年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その1
2009年10月の開設以来、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」はみなさまの多大なるご支持をいただいてまいりました。感謝の気持ちをこめて、大晦日特別ブックガイドをお届けします。7人の書評七福神が事前打ち合わせ全く無しに「年末年始の休みに読むべきベスト」を挙げ、108冊のリストを作り上げました。趣味嗜好はそれぞれ違いますが、共通しているのは翻訳ミステリーが好きで仕方がないということ。さあ、どんなリストが出来上がりますことか……。
まずは、北上次郎提供のリストから始めましょう。
【北上次郎のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。
1『北壁の死闘』ボブ・ラングレー/海津正彦訳(創元ノヴェルズ)1980年刊行
気の遠くなるようなクライミング・シーンが圧巻。ホントにすごい。(北上)
2『穴』ジョゼ・ジョバンニ/岡村孝一訳(ハヤカワ・ミステリ)1958年刊行☆
刑務所から脱獄するまでを克明に描くジョバンニの出世作。(北上)
3『夜が終わる場所』クレイグ・ホールデン/近藤純夫訳(扶桑社ミステリー)1999年刊行
この年の自信のベスト1だったのに、各種アンケートでは下位に甘んじて淋しかった。(北上)
4『依頼なき弁護』スティーヴ・マルティニ/菊谷匡祐訳(集英社文庫)1994年刊行☆
どんでん返しの職人マルティニの傑作。(北上)
5『罪の段階』リチャード・ノース・パターソン/東江一紀訳(新潮文庫)1992年刊行☆
リーガルサスペンス界の東の横綱が放つ堂々の大傑作。(北上)
6『立証責任』スコット・トゥロー/上田公子訳(文春文庫)☆1990年刊行
文学派トゥローは西の横綱だ。ちなみにグリシャムは幕下。(北上)
7『ヴァチカンからの暗殺者』A・J・クイネル/大熊栄訳(新潮文庫)1987年刊行☆
敵地潜入ものの傑作として読まれたい。(北上)
8『パンドラ抹殺文書』マイケル・バー=ゾウハー/広瀬順弘訳(ハヤカワ文庫)1980年
こちらはスパイ小説の傑作だ。(北上)
9『フィーヴァードリーム』ジョージ・R・R・マーティン/増田まもる訳(創元ノヴェルズ)1982年刊行
人間と吸血鬼との友情を描く異色の長編。(北上)
10『戦慄のシャドウファイア』ディーン・R・クーンツ/白石朗訳(扶桑社ミステリー)1987年刊行☆
夫が爬虫類になって妻を延々追いかけてくる話。ただそれだけなのに、ここまで迫力満点に読ませるのがすごい。(北上)
11『リプレイ』ケン・グリムウッド/杉山高之訳(新潮文庫)1987年刊行
43年間生きてきた記憶と知識を持ったまま17歳の自分にタイムスリップした男が、いかに「もう一度の人生」を生きていくかを描いた胸キュン長編。(北上)
12『透明人間の告白』H・F・セイント/高見浩(新潮文庫)1987年刊行
透明になった途端に、どうやって会社にいけばいいか悩むところが面白い。
透明人間が都会でどう生き延びていくのかという大サバイバル小説である。(北上)