古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その2(執筆者・藤原義也)
一世を風靡したラドクリフ夫人の作品も、現在ではそのテンポが悠長に過ぎるし、二百年前の読者をとりこにしたサスペンスも、残念ながら少々色あせてしまっている。ゴシック小説で、現代のミステリ・ファンにお勧めしたいのは次の二作。
(1)ウィリアム・ゴドウィン『ケイレブ・ウィリアムズ』(1794)(岡照雄訳、国書刊行会・品切)
ケイレブ・ウィリアムズ (1982年) (ゴシック叢書〈18〉)
- 作者: ウィリアム・ゴドウィン,岡照雄
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
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(2)ジェイムズ・ホッグ『悪の誘惑』(1824)(高橋和久訳、国書刊行会・品切)
- 作者: J.ホッグ,高橋和久
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19世紀半ば以降、このゴシック小説の流れを受け継いだのが、いわゆる「ヴィクトリアン・スリラー」と呼ばれる小説群。現在のペーパーバックに相当する廉価本や雑誌も登場して、大衆的な小説市場が形成されていくなかで抜群の人気を誇ったストーリーテラーが次の二人の巨人。
(3)ウィルキー・コリンズ『白衣の女』(1860)(中島賢二訳、岩波文庫)
- 作者: ウィルキー・コリンズ,中島賢二
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- 作者: ウィルキー・コリンズ,中島賢二
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(4)『ディケンズ短篇集』(小池滋・石塚裕子訳、岩波文庫)
- 作者: ディケンズ,小池滋,石塚裕子
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そのころ英仏海峡の向こうのフランスでは、新聞小説という新しいメディアで、もうひとりの偉大なストーリーテラーが誕生していた。
(5)エミール・ガボリオ『ルルージュ事件』(1866)(太田浩一訳、国書刊行会)
- 作者: エミールガボリオ,´Emile Gaboriau,太田浩一
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以上、ホームズ登場以前の5冊をあげてみた。百四十年から二百年以上前の作品だが、どれもびっくりするほど面白く、新しい。十九世紀初めの読書系女子キャサリン嬢と同じように、こういう面白い小説を「一生読んでいたい」と思うのだ。
藤原義也
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952/01/22
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- 作者: ミルワードケネディ,Milward Kennedy,横山啓明
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
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- 作者: チャールズディケンズ,小池滋
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- 作者: E・ガボリオ,松村喜雄
- 出版社/メーカー: 旺文社
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