2010-01-01から1年間の記事一覧

アガサ・クリスティー攻略作戦 第四十回(執筆者・霜月蒼)

扶桑社文庫12月の新刊

蘇えるスナイパー(上・下)/I,SNIPER(2009) スティーヴン・ハンター (Stephen Hunter)/公手成幸訳 定価各890円(本体価格各848円+税)/発行:2010/12/01 ISBN:(上)9784594063139、(下)9784594063146蘇えるスナイパー (上) (扶桑社ミステリー)作者:…

第2回『さらば、愛しき鉤爪』

dinosaur is alive! ──エリック・ガルシア『さらば、愛しき鉤爪』 さらば、愛しき鉤爪 (ヴィレッジブックス F カ 1-1)作者: エリック・ガルシア,酒井昭伸出版社/メーカー: ウイーヴ発売日: 2001/11/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 4回この商品を含む…

角川文庫11月の新刊

きょうも上天気―SF短編傑作選― 浅倉久志訳/大森望編 角川文庫/定価950円(税込)/2010年11月25日発売/ISBN: 978-4-04-298213-5きょうも上天気 SF短編傑作選 (角川文庫)作者: フィリップ・K・ディック,カート・ヴォネガット・ジュニア,他,大森望,宮尾…

キャロル・オコンネルの話——助走(執筆者・務台夏子)

「キャロル・オコンネルの話を中心に何か」——そんなお題を頂いて、どうしたものか、ずっと頭を悩ませてきた。もちろんオコンネルの作品は大好きだし、全部読んでいるし、その半数くらいは自分で翻訳しているわけだから、トピックはいくらでもありそうなもの…

第2回翻訳ミステリー大賞一次投票の開票終了!

【12月3日・都内某所における開票作業。写真・左から:鈴木恵、田口俊樹、加賀山卓朗】 2009年12月から2010年10月に刊行された翻訳ミステリーの中から最優秀作を選ぶ翻訳ミステリー大賞は、いよいよ12月8日夜に最終候補5作が発表されます。ネット上での報…

電子書籍『サバービアとミステリ 郊外/都市/犯罪の文学』を第11回文学フリマで販売します(抜粋紹介)

来る12月5日の第11回文学フリマにおいて、当シンジケート協賛の電子書籍が刊行されます。タイトルは『サバービアとミステリ 郊外/都市/犯罪の文学』。それを記念して、本サイトでは同書の一部を抜粋掲載いたします。少々長い記事になってしまいますが、ぜ…

集英社文庫11月の新刊

心理検死官ジョー・ベケット/THE DIRTY SECRETS CLUB (2008) メグ・ガーディナー(Meg Gardiner)/山田久美子・訳 集英社文庫/定価950円(税込)/2010年11月19日発売/ISBN978-4-08-760615-7 心理検死官ジョー・ベケット (集英社文庫)作者: メグ・ガーディナ…

第2回『通り魔』

87分署シリーズ第2作『通り魔』です。前作『警官嫌い』で活躍したスティーヴ・キャレラはここには書けないある事情でアイソラの街を離れており、最終章で少しだけ顔を出す程度。メインキャラ(?)不在の87分署で果たして誰が主役を張るのか、気になるとこ…

東京創元社 11月の新刊

東京創元社 11月の新刊 『史上最悪のクリスマスクッキー交換会』/Christmas Cookie Murder レスリー・メイヤー(Leslie Meier)/高田惠子・訳 創元推理文庫/定価987円(税込)/11月20日/ISBN:978-4-488-24808-6 毎年楽しみにしているクリスマスクッキ…

第一の刺客:ジル・チャーチル(その2)

前回の掲載のあと、さすがに第一回なものだから反応が恐くて一応友人には尋ねてみるわけですよ。「ど、どうだった?」と。すげえビクビクしながら。 で、意外に多かったのが「あのコージー・ミステリってやつ、何なの?」という肩すかしを食らう反応で。 い…

早川書房 11月の新刊

『最後の音楽』/Exit Music (2007) イアン・ランキン(著)/延原 泰子(訳) ISBN:978-4-15-001841-2/刊行日:2010/11/10 定価2,205円(税込)/ハヤカワ・ミステリ 〈ハヤカワ・ミステリ1841〉クリスマス近づく夜、エジンバラ城脇の寂しい道で、ひとりの…

第十一回はニナ・ライトの巻(執筆者・片山奈緒美)

今回ご紹介する原書は、わたくし犬好き翻訳者のカタヤマがジャケ買いならぬ表紙買いした作品。青空の下、長毛の大型犬が野原をのんびり散歩中。ああ、いいなぁ。大型犬の鷹揚な感じが出ているなぁ。このいかにもお嬢さま犬っぽい大型犬が活躍するミステリな…

ヴィレッジブックス11月の新刊

いとけなく愛らしき者たちよ/PRETTY LITTLE THING (2010) ジリアン ・ホフマン(Jilliane Hoffman)/吉田利子訳 定価903円(税込)/2010年11月20日発売 ISBN: 978-4-86332-291-2 あの『報復』のホフマンが再び世界を震撼させる! レイニーは13歳の可憐な少女…

翻訳者は月に一度、靴を履く・第4回(執筆者・池田真紀子)

猫は、毛皮を着たミステリーです。 うちの猫の例を以下に2つ。 1 目覚まし時計のミステリー ――アラームが鳴りはじめた瞬間にはもう、ベッドから床にすたん!と下りているのはなぜ? たとえば目覚ましの音が「ピピピピピピ……」なら最初の「ピ」か2つめの「…

翻訳ミステリー大賞・第一次選考締切のご案内

■翻訳ミステリー大賞とは何ですか? 2009年10月1日に設立された翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ賞です。海外作品の原著者と日本の読者の架け橋となる翻訳家が選ぶ翻訳ミステリーという点を一番の特徴にしたいと考えております。 ・賞の正式名称:「翻訳…

武田ランダムハウスジャパン11月の新刊

クリスマス・ラテのお別れ コクと深みの名推理(8)/Holiday Grind (2009) クレオ・コイル(Cleo Coyle)/小川敏子訳 定価:924円(税込)/刊行日:2010/11/10 ISBN:978-4-270-10369-2クリスマス・ラテのお別れ コクと深みの名推理8 (RHブックス・プラス)…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第3号

翻訳者の近況を伝えるコーナーもこれで3回目。今回は原稿到着順です。 田口俊樹 先週一週間ほど、妻のお供でバリ島に行ってきました。 妻が旅行好きなので、夫婦円満のため、できるだけつきあうようにしているのですが、実のところ、外国旅行はあまり好きで…

第二回 『泥棒のB』

前回の『アリバイのA』に続いて、今回は「キンジー・ミルホーン」シリーズ第二弾『泥棒のB』に挑戦。ちなみにこの作品は1986年の私立探偵作家クラブ賞とアンソニー賞を受賞しているそうな。ふうーん。泥棒のB (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: スー・グラフ…

アガサ・クリスティー攻略作戦 第三十九回(執筆者・霜月蒼)

当サイトのバナーができました!

いつも当「翻訳ミステリー大賞シンジケート」をごらんいただきありがとうございます。 このたび「レイモンド・チャンドラーの世界」の管理人・加藤篁さんにお願いして当サイトのバナーを作成していただきました。加藤さん、どうもありがとうございます。 バ…

TVを消して本を読め!第十三回(執筆者・堺三保)

第十三回 迫真の警察ドラマ「サウスランド」 前にも何かで書いたような気がしますが、アメリカの地上波放送における視聴率争いの激しさは、日本の比ではありません。視聴率が悪ければ、シーズン途中であろうと、あっというまに打ち切りが待っているのです。…

小学館文庫11月の新刊

ブレイキング・ポイント/Winged Creatures (2007) ロイ・フライリッチ(Roy Freirich)著/船越隆子訳 小学館文庫/定価 860円(税込)/発行年月日:2010/11/05 ISBN:9784094082449 ブレイキング・ポイント (小学館文庫)作者: ロイフライリッチ,Roy Freirich,…

翻訳者は月に一度、靴を履く・第3回(執筆者・池田真紀子)

同じ作家の作品を何冊も訳していると、その作家個人をよく知っているような気になるもの。今月上旬に来日したジェフリー・ディーヴァーさんは、作品から想像していたとおりの人だった。誠実で、ロマンチストで、茶目っ気があって、何よりサービス精神旺盛。…

最新海外ミステリーニュース20101121(執筆者・木村二郎)

MWAグランドマスター(巨匠)賞発表 The Mystery Writers of America (MWA) will present Sara Paretsky with the 2011 Grand Master Award at The Edgar Awards Banquet to be held at the Grand Hyatt Hotel in New York City on April 28, 2011. The M…

翻訳ミステリー大賞・第一次選考締切のご案内

■翻訳ミステリー大賞とは何ですか? 2009年10月1日に設立された翻訳ミステリーの年間ベスト1を選ぶ賞です。海外作品の原著者と日本の読者の架け橋となる翻訳家が選ぶ翻訳ミステリーという点を一番の特徴にしたいと考えております。 ・賞の正式名称:「翻訳…

扶桑社発のひとりごと 20101119(執筆者・T)

第2回 「ひとりごと」と題しながら、なんだか妙な話をはじめてしまい、前回は、出版ビジネスの大枠をご説明し、近所の書店にほしい本が置かれていない理由にたどり着きました。 それでも、世間に本はあふれていますよね。いったい、どれぐらいの種類の本が…

文藝春秋・11月の新刊

ウォッチメイカー/The Cold Moon (2006) ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳 ISBN 9784167705886(上巻)/ISBN 978416770589(下巻) 11月10日発売 文春文庫(上下) /定価770円(上巻)、720円(下巻) このミステリーがすごい!第1位! 週刊文春ミ…

第1回『警官嫌い』

はじめまして。三門優祐と申します。性格のワルーイ、ねじれた小説が好きな陰険人間です。本の読み方は大変気まぐれな自由連想式で、手元にある本をふと思いついた時に読みます。新刊書を買って、灰汁抜きと称し数ヶ月放置してから読む非常に問題のある習性…

第一の刺客:ジル・チャーチル(その1)

あるとき七福神の一人、川出正樹氏に尋ねられた。 「君、一番苦手な作家はなんだ」 苦手……苦手な作家と言われても返答に困る。 クロフツは、カーはどうだ、と言われる。どうにも妙な具合で作品数が多い古典本格ものの作家を挙げられるのだが、まあこの辺は私…