2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

書評七福神の1月度ベスト発表!

書評七福神とは!? 今月もやってきました「書評七福神」のコーナー。2010年も毎月一押しの翻訳ミステリーをお届けしてまいりますので、どうぞお楽しみに。さて、気になる今年最初の一冊ですが……。 (ルール) この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろか…

ミステリーとホラーの狭間で・三津田信三さんの巻 第4回(構成・杉江松恋)

三津田信三さんをお招きしての「週末招待席」もいよいよ折り返し点。前回は本格ミステリー好きが高じていった読書遍歴についてお聞きしました。今回はさらに踏みこんで、自著とミステリーの関係についてお話をいただきたいと思います。 (承前)――ここで定番…

早川書房発のひとりごと(執筆者・早川書房編集部C)

機械オンチのくせに新しいもの好きで、これまでも数々の「ハイテク・ガジェット」を買っては結局、粗大ゴミにしてきました。 PDAの元祖、アップルのNewtonは、今のiphoneの4倍くらいの大きさで日本語対応はしておらず、とても実用的とは言えない代物。当時と…

早川書房 1月下旬の新刊

一年でいちばん暗い夕暮れに/The Darkest Evening of the Year ディーン・クーンツ(著) /松本依子(訳)佐藤由樹子(訳) ISBN:978-4-15-041211-1 刊行日:2010/01/22 ハヤカワNV文庫 定価1,029円(税込) サスペンス・ホラーの巨匠クーンツの犬愛が…

第三回はアン・ペリーの巻(執筆者・遠藤裕子)

突然ですが、わたしは英国ヴィクトリア朝が大好き。若いころは夭折の天才挿絵画家オーブリー・ビアズリーに血道をあげ、彼が好んだ世紀末の美術や文学にどっぷりと浸り、果てはヴィクトリア&アルバート美術館に押しかけて、原画を見せていただいたりしたも…

クレオ・コイルは知っている。大人の味を知っている。違いの分かる人のためにダバダーの巻(執筆者・杉江松恋)

前回はアリス・キンバリーを採り上げたので、今回のお題はクレオ・コイルである。ともに、マーク・セラシーニとアリス・アルフォンシの夫婦合作ペンネームだ。クレオ・コイル名義で発表しているのは〈コクと深みの名探偵〉シリーズという。〈ミステリ書店〉…

円堂都司昭の読んだアジア・ミステリー5作

サイト管理人から、「なんでもベスト5」というコーナーに書け、と凄まれ(若干誇張があります)、こうしておずおずと書きだしたわけだ。とはいえ、今回とり上げるのは「ベスト」ではない。だって、私はまだ、アジアの現代ミステリーって五冊しか読んだこと…

第1回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションのお知らせ その1(執筆者・杉江松恋)

第1回翻訳ミステリー大賞の候補5作は既報の通りですが、これに対しての投票期間は2月一杯で、来る3月20日(土)に結果発表を行います。場所は東京都文京区内で、午後4時から一般公開の授賞式を予定しております。取材のお申込みなどはhonyakumystery@…

法村里絵のイチ押し本

『この町の誰かが』 ヒラリー・ウォー/法村里絵訳 創元推理文庫この町の誰かが (創元推理文庫)作者: ヒラリーウォー,Hillary Waugh,法村里絵出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1999/09メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る イ…

最新海外ミステリーニュース20100124(執筆者・木村二郎)

012/2010 Diamond Dagger Recipient The Crime Writers Association of Britain (CWA) has announced that Val McDermid will receive the 2010 CWA Cartier Diamond Dagger, to honor her outstanding achievement in the field of crime writing. 013/2010…

ミステリーとホラーの狭間で・三津田信三さんの巻 第3回(構成・杉江松恋)

前回は好きが高じて十代でミステリー評論書を買い込むに至った三津田さんのマニア読者ぶりについてお聞きしました。しかしそこで浮上してくる疑問が、そうした読書体験が現在のホラー愛とどうリンクしてくるのかということ。偏愛するミステリー作品について…

私設応援団・これを読め!『ベベ・ベネット、モデルと張り合う』(執筆者・上條ひろみ)

『ベベ・ベネット、モデルと張り合う』 ローズマリー・マーティン/谷泰子訳 創元推理文庫ベベ・ベネット、モデルと張り合う (創元推理文庫)作者: ローズマリー・マーティン,谷泰子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/06/10メディア: 文庫この商品を含…

角川書店発のひとりごと(執筆者・ 角川書店第一編集部TJ)

いつもは、締め切りを設定する側の編集者。 でも、たまにこの場のように、書籍の紹介をする場をいただいたり、エッセイを書かせてもらったりすることもあります。 しかし、どうして人は、他人の締め切りには厳しく接することができるのに、自分の締め切りに…

アリス・キンバリー〈ミステリ書店〉のおもしろさはニバイ、ニバイ(BY 高見山大五郎)の巻(執筆者・杉江松恋)

今日から定期的に、コージー・ミステリーのシリーズを紹介していくつもりでいる。作品単体ではなくてシリーズでの紹介だ。というのも、世の中に流通しているコージー・ミステリーのほとんどが、かなり巻を重ねた状態になっていて、これから楽しむために本を…

集英社 1月の新刊

『勝手に来やがれ』/PLUM LOVIN’ ジャネット・イヴァイノヴィッチ(Janet Evanovich)/細美遙子・訳 集英社文庫/定価630円(税込)/ 発売予定日2010年1月20日/ISBN978-4-08-760597-6 バウンティ・ハンター(保釈逃亡者逮捕請負人)ステファニー・プラムが、…

アガサ・クリスティー攻略作戦・第八回(執筆者・霜月蒼)

第1回読書会のお知らせ(執筆者・杉江松恋)

ある日のこと。 年末年始のイベントの事後整理をしつつ(カウントダウン、楽しんでいただけましたか?)サイトのメンテナンスをしていたら、えらいことに気付いてしまいました。 昨年中に実施予定だった、読書会をやるのを忘れてたよ! いや、そのつもりはあ…

会心の訳文・第八回(執筆者・中村有希)

かけことばやダブルミーニングを使った文を訳す時に、いつも「今回はどうしようかな〜」と思います。 ルビだけで意味が通じるだろうか、とか。 (訳者註;〜の意味あり)と、カッコやら註やらをつけた方がいいだろうか、とか。 どうしても解説をつけなければ…

ミステリーとホラーの狭間で・三津田信三さんの巻 第2回(構成・杉江松恋)

三津田信三さんをお招きしての「週末招待席」、前回は最初に読んだ児童向けミステリーのお話をうかがいましたが、今回は引き続き大人向け本の読書体験についてお聞きします。意外な書名が出てきて、ちょっとびっくり。 (承前) 三津田 ミステリが持つ謎に魅…

ミステリーとホラーの狭間で・三津田信三さんの巻 第1回(構成・杉江松恋)

お待たせしました。2010年最初の「週末招待席」を今週から六回にわたってお送りしていきます。第二回のゲストは、先月末に刊行された『水魑の如き沈むもの』が大好評の三津田信三さん。ご存じのとおり、ホラーの雰囲気と本格ミステリーの謎解きを融合さ…

ヴィレッジブックス 1月の新刊

『彷徨う絆』/BREAKNECK エリカ・スピンドラー(Erica Spindler)/林啓恵・訳 定価966円(税込)/10年1月20日/ISBN:9784863322127 凍てつく一月の早朝、高級アパートメントの一室で首を折られた若い男の他殺体が発見された。被害者はコンピュー…

二見書房 1月の新刊

『高慢と偏見とゾンビ』/Pride and Prejudice and Zombies ジェイン・オースティン&セス・グレアム=スミス/Jane Austen, Seth Grahame-Smith 安原和見訳 二見文庫 1000円(税込)ISBN:978-4-576-10007-4 刊行日:2010/01/21 あの名作が新しく生まれ変わ…

J・スキップ&C・スペクター『闇の果ての光』 その1(執筆者・杉江松恋)

闇の果ての光 (文春文庫)作者: ジョンスキップ,クレイグスペクター,John Skipp,Craig Spector,加藤洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 最初に。 この原稿を書いている段階で、本書の装丁がどんな…

J・スキップ&C・スペクター『闇の果ての光』 その2(執筆者・杉江松恋)

(承前) 地下といえば、都市伝説の宝庫でもある。いちばん有名なのが白いワニの都市伝説だろう。不要になったペットのワニを誰かが下水に流したため、それが地下で白い巨大ワニとなって繁殖するという薄気味の悪いストーリーだ。ジェフリー・ディーヴァー『…

J・スキップ&C・スペクター『闇の果ての光』 その3(執筆者・杉江松恋)

(承前) そもそも彼らはなぜ吸血鬼と戦う羽目になるのか――吸血鬼の存在に気付いたのなら、なぜ警察なり軍隊なりに通報して後を任せようとしないのか(そのことについての極めて説得力のない理由は二八三ページに出てくる)。それは彼らが「おたく」だからだ…

東京創元社 1月の新刊

『蛇の歯』(上下)/Serpent's Tooth フェイ・ケラーマン(Faye Kellerman)/吉澤康子・訳 創元推理文庫/ 定価各1050円(税込)/1月9日/ISBN: 978-4-488-28215-8、978-4-488-28216-5 高級レストランで男が銃を乱射。死者十三名、負傷者三十名以上。悪…

書評家・古山裕樹のお願い

『スリーパーにシグナルを送れ』 ロバート・リテル/北村太郎訳 新潮文庫スリーパーにシグナルを送れ (新潮文庫)作者: ロバートリテル,北村太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1988/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 世界は陰謀に満ちて…

木村二郎の選ぶドナルド・E・ウェストレイク邦訳作品ベスト5

ミステリー界の巨匠ドナルド・E・ウェストレイクが二〇〇八年の大晦日の夜に休暇先のメキシコで亡くなってから、すでに一年経ってしまった。日本におけるウェストレイクの評価はまだまだ低いので、彼の多彩な才能を知っていただくために、木村二郎の選んだ…

安藤由紀子のイチ押し本

『悪意の森』上下巻(In the Woods) タナ・フレンチ(Tana French)著/安藤由紀子訳 集英社文庫 発売日: 2009.9.25悪意の森 (上) (悪意の森) (集英社文庫)作者: タナ・フレンチ,安藤由紀子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/09/18メディア: …

早川書房 1月上旬の新刊

『螺鈿の四季』/The Lacquer Screen ロバート・ファン・ヒューリック/Robert Hans van Gulik 和爾桃子訳 ISBN:978-4-15-001832-0 刊行日:2010/01/07 ハヤカワ・ミステリ 1,365円(税込) 神の探偵に、休息のときはなし 初任地での激務に疲れたディー判事…