【隔週更新】翻訳ミステリー長屋かわら版

翻訳ミステリー長屋かわら版・第28号

田口俊樹 夢の話なんですけどね。つい先日、起きたあとでもあまりに鮮明に覚えてたんで。 どう考えても新聞で読んだふたつの記事――ゾンビブームとマラソンブーム――が基になってると思うんだけれど、気づくと私、マラソン走ってるんですよね。全然そんな趣味…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第27号

田口俊樹 cup his hands around the lighter 英語を読むのは面倒くさいという人もいると思うけれど、そんなに面倒な英語でもないので、ちょっとばかりおつきあいのほどを。 私、翻訳の専門学校で講師をしているんですが、その授業でのこと。上記の英文が出て…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第26号

田口俊樹 予選委員の楽屋話。 去年12月1日には第一次投票の結果が判明。ただ、私、上位に来そうな作品はある程度読んだつもりになっていたんで、高を括って一週間ほど旅行に出てしまいました。 それが帰ってきて、さあ、大変。 予想しなかった作品が三作も上…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第25号

田口俊樹 新年明けましておめでとうございます。 当事務局も無事二度目の正月を迎えることができました。これもひとえにみなさま方のご支援ご協力の賜物です。改めてご挨拶、御礼申し上げます。 さて、第三回「翻訳ミステリー大賞」選出に向けて、候補作五作…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第24号

田口俊樹 首と腰の牽引に時々かよってる整形外科医院でのこと。 医院のまえにタクシーが停まっていました。その脇に自転車置き場があり、そこに自転車を入れようとした際、私の自転車のスタンドがタクシーの側面をこすったというか、まあ、かすったというか…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第23号

田口俊樹 ファイトいっぱ〜つ、ホーホケキョ! 夕刻、部活帰りと思しい女子中学生の一団が拙宅のまえの通りを自転車で走り去っていったときのことです。ひとりが「ファイトいっぱ〜つ!」と唱え、そのあと数人が「ホーホケキョ!」と唱和し、みんなで屈託の…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第22号

田口俊樹 先月の翻訳者エッセイで、高橋佳奈子女史がことば遊びをなさっていたので、私も真似して。 朝っぱらからなんなんですけど。よくあるワープロの変換ミス・ネタなんですけど。 レイプ被害者の女性が医師の診察を受けるシーンを訳してたんですよね。 …

翻訳ミステリー長屋かわら版・第21号

田口俊樹 先日、堅実な経営でつとに知られるH川書房の会費制でないK賞授賞パーティに招待され、わが耳を疑い、びっくり仰天して(他意はありません)いそいそと出かけてきました。 会場にはいってまたびっくり。参加者がおじいさんばっか。もちろん、人の…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第20号

田口俊樹 たまには景気のいい話を。 これまで翻訳で一番儲けた翻訳者は誰か。 私、こういう下世話な話が大好きなんですが、翻訳を始めた三十数年前、年長の編集者から教えられたのは、皆藤幸蔵さんでした。 言われて、なるほどと思いました。だって当時、聖…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第19号【読書探偵応援団】

今回は「秋の読書探偵」作文コンクールについて、それぞれが思いを語りました。 田口俊樹 敬愛する翻訳家の宮脇孝雄さんがこんなことを言ってます、すぐれた翻訳者になれるかどうかは12歳までの読書体験で決まると。 大胆な予想です。単勝万馬券の馬にぐり…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第18号

田口俊樹 最高級短パンを新調しました。 田口家御用達のイトーヨーカ堂で。 店員さんに勧められるまま新素材のやつを買いました。 いやあ、これが実に快適。 店員さんの言ってたとおりとても涼しい。 通気性が抜群なんですね。 日夜こういう生地の研究をして…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第17号

田口俊樹 動物は、ケニアの国立公園まで行っちゃうほど見るのは好きなんですが、ただ見るのが好きなだけでね。ほんとうの動物好きではありません。しかも私、どっちかというと犬派。 にもかかわらず、この猫本、とってもよかったです。 『田舎暮らしの猫 ト…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第16号

田口俊樹 ちょっとまえになりますが、同業者でおない年(還暦プラス1)の加藤洋子さんの話。 パスポートの更新で、久しぶりに撮った写真を見て、びっくりなさったそうです。あまりの老け顔に。 えええ! わたしってこんなお婆さんなの? ってわが眼を疑った…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第15号

田口俊樹 若いときには歩くのが大嫌いだったのに、なんか三年ほどまえから急に好きになりましてね。毎日4、50分、犬の散歩をしてるんですが、その散歩中でのこと。 「イヌ、イヌ、イヌ!」という幼い声が聞こえてきたかと思うと、そのあとすぐに母親らし…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第14号

長屋衆のアイコンが変わりました。どうぞご覧あれ。 田口俊樹 まずはお詫びから。 前回このコラムで、私、「天皇に納税の義務はない」と書きました。 実は、あるんですね。 読んでくださった方からご指摘を受けてわかりました。遅ればせながら、ご指摘してく…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第13号

田口俊樹 もはや旧聞に属しますが、ロイヤルウェディング。 さすが王室ですねえ、ウェストミンスター寺院の中に木が植わってましたね。 でも、植樹より植毛をしたほうがよかったのではないかと……はい、大きなお世話です。 あと見ていてなるほどと思ったのが…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第12号

お待たせしました。夜の更新になってしまってすみません。 今回は、水曜に決定した第2回翻訳ミステリー大賞の話題を中心に。 田口俊樹 私の妻の姉の話。 だいぶまえのことらしいけれど、柏崎の原発見学ツアーに参加したときのこと。 とにかく警備とか安全対…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第11号

田口俊樹 だいぶまえのことですが、同業者の東江一紀さんと都心を歩いていたら、ちょっと変わったコンビニの看板が眼に飛び込んできました――「本・弁当」。 思わず苦笑しました。すると、間髪を入れず、当意即妙、東江さんが言いました。「世の中に要らない…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第10号

田口俊樹 寄付をしました。たぶん生まれて初めて。競馬、パチンコにおける回収不能な額を考えると、あまりにちょびっとなんですが。それでも、なんかいい人になった気分でした。それまた額に見合ってちょびっとながら。 ただ、赤十字のHPを見て、ネットで…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第9号

田口俊樹 私は長いこと〈フェロー・アカデミー〉という翻訳の専門学校で講師をしてるんですが、授業のあと、生徒たちと学校の近くで飲むのが、老後の数少ない何よりの愉しみになっています。 その席でのこと。 先生ってセクハラ発言多いですよね、なんて言わ…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第8号

田口俊樹 同じ長屋の住人、鈴木恵さんが去年出会った本のベストワンに挙げておられた『観光』(古屋美登里訳、ハヤカワepi文庫)、それほど言うならと思い、私も読みました。 すんばらしい! のひとこと。久々に短篇集を一気読みしました。 何よりタイ系アメ…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第7号

今回は通常の形にもどり、それぞれの翻訳者の近況報告です。こんなお題で、というご要望がありましたら、事務局宛にメールまたはツイッターでお知らせください。 田口俊樹 エジプトが大揺れしてます。 アメリカもなんかあたふたしてる感じですよね。クリント…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第6号(その2)

今回は「よい翻訳、すぐれた翻訳とはどういうものか」というテーマで全員が書きました。メンバーの一員、田口俊樹の文章のみ、ここに分けて掲載します。ほかの6人については、下の(その1)をご覧ください。 田口俊樹 自分のことは棚に上げ、おもに三人称…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第6号(その1)

今回は、「よい翻訳、すぐれた翻訳とはどういうものか」というテーマで、7人の翻訳者が書いてみました。こんなふうにお題を決めて書くということを、今年はときどきやっていく予定です。なお、メンバーの一員、田口俊樹の文章のみ、長大なので午後に掲載さ…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第5号

翻訳者の近況を伝えるコーナー、5回目のきょうは、年末のご挨拶を兼ねて。 田口俊樹 何も悪いことはしてないのに、とうとう還暦になっちまった今年もあと一日を残すのみ。早いもんです。 歳をとっていいことなんかな〜んもありませんが、ただひとつ発見しま…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第4号

翻訳者の近況を伝えるコーナー、4回目です。 田口俊樹 第二回『翻訳ミステリー大賞』の第一次選考に投票してくださったみなさん、ありがとうございました。 このサイトでもすでに報告があったとおり、候補作、五作が決まりました。 でもって、その五作の中…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第3号

翻訳者の近況を伝えるコーナーもこれで3回目。今回は原稿到着順です。 田口俊樹 先週一週間ほど、妻のお供でバリ島に行ってきました。 妻が旅行好きなので、夫婦円満のため、できるだけつきあうようにしているのですが、実のところ、外国旅行はあまり好きで…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第2号

翻訳者7人の近況や所感をお伝えするコーナー、2回目です。 田口俊樹 ボケ防止には会話が一番、みたいなことをテレビで言っているのを聞いてから、パチンコ台にも話しかけることを心がけている。 最近は『北斗の拳』にハマってるんで、ケンシローが「おまえ…

翻訳ミステリー長屋かわら版・第1号

田口俊樹 先月、今年86歳になる母親が大腿骨骨折をやっちまいました。 早朝、姉から電話があり、即、寝たきり→ボケ、という図が頭に浮かんだのだけれど、幸い、手術がうまくいって、ほぼ入院前の生活に戻れました。 その数日後、ほっとして久しぶりに立ち…