【隔週更新】三門優祐の、わしの87分署攻略は108式まであるぞ! いや、ねーよ!【読書日記】
いきなりの内輪話で恐縮ですが、私はかつて、「87分署攻略作戦:第一回『警官嫌い』」の没バージョン、その冒頭で「87分署シリーズはキャラクター小説である!」と、こう書きました……まだ二冊しかシリーズを読んでいなかったのに。 さて、シリーズをようやく…
87分署攻略作戦第十五回は、シリーズ初の短編集『空白の時』です。87分署シリーズは長編五十三に対して短編が十強と極端に長編寄りのシリーズですが、マクベインの短編作家としての実力はどうなのか。お手並み拝見といきたいと思います。 安アパートの一室で…
87分署攻略作戦第14回は『クレアが死んでいる』です。第二作『通り魔』で登場して以来、クリングの恋人として87分署ワールドの一部を構成してきたクレアの突然の死が、作品にどのような影響を及ぼすのか。マクベインの新たな試みに注目の作品です。さて、そ…
87分署攻略作戦第13回は『死にざまを見ろ』です。このタイトル、最初に見た時は驚きましたとも。おいおい、タイトルから命令形ですか?! しかも「『死にざま』を見ろ」とは、どういうこと? またも87分署のメンバーが死んでしまうのか。あるいは、被害者の…
87分署攻略作戦第十二回は『電話魔』です。87分署の宿敵と後に呼ばれると話には聞く「デフマン」の初登場作品となります。果たしてどんな奴なのか。そして、彼が今回目論む犯罪計画とは? その辺りを織り込みつつ、あらすじを紹介してみたいと思います。 体…
87分署攻略作戦第十一回は『大いなる手がかり』です。多くの人が代表作に挙げるともっぱらの噂である『キングの身代金』の次ということで、作者側にも若干プレッシャーがかかりますが、果たしてどんなものか。早速読んでみたいと思います。 三月の雨に煙るア…
87分署シリーズ攻略作戦、第十回『キングの身代金』です。マクベイン作品の中でも傑作として名高い作品ですが、その小説としての評価に間違いはないという点を確認できました。疵も少ないし。ただ、「警察捜査」小説としては若干物足りない部分も……。 グレン…
87分署攻略作戦、第九回は『死が二人を』です。キリスト教の結婚式の決まり文句"Until death do us apart"=「死が二人を分かつまで」(バージョンは色々ありますが)をもじったタイトルです。この文句をタイトルに使ったミステリはそれなりに見かけるような…
87分署攻略作戦、第八回は『殺意の楔』です。このシリーズ、主な舞台はアイソラの街となっていますが、今回はそれをさらに絞り込み、ほとんどすべてのシーンが87分署の中で起こります。このような際立って動きの少ない作品で、マクベインは何を描こうとして…
今夜八時、レディを殺す。どうにかできるかい? 87分署の当直警部補、デイヴ・マーチスンが金髪の少年から上のような予告状を受け取ったことから、物語は幕を開く。一見単なる悪戯にしか見えない予告状、しかし、バーンズ警部はコットン・ホースにレディの捜…
87分署シリーズ第六作『殺しの報酬』です。前作『被害者の顔』でもかなり好意的な評価をつけましたが、この作品を読んでマクベインも一皮むけたなと確信しました。ことここに至ってもはや前置きは不要でしょう。さっそくあらすじをご紹介したいと思います。 …
87分署シリーズ第五作『被害者の顔』です。英題は"Killer's Choice"、つまり「殺人者の選択」ですが、色々な意味で邦題の方が作品の本質を指しているように思えます。タイトルについての具体的な説明はさておき、先にあらすじを紹介してしまいましょう。被害…
87分署シリーズ第四作『ハートの刺青』です。結論を先取りしてしまうと、作品としては決して悪くないのですが、色々と問題のある作品でした。何がどう問題なのかはおいおい書いていくとして、まずはあらすじをまとめてしまいたいと思います。ハートの刺青 (…
87分署シリーズ第三作『麻薬密売人』です。私のようにハヤカワ・ミステリ文庫で読んでいる場合、通し番号が2から5に飛ぶので要注意。3の『われらがボス』は、長編第26作と大分先、4の『ハートの刺青』は原著刊行年からすると、次回の紹介になります。 前置き…
87分署シリーズ第2作『通り魔』です。前作『警官嫌い』で活躍したスティーヴ・キャレラはここには書けないある事情でアイソラの街を離れており、最終章で少しだけ顔を出す程度。メインキャラ(?)不在の87分署で果たして誰が主役を張るのか、気になるとこ…
はじめまして。三門優祐と申します。性格のワルーイ、ねじれた小説が好きな陰険人間です。本の読み方は大変気まぐれな自由連想式で、手元にある本をふと思いついた時に読みます。新刊書を買って、灰汁抜きと称し数ヶ月放置してから読む非常に問題のある習性…