2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

この思い、あの人に届け! 第16回「Sophisticated やんちゃLady 」『核心』の巻(執筆者・挟名紅治)

とうとう、この「検屍官」シリーズも今回の『スカーペッタ 核心』と、『変死体』だけ。あと2回、あと2回で終わりですよ!ところで、前作同様「スカーペッタ」の文字がタイトルに入っているのはなぜでしょうね? (ちなみに原題は「THE SCARPETTA FACTOR」…

読書会資料傑作選・第2回 名古屋読書会レジュメ(作成者・大矢博子&加藤篁)

各地方読書会の資料傑作選、第2回は2011年11月26日と2012年2月25日に開催された名古屋読書会のレジュメを紹介します(読書会の前に作成され、当日全員に配布されたものです)。作成者は第1回が大矢博子さんで、第2回が加藤篁さん。どちらもPDFファイル…

第3回名古屋読書会レポ後編「寒いから帰ってきたスパイ」(執筆者・大矢博子)

※ネタバレは極力避けたつもりですが、物語のテーマに触れています。寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)作者: ジョン・ル・カレ,宇野利泰出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1978/05/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 40回この商品を含むブ…

偵察任務#01:M・クライトン&R・プレストン『マイクロワールド』(執筆者・矢口誠)

会社を辞めて翻訳の仕事をはじめたとき、わたしは有能で有名な翻訳家になりたいと思っていた。しかし、それから10余年、残念ながらこの目標はいまだに達成されていない。はて、いったいこれはなぜなのか? 「もしかしたら、あなたが無能だからではございませ…

第3回名古屋読書会レポ前編「ル・カレ気分でロックンロール」(執筆者・大矢博子)

名古屋読書会幹事Bこと加藤氏は満足していた。課題図書がジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』というのは我ながらいいチョイスだ。なんと言ってもタイムリー。「裏切りのサーカス」が封切られ、ミステリマガジンでも特集が組まれるというこのタ…

在外翻訳者の憂鬱(執筆者・栗原百代)

4 世界に、天にヘルプ! こんにちは。在港ぎりぎり訳者(←先週記事参照)のクリハラです。 香港ID所持者なのに、今ごろ香港のボルヘスこと董啓章『地図集』(藤井省三、中島京子訳、河出書房新社)を読んでます。英語と漢字の多義性を活かした絢爛たる与…

新潮文庫5月の新刊

暴行/ Acts of Violence (2009) ライアン・デイヴィッド・ヤーン Ryan David Jahn/田口俊樹訳 定価:704円/発売日:2012/05/01 ISBN: 978-4-10-218041-9暴行 (新潮文庫)作者: ライアン・デイヴィッドヤーン,Ryan David Jahn,田口俊樹出版社/メーカー: 新潮…

最新海外ミステリーニュース20120527(執筆者・木村二郎)

2012 CWA Dagger Award Shortlists (part1)The Crime Writers' Association of Britain has announced the shortlists for six CWA Daggers as follows: CWA International Dagger: The Potter's Field, by Andrea Camilleri, translated by Stephen Sartare…

第2回福島読書会IN二本松レポート――『オランダ靴の謎』もしくは二本松玉羊羹の謎(執筆者・高橋恭美子)

行ってまいりました、第2回福島読書会。 前回は大雪のため欠席者続出と聞いたので、不測の事態に備え、前夜から安達太良山のふもとの岳温泉で合宿にはいった翻訳者N嬢とわたし。ここで課題本の結末をじっくりと読みこみ、オランダ靴の謎をみごと解明し、入…

藤原編集室通信(出張版) 第8回

探偵小説とテクノロジー、あるいは疎外された名探偵 当編集室ではミステリや海外文学の紹介企画のほかにも、数は多くありませんが、文化史、文学研究などの人文書にも力を入れています。一回お休みを頂いているあいだに専念していたのが、おもに19世紀西欧の…

#4『ベローナ・クラブの不愉快な事件』

ピーター・ウィムジイ卿シリーズをピーターのキャラクター的成長から読み解く、というこの試みも第四回。はたして楽しんでくださってる方はいるのかしら、といささかの危惧を抱きつつも、今回もやってまいりました。今日は第四巻、『ベローナ・クラブの不愉…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第七十七回(執筆者・霜月蒼)

ラリパッパ探偵が妄想と霊感で捜査するピンチョン『LAヴァイス』を読め!(執筆者・牧眞司)

まぬけな推理、だらしない捜査、なげなりな人生……ミステリの長い歴史において、ぐだぐだ迷探偵は何人も登場してきた。その系譜につらなるイカしたニューフェイスが『LAヴァイス』の主人公ラリー・“ドック”・スポーテッロくんだ。彼はマリファナが手放せな…

在外翻訳者の憂鬱(執筆者・栗原百代)

3 不完全ペーパーレス化運動、とぼとぼ展開中 在港ぐだぐだ訳者クリハラの連載も、ついに3回目。で、ふと思ったのですが、香港を舞台にした翻訳ミステリーってどんなのがありましたっけ? 中国の玄関口として国際陰謀ものと相性がいいのかしら。ル・カレ『…

東京創元社 5月の新刊

『皇帝のかぎ煙草入れ【新訳版】』/The Emperor's Snuff-Box ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)/駒月雅子・訳 創元推理文庫/定価777円(税込)/5月19日/ISBN:978-4-488-11832-7 フランスの避暑地ラ・バンドレットに暮らす若い女性イヴは…

扶桑社海外文庫5月の新刊

大追跡(上・下)/ The Chase (2007) クライブ・ カッスラー Clive Cussler /土屋晃訳 定価各650円(税込)/発売日2012/04/26 ISBN: 978-4-594-06596-6 ISBN: 978-4-594-06597-3大追跡 (上) (扶桑社ミステリー)作者: クライブ・カッスラー出版社/メーカー…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第32号

田口俊樹 趣味のパチンコ。あんまり賢そうな人はやってませんが、あれはあれでけっこう奥の深い遊びでしてね。当たりが来ないときにはとことん来ない。だいたい三百数十回に一回は当たるように設定されてるんですが、千回、二千回とやっても来ないことがある…

この思い、あの人に届け! 第15回「MYこれ!クション西田ひかるBEST」『スカーペッタ』の巻(執筆者・挟名紅治)

『スカーペッタ』って、何を今さらって感じのタイトルだよなー。シリーズ16作目にして敢えて主人公の名前を題名にするのって、何か意味あんのかなー。と言いつつこの連載のサブタイトルも「MYこれ!クション 西田ひかるBEST」と、あの人の名前が入っているCD…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第七十六回(執筆者・霜月蒼)

第十五回『虎の眼』の巻(執筆者・東京創元社S)

第15回『虎の眼』の巻 みなさんこんにちは。最近、竜巻が発生して各地に大きな被害をもたらしたようで、驚きました。冒険小説を読んでいるとけっこう自然と闘う描写が多い気がするのですが、やっぱりものすごい脅威だからなんだなぁとしみじみ思います。被害…

在外翻訳者の憂鬱(執筆者・栗原百代)

2 モノとしての本(後)からモノ以上としての本へ どうも。今日も湿気ずぶずぶの香港より、在外翻訳者の栗原百代です。 こちらに来てがっかりしたのは、市街地では業務用を除いて自転車走行が不可なこと。まあ、四輪車はやたら多いし警笛ガンガン鳴らすし、…

第2回福島読書会 開催!【再掲】

翻訳ミステリー読書会第二回福島大会in二本松 5月開催! 第二回福島読書会の課題図書は、本格ミステリーの王道エラリー・クイーン『オランダ靴の謎』 フェアプレイと論理のアクロバット、読者への挑戦を存分にご堪能ください ■5月19日 土曜日 午後4時受…

原書房《コージーブックス》5月の新刊

ドーナツ事件簿(1) 午前二時のグレーズドーナツ/ Glazed Murder (2010) ジェシカ・ベック Jessica Beck /山本やよい訳 価格:¥880/発売日: 2012/5/10 ISBN: 978-4562060023午前二時のグレーズドーナツ―ドーナツ事件簿〈1〉 (コージーブックス)作者: ジ…

くりかえし読む、時間をかけて読むということ(執筆者・林さかな)

3人目の子どもを出産後、フルタイムで働きながらの子育てに一区切りをつけました。核家族で毎日をてんやわんやの大忙しの日々を過ごしていたので、子どもの笑顔を楽しむ時間もままならなくなっていたからです。自分で時間をコントロールできる仕事にシフト…

書評七福神の四月度ベスト発表!

書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。 刊行点数ががくっと減ってしまった先月の状況を見て心配していたのですが、四月は何事もなかったかのように元に戻り、ほっとひと安心なのでした。今月も良作揃い。七福神の時間で…

Film7『ある秘密』(執筆者・三橋曉)

ミステリ試写室 film 7 ある秘密 ホロコーストと向き合った文学作品は多いが、フィリップ・グランベールの「ある秘密」は、物語の要に謎があって、それがやがて説き明かされていく面白さがあるという点で、ウィリアム・スタイロンの「ソフィーの選択」(19…

第二十九回はマシュー・ダンとマーク・グリーニーの巻(執筆者・寶村信二)

今回紹介する二人の作家、マシュー・ダンとマーク・グリーニーは共に情報組織の工作員を主人公とする作品を書いていますが、その設定はかなり対照的です。 ダン描くところの主人公はMI6(英国情報局秘密情報部)工作員のウィル・コクラン。著者自身も元MI6と…

2012年4月度カンパご報告

以下の方からカンパをちょうだいしました。 心よりお礼申し上げます。 ヨダヨウさま 資金カンパにつきましては、こちらをご覧ください。 翻訳ミステリー大賞シンジケート事務局

在外翻訳者の憂鬱(執筆者・栗原百代)

1 モノとしての本(前) 2009年10月、香港に転居しました。 英語の本を日本語の本に翻訳する仕事をしている栗原百代と申します。 初めての訳書を出してもらったのが1999年なので、11年目の転機でした。 ちなみに香港は、日本とは時差1時間(東京が朝9時な…

第2回福島読書会 開催!【再掲】

翻訳ミステリー読書会第二回福島大会in二本松 5月開催! 第二回福島読書会の課題図書は、本格ミステリーの王道エラリー・クイーン『オランダ靴の謎』 フェアプレイと論理のアクロバット、読者への挑戦を存分にご堪能ください ■5月19日 土曜日 午後4時受…