【毎月更新】非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると

【横山秀夫『64』CWA賞結果発表】日本ミステリー英語圏進出の「その後」(5)(執筆者・松川良宏)

◆インターナショナル・ダガー賞、受賞作決定! この連載《日本ミステリー英語圏進出の「その後」》は、横山秀夫『64』(ロクヨン)の英訳版が英国推理作家協会(CWA)のインターナショナル・ダガー賞(最優秀翻訳長編賞)にノミネートされたことをきっかけに…

【横山秀夫『64』CWA賞最終候補記念】日本ミステリー英語圏進出の「その後」(4)(執筆者・松川良宏)

前回の記事の末尾で予告したとおり、今回は綾辻行人『十角館の殺人』や有栖川有栖『孤島パズル』の英訳版を刊行したアメリカの出版社「Locked Room International」について紹介するが、その前に現在書店に並んでいる講談社『IN☆POCKET』2016年9月号(9月15…

【横山秀夫『64』CWA賞最終候補記念】日本ミステリー英語圏進出の「その後」(3)(執筆者・松川良宏)

今回の記事では、世界の古典的名作ミステリーを英訳出版するイギリスの叢書《プーシキン・ヴァーティゴ》(2015年9月創刊)を紹介するが、その前にまずは先日発表されたインターナショナル・ダガー賞の最終候補(ショートリスト)に触れておきたい。 連載の…

【横山秀夫『64』CWA賞ノミネート記念】日本ミステリー英語圏進出の「その後」(2)(執筆者・松川良宏)

横山秀夫『64(ロクヨン)』が英国推理作家協会賞の候補になったのを機に、ここ2、3年の日本ミステリーの英語圏進出状況を連載させていただくことになった。今回が連載第2回となるが、せっかくなので旬な話題をメインに紹介していこう。 関連記事 「非英語圏…

【横山秀夫『64』CWA賞ノミネート記念】日本ミステリー英語圏進出の「その後」(1)(執筆者・松川良宏)

◆【祝】横山秀夫『64』、インターナショナル・ダガー賞ノミネート 日本時間の2016年5月21日未明、英国推理作家協会(CWA)インターナショナル・ダガー賞の「第一次候補」8作が発表され、そのうちの1作に横山秀夫『64(ロクヨン)』が選出された。『64』は日…

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その4)(執筆者・松川良宏)

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その1)は【こちら】 「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その2)は【こちら】 「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その3)は【こちら】 ここでは「北欧」「ドイツ語圏」「その他」の、それぞ…

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その3)(執筆者・松川良宏)

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その1)は【こちら】 「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その2)は【こちら】 続いて、64位〜100位の発表です。 【64位(11ポイント/2票) 16作】 『密室』シューヴァル&ヴァールー(スウェーデン…

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その2)(執筆者・松川良宏)

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その1)は【こちら】 続いて、31位〜62位の発表です。 【31位(25ポイント/4票)】 『エーミールと探偵たち』エーリヒ・ケストナー(ドイツ) エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))作者: エーリヒ・ケス…

「非英仏語圏ミステリベスト100」結果発表!(その1)(執筆者・松川良宏)

9月3日に実施要項を載せていただき、9月10日〜22日の期間で投票を募ったオールタイムベスト選出企画「非英仏語圏ミステリベスト100」はおかげさまで67名の方からご投票いただくことができました。結果はTwitterにて9月23日に発表したのですが、こちらで…

Twitterにて「非英仏語圏ミステリベスト100」アンケート実施!(執筆者・松川良宏)

フランスミステリのオールタイムベストを選出する先日のアンケート企画「フランスミステリベスト100」に続いて、今度は北欧やドイツ、イタリア、スペインその他のミステリの邦訳を対象とする「非英仏語圏ミステリベスト100」を実施いたします! ※投票開始は1…

フランスミステリベスト100結果発表!(その3)(執筆者・松川良宏)

■「フランスミステリベスト100」結果発表!(その3) 【フランスミステリベスト100結果発表!(その1)】はこちら 【フランスミステリベスト100結果発表!(その2)】はこちら 続いて70位〜100位です。(正確にいうと、90位が11作品あるので70位〜90位) 【70位(1…

フランスミステリベスト100結果発表!(その2)(執筆者・松川良宏)

■「フランスミステリベスト100」結果発表!(その2) 【フランスミステリベスト100結果発表!(その1)】はこちら 続いて、31位〜69位です。 【31位(25ポイント/5票) 2作】 『死体をどうぞ』シャルル・エクスブライヤ 『私のすべては一人の男』ボアロー&ナ…

フランスミステリベスト100結果発表!(その1)(執筆者・松川良宏)

■「フランスミステリベスト100」結果発表!(その1) 7月31日に実施要項を載せていただいたTwitter企画「フランスミステリベスト100」は、締切の8月12日までに67名の方から投票をいただき、翌8月13日に予定通りTwitterにて結果を発表いたしました。投票して…

Twitterにて「フランスミステリベスト100」アンケート実施!(執筆者・松川良宏)

先日掲載された「非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると」の最終回(オランダ・フランドル編)でも簡単に告知させていただきましたが、Twitterにて、フランスミステリのオールタイムベストを選出するアンケート企画「フランスミステリベスト100」を実施いたし…

【最終回】第17回 オランダとフランドルのミステリー賞(執筆者:松川良宏)

2013年4月から連載させていただいた「非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると」も今回でひとまず最終回です。それを記念して(?)というわけでもないのですが、Twitterで近日、フランス語圏のミステリー小説のオールタイムベストを選出するアンケート企画「フ…

第16回 キム・ネソン(金来成)と韓国のミステリー賞(執筆者:松川良宏)

昨年に続いて、筆者のサイト内に「非英語圏ミステリ2014年の邦訳出版一覧」を作成しました。どうぞご利用ください。 ◆各国のミステリー創作の先駆者たち 世界のミステリー賞では多くの場合、その国や地域のミステリー創作の先駆者や、代表的なミステリー作家…

第15回 インターナショナル・ダガー賞(執筆者:松川良宏)

本題に入る前に今回はまず、非英語圏ミステリーに興味のある人にぜひ読んでもらいたい書籍を紹介する。今月24日に盛林堂ミステリアス文庫の1冊として限定400部で刊行される加瀬義雄氏の『失われたミステリ史』である。これは昨年逝去された加瀬義雄氏がミス…

第14回 日本のミステリー小説の仏訳状況(執筆者:松川良宏)

以前にこの連載で「日本のミステリー小説の英訳状況」を紹介したことがあるが、今回はフランス語への翻訳状況を紹介する。2か月ほど前、中村文則がアメリカのミステリー賞、デイヴィッド・グーディス賞の2014年の受賞者に決定した。日本の作家が英語圏のミス…

第13回 中東欧・バルカン半島のミステリー賞(執筆者:松川良宏)

今回は中東欧およびバルカン半島のミステリー賞やコンテストをいくつか紹介する。分からないことも多いのだが、今ここで言及しておかないと今後も永久に触れられずじまいになりそうなので、不確かながらもこの機会にまとめておくことにする。 ◆ルーマニア ル…

第12回 グーディス、密室、ボリウッド(執筆者:松川良宏)

《日本のミステリー小説の英訳》に関連するニュースが最近いくつか続けて入ってきたので、今回はその紹介をしたいと思う。連載タイトルの「非英語圏ミステリー賞」とはほぼ関係ないものになってしまうが、この連載では以前に例外的に日本のミステリー小説の…

第11回 ドイツ語圏のミステリー賞(執筆者:松川良宏)

◆進撃のドイツ語圏ミステリー 2011年にドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』が邦訳されて以来、日本国内でドイツ語圏ミステリーへの注目度が格段に上がってきている。2011年以降に新たに紹介されたドイツのミステリー作家にはゾラン…

第10回 アメリカのミステリー賞と日本ミステリー(執筆者・松川良宏)

今回は日本のミステリー小説が今後受賞する……ことがひょっとしたらあるかもしれないアメリカのミステリー賞を紹介する。なおその前提として、第9回では日本のミステリー小説の英訳状況を紹介した。未読の方はそちらもぜひご覧ください。 ※非英語圏ミステリー…

第9回 日本のミステリー小説の英訳状況(執筆者・松川良宏)

今回はやや趣向を変えて非英語圏のミステリー小説(日本の小説含む)が候補になり得る英語圏のミステリー賞を紹介しようと思ったのだが、それは次回にまわして、今回はまずその前提として日本のミステリー小説の英訳状況を紹介する。 2012年、東野圭吾の『容…

第8回 中国編(執筆者・阿井幸作)

中国のミステリーの歴史は意外と長い。唐代の政治家・狄仁傑や北宋の政治家・包拯を主人公にした公案小説をミステリー小説のジャンルに並べていいのかどうかは未だに議論の余地があるが、中国ミステリーの潮流は20世紀初頭に既に発生している。清代末期から…

第7回 北欧その4 アイスランド・フィンランド編(執筆者・松川良宏)

■非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると 北欧編バックナンバー■ 非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると 北欧その1 スウェーデン編 非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると 北欧その2 デンマーク編 非英語圏ミステリー賞あ・ら・かると 北欧その3 ノルウェー編 ◆アイ…

第6回 北欧その3 ノルウェー編(執筆者・松川良宏)

※「北欧編」は全3回の予定と以前に書きましたが、3回では足りませんでした。スウェーデン編、デンマーク編、そして今回のノルウェー編と来て、来月はアイスランド・フィンランド編の予定です。 ※先日「北欧ミステリ邦訳一覧」( http://www36.atwiki.jp/asia…

第5回 北欧その2 デンマーク編(執筆者・松川良宏)

◆デンマーク推理作家アカデミー ハラルド・モーゲンセン賞および最優秀新人賞 ここ数年、スウェーデン・ミステリーに勝るとも劣らない勢いを見せているのがデンマークのミステリーである。2011年にハヤカワ・ミステリ、通称ポケミスで邦訳が始まったユッシ・…

第4回 北欧その1 スウェーデン編(執筆者・松川良宏)

「北欧」とは普通、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、フィンランドの5か国を指す。人口の多い順に並べると、スウェーデン(約950万人)、デンマーク(約560万人)、フィンランド(約540万人)、ノルウェー(約500万人)、アイスランド(…

第3回 フランス編(執筆者・松川良宏)

◆フランス推理小説大賞 フランス推理小説大賞(Grand prix de littérature policière)は1948年から授与されている歴史ある賞で、新進のミステリー作家の優れた作品に与えられる。初期の受賞作はミッシェル・ルブラン『殺人四重奏』(1956年受賞)、フレッド…

第2回 イタリア編(執筆者・松川良宏)

◆前回の補足(世界ハメット賞について) イタリアのミステリー賞の紹介をする前に、まず前回の補足をしたい。 1986年創設の国際推理作家協会は当初、世界中のミステリー小説から年間最優秀作を毎年選出するハメット賞という賞を構想していた。北米のハメット…