【テーマ・エッセイ】なんでもベスト5【毎週更新】

逃げろ! 追いかけろ! 逃亡と追跡小説五選その2(執筆者・西上心太)

(承前) 『高い砦』(1965年)は巨匠デズモンド・バグリイのこれまたオールタイム級の傑作山岳冒険小説だ。 ティム・オハラが操縦する旧式のプロペラ機がアンデス山脈上空でハイジャックされ、高地にある飛行場に着陸するよう要求される。ハードランディン…

古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その1(執筆者・藤原義也) 

最近新訳が出たジェイン・オースティンの『ノーサンガー・アビー』(1817)(中野康司訳、ちくま文庫)に、ヒロインのキャサリンが友だちのイザベラと本の話をする場面がある。朝起きてからずっとアン・ラドクリフの『ユードルフォの謎』を読んでいたという…

古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その2(執筆者・藤原義也) 

(承前) 一世を風靡したラドクリフ夫人の作品も、現在ではそのテンポが悠長に過ぎるし、二百年前の読者をとりこにしたサスペンスも、残念ながら少々色あせてしまっている。ゴシック小説で、現代のミステリ・ファンにお勧めしたいのは次の二作。 (1)ウィリ…

どん底・転落サスペンス ベスト5 その2(執筆者・吉野仁)

(承前)『帰らない日々』は、映画化にあわせて文庫復刊された作品だ。ある大学教授が一家四人で出かけたとき、その帰りに息子がひき逃げされ、死んでしまう。運転していたのは、やはり息子を持つ弁護士の男。やがて被害者家族は崩壊し、教授の妻は自分の世…

どん底・転落サスペンス ベスト5 その1(執筆者・吉野仁)

私が終わる場所 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 12-1)作者: クリス・クノップ,熊谷千寿出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る クリス・クノップ『私が終わる場所』熊谷千寿訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)…

わが愛しのハードボイルド、ベスト5(執筆者・権田萬治)

ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/03/06メディア: 新書購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (79件) を見る レイモンド・チャンドラー『ロング・グッ…