年末特別企画2009〜2010年末年始に読みたいこの1冊 その2


(つづく)


 続いて千街晶之のリストです。


千街晶之のお薦め作品】※他の七福神との重複除く。☆は残念ながら現在品切れです。
13『ナイン・テイラーズ』ドロシー・L・セイヤーズ浅羽莢子訳(創元推理文庫)1934年刊行
晦日が関係するミステリということで、これも外せない。豊饒なドラマと、「よくこんなこと思いついたなあ」と言いたくなるインパクト満点のトリック、ともに忘れ難い。(千街)
ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)
14『死の殻』ニコラス・ブレイク大山誠一郎訳(創元推理文庫)1936年刊行☆
死体が発見された小屋の周囲の雪上には、ただ一筋の足跡が……。登場人物の心理描写と論理的な謎解きの両立を図ったブレイクの初期の代表作。(千街)
死の殻 (創元推理文庫)
15『大鴉の啼く冬』アン・クリーヴス/玉木亨訳(創元推理文庫)2006年刊行
イギリス最北端のシェトランド島で起こった少女殺害事件。寒々しい風土で繰り広げられる陰鬱な人間模様と、大胆極まる真犯人の隠し方が印象に残る。(千街)
大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)
16『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』ギルバート・アデア/松本依子訳(ハヤカワ・ミステリ)2006年刊行
ミステリ好きなポストモダン文学の旗手がクリスティーに捧げたオマージュ。あっけらかんと人を食ったトリックと真相が愉快。日本の新本格ファンにもお薦め。(千街)
ロジャー・マーガトロイドのしわざ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1808)
17『ホッグ連続殺人』ウィリアム・L・デアンドリア/真崎義博訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)1979年刊行
TVのミステリドラマなどでしばしば使われるネタなので、今となってはやや新味を欠くかも知れないが、やはり元祖には元祖の強みがある。ラスト一行はミステリファンにとって永遠の語り種だ。(千街)
ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
18『割れたひづめ』ヘレン・マクロイ/好野理恵訳(国書刊行会)1968年刊行
そこで寝た者は死ぬと言われている開かずの間で、新たな犠牲者が……。巧妙な伏線の張り方と、繊細で瑞々しい情景描写が冴える、後期マクロイの代表作。(千街)
割れたひづめ 世界探偵小説全集 44
19『グリーン家殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン/井上勇訳(創元推理文庫)1928年刊行
例年より早い冬の訪れとともに、陰惨な連続殺人事件の幕が上がる。江戸川乱歩小栗虫太郎浜尾四郎ら戦前の日本の探偵作家にも影響を与えた、「お屋敷もの」の古典中の古典。(千街)
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)
20『五番目のコード』D・M・ディヴァイン/野中千恵子訳(現代教養文庫)1967年刊行☆
黄金期本格と現代本格をつなぐ実力派ディヴァインの、復刊が待たれる逸品。物語のごく早い時点から、重大なデータをフェアかつ大胆に提示しているのには感服させられる。(千街)
五番目のコード (現代教養文庫)
21『赤き死の訪れ』ポール・ドハティー/古賀弥生訳(創元推理文庫)1992年刊
舞台は14世紀、テムズ川も凍りつく極寒のロンドン。血塗られたロンドン塔で、悪魔の仕業のような殺人が続発する。不可能興味溢れる中世歴史ミステリ。(千街)
赤き死の訪れ (創元推理文庫)

(つづく)