2009-12-08から1日間の記事一覧

翻訳ミステリー大賞一次投票の開票進む!

【都内某所における開票作業。写真・左:田口俊樹、右:杉江松恋】 2009年に刊行された翻訳ミステリーの中から最優秀作を選ぶ翻訳ミステリー大賞は、いよいよ明日9日に最終候補5作が発表されます。ネット上での報告は、10日未明になる予定。どんな作…

新潮社12月の新刊

『片腕をなくした男』(上・下)/Red Star Rising ブライアン・フリーマントル(Brian Freemantle)/戸田裕之・訳 新潮文庫/定価:本体各629円(税別)/ ISBN:上巻=978-4-10-216560-7 下巻=978-4-10-216561-4 チャーリー・マフィン完全復活! モスクワ…

問題提起・ミレニアム三部作は本当に傑作なのか? その1(執筆者・酒井貞道)

スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作は、多くのプロの書評家が絶賛し、web上で見かけるアマチュアのレビューも大半が肯定的だ。 このブログでも状況は同じである。北上次郎氏いわく、今年の翻訳ミステリは、スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作で決…

問題提起・ミレニアム三部作は本当に傑作なのか? その2(執筆者・酒井貞道)

(承前) 以上のように構成だけでも十分やばいのに、ミレニアム三部作はキャラクター造形でもやらかしてしまっている。 三部作に統一感は希薄だが、実は一つだけ、全体を結合し得る要素がある。それが主人公リスベット・サランデルである。彼女は三部作全体…

問題提起・ミレニアム三部作は本当に傑作なのか? その3(執筆者・酒井貞道)

(承前) 以上、長々と書いて来たが、私の見解を簡単にまとめると、構造・キャラクターいずれの面から言っても、ミレニアム三部作は志が低い。女性への暴力や国家権力の理不尽、そして最終的に打ち出される社会正義の実現など、三部作に用いられた各モチーフ…