラテのお別れ コクと深みの名推理8 (RHブックス・プラス)…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第3号

翻訳者の近況を伝えるコーナーもこれで3回目。今回は原稿到着順です。 田口俊樹 先週一週間ほど、妻のお供でバリ島に行ってきました。 妻が旅行好きなので、夫婦円満のため、できるだけつきあうようにしているのですが、実のところ、外国旅行はあまり好きで…

第二回 『泥棒のB』

前回の『アリバイのA』に続いて、今回は「キンジー・ミルホーン」シリーズ第二弾『泥棒のB』に挑戦。ちなみにこの作品は1986年の私立探偵作家クラブ賞とアンソニー賞を受賞しているそうな。ふうーん。泥棒のB (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: スー・グラフ…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第三十九回(執筆者・霜月蒼)

当サイトのバナーができました!

いつも当「翻訳ミステリー大賞シンジケート」をごらんいただきありがとうございます。 このたび「レイモンド・チャンドラーの世界」の管理人・加藤篁さんにお願いして当サイトのバナーを作成していただきました。加藤さん、どうもありがとうございます。 バ…

TVを消して本を読め!第十三回(執筆者・堺三保)

第十三回 迫真の警察ドラマ「サウスランド」 前にも何かで書いたような気がしますが、アメリカの地上波放送における視聴率争いの激しさは、日本の比ではありません。視聴率が悪ければ、シーズン途中であろうと、あっというまに打ち切りが待っているのです。…

小学館文庫11月の新刊

ブレイキング・ポイント/Winged Creatures (2007) ロイ・フライリッチ(Roy Freirich)著/船越隆子訳 小学館文庫/定価 860円(税込)/発行年月日:2010/11/05 ISBN:9784094082449 ブレイキング・ポイント (小学館文庫)作者: ロイフライリッチ,Roy Freirich,…

翻訳者は月に一度、靴を履く・第3回(執筆者・池田真紀子)

同じ作家の作品を何冊も訳していると、その作家個人をよく知っているような気になるもの。今月上旬に来日したジェフリー・ディーヴァーさんは、作品から想像していたとおりの人だった。誠実で、ロマンチストで、茶目っ気があって、何よりサービス精神旺盛。…

最新海外ミステリーニュース20101121(執筆者・木村二郎)

MWAグランドマスター(巨匠)賞発表 The Mystery Writers of America (MWA) will present Sara Paretsky with the 2011 Grand Master Award at The Edgar Awards Banquet to be held at the Grand Hyatt Hotel in New York City on April 28, 2011. The M…

翻訳ミステリー大賞・第一次選考締切のご案内

■翻訳ミステリー大賞とは何ですか? 2009年10月1日に設立された翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ賞です。海外作品の原著者と日本の読者の架け橋となる翻訳家が選ぶ翻訳ミステリーという点を一番の特徴にしたいと考えております。 ・賞の正式名称:「翻訳…

扶桑社発のひとりごと 20101119(執筆者・T)

第2回 「ひとりごと」と題しながら、なんだか妙な話をはじめてしまい、前回は、出版ビジネスの大枠をご説明し、近所の書店にほしい本が置かれていない理由にたどり着きました。 それでも、世間に本はあふれていますよね。いったい、どれぐらいの種類の本が…

文藝春秋・11月の新刊

ウォッチメイカー/The Cold Moon (2006) ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳 ISBN 9784167705886(上巻)/ISBN 978416770589(下巻) 11月10日発売 文春文庫(上下) /定価770円(上巻)、720円(下巻) このミステリーがすごい!第1位! 週刊文春ミ…

第1回『警官嫌い』

はじめまして。三門優祐と申します。性格のワルーイ、ねじれた小説が好きな陰険人間です。本の読み方は大変気まぐれな自由連想式で、手元にある本をふと思いついた時に読みます。新刊書を買って、灰汁抜きと称し数ヶ月放置してから読む非常に問題のある習性…

第一の刺客:ジル・チャーチル(その1)

あるとき七福神の一人、川出正樹氏に尋ねられた。 「君、一番苦手な作家はなんだ」 苦手……苦手な作家と言われても返答に困る。 クロフツは、カーはどうだ、と言われる。どうにも妙な具合で作品数が多い古典本格ものの作家を挙げられるのだが、まあこの辺は私…

扶桑社文庫11月の新刊

虚偽証人(上下)/ Devil's Corner (2005) リザ・スコットライン Lisa Scottoline /高山祥子訳 定価:上下各840円・発売日:2010年11月2日 扶桑社ミステリー ISBN:9784594062934(上)、978-4-594-06294-1(下) 虚偽証人(上) (扶桑社ミステリー)作者: リザ・…

書評七福神の10月度ベスト発表!

書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。 10月の報告も遅くなってしまいました。申し訳ありません。現時点ではすでに各種ランキングの集計も終了し、あとは媒体が刊行されるばかり、ということになっていると思います。ち…

ジェフリー・ディーヴァー日本滞在記(その2)

ジェフリー・ディーヴァー氏滞在記の続きです。 DAY FOUR:11月9日(火) 朝、世間話をしていると、何げなく「キャサリン・ダンスの3作目を書いてるんだけどね」とディーヴァーさんがおっしゃる。 あれっ? 007は? 「まだまだ手直しはするけれど、書…

ジェフリー・ディーヴァー日本滞在記(その1)

リンカーン・ライム・シリーズなどのベストセラー作家、ジェフリー・ディーヴァー氏来日! 今回は番外編として、アテンドした担当編集者による滞在記をお伝えします。池田真紀子さんからのレポートは、また回を改めまして。 DAY ONE:11月6日(土) ジェ…

新潮文庫10月の新刊

乱気流(上下)/Turbulence (2009) ジャイルズ・フォーデン(Giles Foden)/村上和久・訳 新潮文庫/定価:本体上=552円 下=590円(税別) ISBN:上巻=978-4-10-217761-7 下巻=978-4-10-217762-4 ノルマンディー上陸作戦当日――。 300万人の兵士と6000…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第2号

翻訳者7人の近況や所感をお伝えするコーナー、2回目です。 田口俊樹 ボケ防止には会話が一番、みたいなことをテレビで言っているのを聞いてから、パチンコ台にも話しかけることを心がけている。 最近は『北斗の拳』にハマってるんで、ケンシローが「おまえ…

第一回 アリバイのA

で、3Fってナニ? とタイトルを見て思われた方もいるのかも知れないので一応、用語解説を。3Fとは、主人公が女性、著者が女性、そして大半の読者が女性、というミステリー作品を示す言葉(Fは、Female = 女性の頭文字)。例を挙げるならば、スー・グラ…

国書刊行会10月の新刊

ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利/The Triumphs of Eugene Valmont ロバート・バー(Robert Barr)著/平山雄一訳 国書刊行会/定価:本体2200円+税/発売日:2010年10月25日 ISBN:9784336052926 我が名はヴァルモン、フランスから来た名探偵なのである! コナン・ド…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第三十八回(執筆者・霜月蒼)

第六だらだら(正しい訳者あとがきとは)

このコラムの最初のほうで、原文の流れを読むことにからんで以下のように書いた。 ただし、流れと言ってもあくまで作業仮説に過ぎない。証拠を取捨選択して無理矢理に仮説に合わせたりするのではなく、仮説に合わない証拠が出てきたら軽視せず、躊躇せずに新…

漢<オトコ>の教科書 ベスト5(執筆者・福田和代)

子どものころ、『ブラッディ・ドール』シリーズ(北方謙三)は私の教科書であった。学生時代、マイ・シェーカーを手に入れて、ひそかに振り方を練習した。長じて不良会社員になると、夜な夜な大阪キタの繁華街、堂山町のショットバーに出没し、年齢も性別も…