【原書レビュー】え、こんな作品が未訳なの!?【毎月更新】

第八十六回はミネット・ウォルターズの巻(執筆者・河出 真美)

デビュー作「氷の家」で英国推理作家協会(CWA)最優秀新人賞を受賞、続く第二作「女彫刻家」で「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10二冠を達成、その後も寡作ながら評価の高い作品を発表し続け、近年では日本語翻訳版の最新刊「悪魔の…

第八十五回はクリストファー・ファーンズワースの巻(執筆者・寶村信二)

今月は、吸血鬼のナサニエル・ケイドを主人公とした三部作("Blood Oath"、"The President's Vampire"、"Red, White, and Blood")を上梓しているクリストファー・ファーンズワースの新シリーズ第一作、Killfile(William Morrow、2016年)を取り上げます。 …

第八十四回は文学刑事サーズデイ・ネクスト・シリーズの巻(その4)(執筆者・片山奈緒美)

文学刑事サーズデイ・ネクスト・シリーズを紹介する企画もいよいよ最終回。シリーズ7作目の The Woman Who Died A Lot (2012)の世界をご一緒に覗き見しましょう。 The Woman Who Died a Lot: Thursday Next Book 7 (English Edition)作者: Jasper Fforde出版…

第八十三回は文学刑事サーズデイ・ネクスト・シリーズの巻(その3)(執筆者・遠藤裕子)

One of our Thursdays is Missing: Thursday Next Book 6 (English Edition)作者: Jasper Fforde出版社/メーカー: Hodder & Stoughton発売日: 2011/02/22メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る シリーズ6作目 "One of Our Thursday is Missing" がこ…

第八十二回は文学刑事サーズデイ・ネクスト・シリーズの巻(その2)(執筆者・東野さやか)

みなさん、こんにちは。たいへんお待たせいたしました。先月につづき、ジャスパー・フォードの文学刑事サーズデイ・ネクストのシリーズ第5弾、"First Among Sequels"(2007)をご紹介します。 First Among Sequels: Thursday Next Book 5 (English Edition)…

第八十一回は文学刑事サーズデイ・ネクスト・シリーズの巻(その1)(執筆者・三角和代)

第70回で取りあげたジャスパー・フォードは、別シリーズ、文学刑事サーズデイ・ネクストものが3作目まで翻訳刊行されています。未訳は4作ありますので、洋書レビュー担当者で手分けし、4カ月連続ですべてご紹介することになりました。 まずはざっと既訳の…

第八十回はフィオナ・デイヴィスの巻(執筆者・高橋知子)

ニューヨークの“バービゾン・ホテル・フォー・ウーマン”(現、バービゾン63)をご存じでしょうか。1927年に建てられ、現在はアメリカの国家歴史登録財に指定されている立派な建物ですが、当初は名前からわかるように女性専用のホテルでした。ホテルといって…

第七十九回はカール・ハイアセンの巻(執筆者・東野さやか)

あちこちで言っていますが、わたしの好きな作家はロバート・クレイス、S・J・ローザン、ジョージ・(いつのまにかPがなくなった)・ペレケーノスが不動の3人で、ここにマイクル・コナリーが隙あらば割って入ろうと、虎視眈々とねらっているといったとこ…

第七十八回はE・ウェルティ&ロス・マクドナルド書簡集の巻(執筆者・柿沼瑛子)

Meanwhile There Are Letters: The Correspondence of Eudora Welty and Ross Macdonald (English Edition)出版社/メーカー: Arcade Publishing発売日: 2017/11/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ロス・マクドナルドとマーガレット・ミラー夫…

第七十七回はメイソン・クロスの巻(執筆者・寶村信二)

今回は、新人作家のメイソン・クロスのデビュー作である The Killing Season(Orion、2014年)とその続編、The Samaritan(同、2015年)を取り上げます。 The Killing Season: Carter Blake Book 1 (Carter Blake Series) (English Edition)作者: Mason Cros…

第七十六回はエミリー・ブリーカーの巻(執筆者・片山奈緒美)

When I'm Gone: A Novel (English Edition)作者: Emily Bleeker出版社/メーカー: Lake Union Publishing発売日: 2016/03/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 人生の残された時間にやりたいこと、やれることを見極めて悔いの無いように生きたい…

第七十五回はブルック・デイヴィスの巻(執筆者・三角和代)

赤毛と赤い長靴の女の子に惹かれてジャケ買いした1冊です。オーストラリア発のベストセラー、版権も25カ国に売れているそうですので、邦訳も出るかな? と思いますが、たまには、人が疑わしい状況で死なない本を紹介しましょう。赤の他人の幼い少女、おじい…

第七十四回はキャロル・グッドマンの巻(執筆者・高橋知子)

彼女が車で撥ねたのは鹿だったのか、人だったのか? 今回はこのような謎で始まるキャロル・グッドマンの River Road をご紹介します。 River Road (English Edition)作者: Carol Goodman出版社/メーカー: Titan Books発売日: 2016/01/19メディア: Kindle版こ…

第七十三回はデイヴィッド・L・ロビンズの巻(執筆者・寶村信二)

今回は、日本でもお馴染みのデイヴィッド・L・ロビンズが描く、米空軍の特殊救難部隊隊員が活躍するシリーズを取り上げます。The Devil's Waters (A USAF Pararescue Thriller)作者: David L. Robbins出版社/メーカー: Thomas & Mercer発売日: 2012/11/13メ…

第七十二回はテス・ジェリッツェンの巻(その2)(執筆者・辻早苗)

みなさま、こんにちは。お久しぶりの今回は、わたしの推し作家テス・ジェリッツェンの新作、"PLAYING WITH FIRE"(2015年11月刊)を紹介したくて出てまいりました。刊行からまだそれほど経っていないので未訳なのはあたりまえなのですが、笑って許してくださ…

第七十一回はジャック・ジョーダンの巻(執筆者・片山奈緒美)

Anything for Her (English Edition)作者: Jack Jordan出版社/メーカー: JJP発売日: 2015/06/21メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 「夫に死んでもらいたいわけではなかった。いまのところは」 冒頭のこの文章をどう解釈したらいいのだろ…

第七十回はジャスパー・フォードの巻(執筆者・三角和代)

みなさん、目玉焼きは片面でいきますか、それとも両面? 蓋をして少し蒸して、いい感じに白く固めた片面オンリーも素敵だけど、その少しが待てなくて、ひっくり返して裏もざっと火を通しちゃう(英語でover easy)きみは仲間だ。今回取りあげるのは“The Big …

第六十九回はP・J・パリッシュの巻(執筆者・東野さやか)

小説を読む楽しみは人それぞれだけど、わたしの場合、自分の知らない場所を旅できる点をそのひとつとしてあげたい。S・J・ローザンやローレンス・ブロックが描くニューヨーク、ジョージ・ペレケーノスのワシントンDC、デニス・レヘインのボストン、マイク…

第六十八回はリリー・アノリックの巻(執筆者・高橋知子)

「わたし」ことグレイスの妹、ニカが殺害される。真犯人は誰なのか? グレイスが事件の真相に迫る。 今回ご紹介するリリー・アノリックの Dark Rooms は、簡単に言うとこんなお話。 ふーん、殺された愛する妹のために、姉が奮闘する話か……舞台はコネティカッ…

第六十七回はマイケル・クレイヴンの巻(執筆者・寶村信二)

今回取り上げる作家は、ロサンジェルスを舞台にちょっと変わった私立探偵小説を書いているマイケル・クレイヴンです。 ホームページによると、著者は広告会社に勤務した後フリーランスのクリエイティブ・ディレクターとして独立、その傍らでこれまでに Body …

第六十六回はザナ・マッケンジーの巻(執筆者・片山奈緒美)

昼は占星術師、夜は女性バーテンダーの探偵アシスタント 数年前からリーディンググラスなしでは本を読めなくなってしまった。とくに夕方以降の電車で省エネのため蛍光管を間引きしているまさにその真下に立ってしまうと、まったく読めない。若いころから目が…

第六十五回はジョン・ストラレーの巻(執筆者・三角和代)

かつて福武文庫から刊行された『熊と結婚した女』をみなさま、ご記憶でしょうか。アラスカを舞台にした私立探偵セシル・ヤンガー・シリーズの第1作。先住民族の伝承が盛りこまれた正統派の探偵物と言える内容でしたが、著者のジョン・ストラレーは新シリー…

第六十四回はアリソン・ゲイリンの巻(執筆者・東野さやか)

年々、ものを覚える能力が低下しているのが、自分でもはっきりわかる。本も映画も細かいことは読むはしから忘れるものだから、どこがどうおもしろかったのか、具体的に伝えるのがとても大変。1年もたったものは、あらすじも結末もすっかり忘れる始末で、先…

第六十三回はアン・ペリーの巻(その9)(執筆者・遠藤裕子)

みなさん、2月に出た『偽証裁判』はもうお読みいただけましたか? なかなか好評のようで、わたしも嬉しいです! たくさんの方にお読みいただけることが、次作の翻訳出版につながります。ロンドンとは一味も二味も違う、スコットランドの空気に満ちた本作を、…

第六十二回はヘレン・ギルトロウの巻(執筆者・高橋知子)

前回こちらで洋書を紹介したのは昨年8月。冒頭に「今年の夏も暑い」と書いた。 そしていまは2月。今年の冬も……と凡なことを思っているのは、わたしだけではないはず。今回はそんな寒い日に、暖かい屋内で腰を落ちつけて読みたい一作、ヘレン・ギルトロウの…

第六十一回はジェイムズ・R・ハンニバルの巻(執筆者・寶村信二)

今回取り上げる作家は、米軍特殊部隊〈777チェイス〉の活躍を描いているジェイムズ・R・ハンニバルです。 ホームページによると、著者は空軍士官学校を卒業後、様々な戦闘機・爆撃機のパイロットを経て2010年に作家としてデビューしました。 Wraith作者: Ja…

第六十回はカレン・ジョイ・ファウラーの巻(執筆者・片山奈緒美)

The Case of the Imaginary Detective作者: Karen Joy Fowler出版社/メーカー: Penguin Books Ltd発売日: 2009/02/05メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る カリフォルニア、サンタクルーズの海辺に立つ邸宅ウィッツ・エンドに住む著名…

第五十九回はL・C・タイラーの巻(執筆者・三角和代)

気づけばもうすぐ年末ですよ。時間が過ぎてばかりだなとため息をついているあなた(そしてわたし)、ここにも浮かない顔をした男がひとり。彼の場合はかなりシビア。たくさんのことを引きずってきた男で、自分を愛してくれたただひとりの女である妻は親友に…

第五十八回はロス・キャヴィンズの巻(執筆者・東野さやか)

突然ですが、目の前に3億円があったらどうしますか? たとえば、自宅の玄関にぽんと置かれたゴミ袋に入っているとか、中古で買った住宅の屋根裏を探索したら見つかったとか、山歩きの途中、茂みに無造作に捨てられているのがたまたま見えたとか、いろいろあ…

第五十七回はアン・ペリーの巻(その8)(執筆者・遠藤裕子)

A Christmas Visitor (Christmas Novella 2): A festive Victorian mystery set in the Lake District作者: Anne Perry出版社/メーカー: Headline Book Publishing発売日: 2005/11/07メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る 【おもな登…