南東京読書会(番外企画)、ミス・マープル読書会レポート(執筆者・国弘喜美代)

 
 7月16日(土)、カフェ・クリスティにてミス・マープル読書会を開催しました。課題書は『予告殺人』です。
 

 
 これまでの読書会では写真を撮り損ねてばかりでしたが、今回は忘れずに撮ったのでさっそく写真を! ミス・マープル作品の装丁がずらりと並び、セント・メアリー・ミード村のイラストマップやアガサ・クリスティー自筆の手紙も飾られていました。
 

 

 
 参加者が集まり、料理と飲み物が用意されると、「せっかくですから、まずお料理をいただきましょう」といきなりの歓談タイムです。初対面同士のかたが多く、最初はみなさんなんとなく緊張していましたが、「食べごたえありますね」「あっ、デリシャス・デス!」「紅茶のポットまわしてくださーい」とすぐに打ち解けた雰囲気に。
 
 おなかが落ち着いたところで、順番に自己紹介と課題書に関する感想をお願いしました。
「話の幕開けが鮮烈」
「イギリスの田舎の感じが好き」
「戦争の影響が色濃く感じられた」
「再読したら、伏線がしっかり張られているのがわかった」
「トリックはもちろん、心理描写がおもしろい」
「人物の造形がうまい」
「女性に対するあたたかい目がいい」
 
 参加者は20人、やはりミス・マープルファン、クリスティファンがほとんどのようで、おもしろかったという意見が多数でした。「はじめてクリスティ作品を読んだのは子供のころ」、「そう言えば、わたしの初クリスティは小学五年生のとき」という発言があり、“いつどんなふうにクリスティと出会ったか”をみなさんが自然と自己紹介に盛りこむ流れに。子供のころから読んできたファンがこんなに多いとは! 改めてクリスティの人気を思い知りました。
 
 ひととおり感想が終わったあとは、全員で意見の交換を。「ミス・マープルって何歳くらいなんだろう」「テレビドラマもいいよね」「この作品は舞台向きだと思う」など、さまざまな視点からの意見が出て、他作品との類似を指摘する声もあがりました。
 
 自己紹介では、「はじめて読んだクリスティ作品」「お勧めの(あるいは一番好きな)作品」について話す人も。やはりそして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』がはじめてという意見が目立ち、お勧めとしては、『蒼ざめた馬』『ホロー荘の殺人』『火曜クラブ』『邪悪の家』『春にして君を離れ』などの作品があがりました。こんなふうにして読みたい本がどんどん増えていくのも、読書会の醍醐味ですね。
 
 あっという間に2時間が過ぎ、英国パブでの二次会でも話は尽きません。「ミス・マープルは日本でも映像にしたらいいよね。だれがいい?」「エールとラガーのちがいっていうのはですね――」「あ、トムヒが出るから《ハイ・ライズ》観にいかなくちゃ」「トムヒもいいけどトムハもね!」と、あちこちに話題が飛びながら、ここでも大いに盛りあがりました。
 
 初対面同士のかたが多かった読書会ですが、雰囲気ばっちりの会場と料理、そしてミス・マープルという課題書のおかげでなごやかな会になりました。今回もたくさんのかたにご協力いただきました、この場を借りてお礼を申しあげます。
 
 なお、今回お世話になったカフェ・クリスティでは、9月16日(金)までキッチン・ミス・マープルを開催中とのこと。パディントン発4時50分』にちなんだカレーや、デリシャス・デス等のほかにも、パイント・ビールやモクテル(英国風ノンアルカクテル)、『動く指』にも出てくるシェリー酒などの飲み物も用意しているそうです。
 

デリシャス・デス

 

モクテル

 
 次回の南東京読書会は、10月10日(月、祝日)、課題書はチャールズ・ウィルフォード『拾った女』(浜野アキオ訳、扶桑社文庫)です。お申し込みの開始は、1か月ほど前に改めてお知らせします。みなさまどうぞ気軽にご参加ください。
 

国弘 喜美代(くにひろ きみよ)

南東京読書会の世話人のひとり、東京在住の翻訳者です。
 

これまでの読書会ニュースはこちら

 

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

蒼ざめた馬 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

蒼ざめた馬 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

邪悪の家(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

邪悪の家(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

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動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

拾った女 (扶桑社文庫)

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報復 (角川文庫)

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パリで待ち合わせ

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スペイン岬の秘密 (角川文庫)

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