集英社文庫2月の新刊

極夜 カーモス (集英社文庫)

極夜 カーモス (集英社文庫)

 
極夜 カーモスSnow Angels (2009)
 ジェイムズ・トンプソン(James Thompson)/高里ひろ訳
 集英社文庫/定価798円(税込)
 2013年2月20日発売予定/ISBN: 978-4-08-760661-4
 (解説:川出正樹)
  
フィンランド発・異文化衝突系ミステリ!
日が昇らない極夜(カーモス)が、人々を追い詰め犯罪へと駆り立てる
 
 寒さと静寂で覆われた雪原で発見された惨殺死体。フィンランドの北方、ラップランドの田舎町で起きたこの残忍な事件の被害者はソマリア移民でB級映画の女優だった。遺体には凌辱の痕と、人種差別を思わせる言葉が刻まれていた。事件を指揮することになったのは、キッティラ警察署署長のカリ・ヴァーラ警部。任務中に負傷し、自らの希望でヘルシンキから異動してきたカリは、限られた人力をフル動員して捜査にあたる。やがて現場に残されたタイヤ痕から容疑者として挙げられたのは、この地域の富豪でカリの元妻を奪った男だった。捜査に私情を挟んでいると周囲に非難され、また家に帰ったら帰ったで妊娠中のアメリカ人妻ケイトの憂鬱につき合わされるカリ。地道な証拠や証言集めがフィンランド社会の闇を次々と浮き彫りにしていくなか、第二、第三の死者が出て、事件は衝撃的な結末を迎えるのだった……。
 
 一日中日が昇らない極夜(カーモス)が人々の精神を蝕んでいく様子や、厳しい環境だからこそ“身内”に見せる限りない寛容性など、極寒の地で起きた殺人事件からフィンランドという国がストレートに伝わってくる作品です。著者ジェイムズ・トンプソンはアメリカ出身。十数年前にフィンランドに移住し、ヘルシンキ大学でフィンランド語を習得する傍ら英語文献学を学びました。妻はフィンランド人。著者が比較文化の視点を存分に生かして語るフィンランドは、ムーミンとサンタクロースだけではないこの国の実像をわかりやすく描いてくれていて、北欧ミステリが苦手な人にもオススメ。これぞ海外ミステリを読む醍醐味! と、感じさせてくれます。
 
●ジェイムズ・トンプソン公式サイト→ http://jamesthompsonauthor.com/site/
 
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