第11回金沢読書会のご案内
こんにちは、金沢読書会です。
わりといろいろな国の作品を課題書にしている当会ですが、今回はオーストラリア発の、注目新人ジェイン・ハーパーによる『渇きと偽り』をとりあげます。
- 作者: ジェイン・ハーパー,青木創
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 新書
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おなじみ〈書評七福神の今月の一冊〉のコーナーでも、四月度ベストで3名が推しておられたので、気になる内容はぜひそちらをご覧ください。ほかにも多くの雑誌書評等で紹介された、読み逃しては惜しい今年の新刊です。
干魃にあえぐ灼熱の町が舞台の本作を読んで、盛夏の読書会にぜひお越しを。自由参加の懇親会は焼き鳥の予定です、なんとなく(笑)。
開催日時:2017年7月29日(土)15:00〜17:00(受付14:45〜)
会場:〈謎屋珈琲店〉2階イベントスペース
課題図書:『渇きと偽り』ジェイン・ハーパー 著/青木創 訳(早川書房)
電子書籍版もあり。当日までに読了してご参加ください。
定員:15名程度
参加費:600円(ドリンク料金 500円+諸経費 100円)
【申し込み方法】
専用アカウント(kanazawa.dokusho@gmail.com)までメールでお申し込みください。件名を「金沢読書会11」とし、メール本文には下記のフォーマットをご使用ください。お問い合わせもお気軽にどうぞ。
お名前(ご本名フルネーム):
ご連絡先電話番号(携帯可):
懇親会(会費別途 17:30〜の予定):参加/不参加(いずれかを消してください)
お申し込みのメールには24時間以内に返信さしあげます。こちらからの受付メールが届かない場合は、お手数ですが再度ご連絡ください。
先着順で受け付け、定員に達した段階で締め切らせていただきます。
翻訳ミステリー金沢読書会世話人 北田 絵里子(ツイッターアカウント@erk_ktd)
後援 翻訳ミステリー大賞シンジケート
これまでの読書会ニュースはこちら
- 作者: ジェインハーパー
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/04/15
- メディア: Kindle版
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- 作者: キャンディス・フォックス,冨田ひろみ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2016/06/12
- メディア: 文庫
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- 作者: キャンディス・フォックス,冨田ひろみ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2017/04/28
- メディア: 文庫
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- 作者: フィオナマクファーレン,Fiona McFarlane,北田絵里子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/06/24
- メディア: 単行本
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第39回『A型の女』(執筆者:加藤篁・畠山志津佳)
――私立探偵小説新時代、心優しきバツイチ男アルバート・サムスン登場!
全国20カ所以上で開催されている翻訳ミステリー読書会。その主だったメンバーのなかでも特にミステリーの知識が浅い2人が、杉江松恋著『読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100』をテキストに、イチからミステリーを学びます。 「ああ、フーダニットね。もちろん知ってるよ、ブッダの弟子でしょ。手塚治虫のマンガで読んだもん」(名古屋読書会・加藤篁) 今さら聞けないあんなこと、知ってたつもりのこんなこと。ミステリーの奥深さと魅力を探求する旅にいざ出発! |
加藤:いつの間にやら6月も終わり。週末にはもう7月ですよ。2017年も後半突入ですよ。
淫行矢のごとしと申しますが(一度だけスピーチで本当に「インコウヤノゴトシと申しますが」って言ったのを聞いたことがある)、ホントにこの半年、自分は何をしていたのだろうと不思議になります。
そして6月の話題といえば、なんといっても藤井聡太四段の破竹の連勝。凄かったですねー。まさに前人未踏、空前絶後、超絶怒涛の中学生棋士。将棋を愛し、将棋に愛された男。
それにあの大人びた言動はどうでしょう。今の時点で畠山さんよりずっと落ち着きがあるし語彙だって豊富だもんね。(奥ゆかしい僕は自分を引き合いに出したりはしません)
そんなわけで、杉江松恋著『海外ミステリー マストリード100』を順に取り上げる「必読!ミステリー塾」。今回のお題は、インディアナポリスの私立探偵アルバート・サムスン・シリーズ第1作『A型の女』。
将棋の世界が新しい時代に突入したように、私立探偵小説の新時代到来を象徴するような一作です。1971年の作品で、こんなお話。
- 作者: マイクル・Z.リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1991/07/01
- メディア: 文庫
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「適切な質問と安心価格」がモットーの私立探偵アルバート・サムスンのもとを訪れたのは16歳の少女だった。大富豪クリスタル家の一人娘エロイーズは、血液型から自分が両親の子供ではないことを知り「生物学上の父を探してほしい」というのだ。久々に舞い込んだ仕事だったにも関わらず、気乗りしないサムスンだったが、やがてその調査はクリスタル家とその財産をめぐる深い闇に踏み込んでゆくことに……。
このミステリー塾も今回で39回。これまで、ハードボイルド系私立探偵小説としては、ハメット、チャンドラー、ロスマクが取り上げられてきましたが、ついにリューインにバトンが渡ったかと思うと、なんだか感慨深いものがあります。
作者のマイクル・Z・リューインは、1942年生まれのアメリカ人作家。とはいえ、本格的にミステリー作家として活動するようになったのは、奥さんの祖国である英国に移住してからだったそうです。
まだまだお元気で、シンジケートの最高レベル(田口さん)とは懇意なんですって。
そのリューインなどに代表される1960年代の終わりから70年代にかけて隆盛をみせた新しい私立探偵小説群を、故・小鷹信光さんは「ネオ・ハードボイルド」と名付けられました。
日本ではリューインのほか、ロバート・B・パーカーのスペンサーや、ローレンス・ブロックのスカダーなどが人気でしたね。
ネオ・ハードボイルドの特徴は、一世代前のやや画一化されたタフでクールな探偵像とはちょっと違った、様々な個性と自由が与えられたこと。また、戦後の多様化したライフスタイルが描かれるとともに、舞台も全米に広がっていきました。
その「ネオ・ハードボイルド」のムーブメントのなかで、マッチョだったりアル中だったり肺ガン恐怖症だったりという「クセがすごい」探偵が多く書かれていったなか、アルバート・サムスンはいたって普通なのが逆に新鮮に映ったものです。
暴力を憎み、銃を嫌う、心優しきバツイチ男。とはいえ、ただの平和主義者ではなく、自分の信念や正義を押し通すためには、ビックリするくらい軽々と法を犯してしまうような破天荒な一面も持っていて、そのせいで窮地に陥ることもしばしばだったり。そんなアンバランスでアンビバレンスで、ときどきアンビリーバブルなアルバート・サムスンを好きにならずにいられませんでした。
畠山さんはこんなサムスンをどう感じたのかな?
畠山:こんにちは! AB型の女、畠山です。
よく二重人格とか変人とか言われますが、なぜこの科学技術が進んだ国で未だに血液型や星座で性格づけをしようとするのか不思議に思います。私が二重人格で変人で落ち着きも語彙もないのは断じて血液型のせいではありません!(なんか釈然としない)
さて『A型の女』です。つねづね強そうな名前の人だと思っていたマイクル・Z・リューインです。どうして名前にZがつくと強力な感じがするのでしょう。まぁコテコテの昭和世代ですからね、空にそびえるくろがねの城でパイルダーオンしちゃうんですね、気分が。45年ぶりの新作劇場アニメがとても楽しみです。アフロダイエースの胸のミサイルはどう表現されているのだろう……?
で、そのリューインですが、言い訳しちゃうと、「ネオ・ハードボイルド」の肩書でやや敬遠していたというのが正直なところです。男臭くてゴツゴツした感じなのかなぁ、と。
ごめんなさい、小鷹さん……読んでみたら全然違いました。男臭いどころか、むしろ草食系といってもいいような、ソフトで、知的で、どこかほっとけないタイプの探偵アルバート・サムスン、私、大好きになりました。
きわめて常識的で健全なものの考え方、真面目、時に頑固なほど職務に忠実、こういう人には誰でも好感を持つと思うんですよ。私が依頼人なら、キザったらしい人とか暗い人より、感じのいい人に頼みたいもの。(今ケンカ売った? アタシ)
ところがこの人、関係者への接触とかヤバイ橋を渡っての証拠集めとか、とかく肝心なところでドジを踏むので、危なっかしくて見ていられない。この人に仕事を頼むより、まず助手になってやらねばならん! とつい鼻息が荒くなってしまいました。
こんな具合で少々のズッコケをいれながらソフトにまとまるお話なのかと思っていたら、ラストはぐいぐいきましたねぇ! 見過ごしてしまうような小さな情報から次々と真相が明らかになるミステリーならではの快感、人物が壊れていく様子のド派手な描写、息つくヒマがありませんでした。
探偵がさっぱりしている分、事件の悲惨さが際立ちましたね
「きっと“A型の女”が犯人もしくは重要参考人で、探偵が女を探すお話だろう」という当初の見込みはあっさり否定されましたが(笑)、十二分に堪能です。
アルバート・サムスンよりもドン引きするほど口の悪いリーロイ・パウダー・シリーズ(フロスト警部にヤル気を注入したようなタイプで、かなり迷惑な人だと思うw)の方がお好みという方も多いようだけど、加藤さんはどっち?
加藤:ちなみに僕はB型です。血液型をあまり気にしたことは無かったけど、学生時代に体育会のいつもの仲間7、8人で飲んでて、全員がB型だと分かったときにはドン引きだったなあ。「俺はお前らとは違う! 断じて違う!」って全員が言ったもん。
さて、元祖ごった煮モジュラー型警察小説のパウダー警部シリーズももちろん面白いけど、僕はやはりサムスンシリーズが好きだなあ。とくにシリーズ第4作『沈黙のセールスマン』がお気に入り。
また、当時の僕には、サムスンが「仕事」として探偵と向き合い、経営努力をちゃんとするところが新鮮に映ったものでした。
暇に倦んだサムスンが、イエローページに広告を出そうか看板を新調しようかと考えているところから物語が始まるのがこのシリーズのお約束。
思えば、常に仕事がないことに不安を感じるという当たり前の感覚を、マーロウやアーチャーが(スペードは言うに及ばず)持っていなかったことを、今さらながら不自然に思ったものでした。
そんな大好きアルバート・サムスンシリーズですが、一つ文句をつけるとすれば、第一作のこの邦題はどうなのよ。
ぶっちゃけ、『A型の女』ってなんだかパッとしないと思いません? 確かにエロイーズの血液型が話の発端であり全体のキーではあるんだけど。この話の面白さがイマイチ伝えられていない気がして、なんだか残念。
きっと、この本が出た当時(1978年に出たポケミスは皆藤幸蔵訳)が、血液型性格診断の最初のブームだったのではないかと。ちなみに原題は『Ask the Right Question』です。
そういえば、ついこの前は『Hidden Figures』の邦題が「内容と違う」ってツイッターで炎上した挙句に変更したって事件がありましたね。そっち系に疎い僕からしたら、アポロ計画もマーキュリー計画も、舘ひろしと猫ひろしくらいの違いしかないと思うんだけど、思い入れのある人にとっては許せないものなのかも。
印象に残っている邦題といえば、ちょっと古いけどトレヴェニアンの『夢果つる街』。北村太郎さんの訳文にも痺れたけど、この邦題もしみじみ良かったなあ。こちらの原題は『The Main』(物語の舞台であるカナダ、モントリオールの町の名前)でした。
数年前に、ル・カレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』が映画になったときの邦題『裏切りのサーカス』にも驚いたっけ。絶対に悪いピエロが出てきそうなんだもん。
こうしてみると、邦題って難しいですね。僕らみたいに言いたい放題の無責任な消費者を相手にしなけりゃいけないんですから。編集者の皆さんの苦労をお察しいたします。
畠山さんは何か印象に残っている邦題はある?
畠山:そうだなぁ、タイトルも内容もどストライクなのはボストン・テランの『音もなく少女は』。原題はシンプルに『Woman』なんですよね。
タイトルや装丁というのは、とにかくたくさんの人に訴えかける魅力が必要なんでしょうね。新規読者の獲得とコアなファンの満足を両立させるのってとっても大変そう。日々頭を悩ませている関係各位の努力に敬意を表し、もしちょいと残念な邦題だと思うものがあったらそれもネタにして未読の人に薦めてみるのも手かもしれません。(その点で私は映画『死霊の盆踊り』は傑作だと思うのだけど)
加藤さんも触れていましたが、サムスンは「職業としての私立探偵」をきちんと実現してくれていて、個人事業主として良心的な仕事でいかにメシを食っていくかを日々考えている姿や、ときどき自分にご褒美で食事を奮発したりもする(しかもあくまで庶民的なメニュー)生活感はとてもよく理解できて、好感が持てます。
同時に、中途半端な幕引きを嫌い、自分の中で筋が通るまで事件にこだわりつづける姿勢は、紛れもなくハードボイルド!……と、言いきっていいのかな? 私のハードボイルド観はかなり曖昧模糊としているのだけれども。
ここにきて私はようやく、善き隣人として付き合えそうな私立探偵に出逢えたという気がしています。
リューイン作品に手をつけていなかった罪滅ぼしに、この一か月は「強化月間」としてあれこれ読みまくっております。アルバート・サムスン・シリーズ、リーロイ・パウダー・シリーズ、そしてノンシリーズの『そして赤ん坊が落ちる』は登場人物がリンクしているのですね。
先ほど私はアルバート・サムスンを、ときどきドジる、ほっとけないタイプと言いましたが、そんな彼がリーロイ・パウダーの『夜勤刑事』に登場すると、頼りになる腕のいい私立探偵ぶりでなかなか面白いし、伏せている恋人の名前が他のシリーズでいとも簡単にバレバレになっていて驚いたりもしました。それでもサムスン・シリーズでは頑なに伏せつづけるので、楽屋裏を覗いているような秘密の喜びがあります。これ、たまりませんね。
サムスン・シリーズはどこから読んでもいいのですが、前作を読んでいたらわかる小ネタが紛れ込むので、順を追うとより楽しめるかも。
しかーし! サムスン・シリーズ、パウダー・シリーズともに、ほとんどが入手困難であるのが残念でなりません。この衝撃はロス・マクドナルドが手に入らないとわかったとき以来でしょうか。由々しき事態です。出版社ひしめく東京方面に向かって巻きずし加えてみようかなぁ……(節分が年に4回あることをコンビニの「夏の節分」企画で初めて知りました。)
■勧進元・杉江松恋からひとこと
一九七〇年代に小鷹信光氏が提唱されたネオ・ハードボイルドという概念は、日本においては二つのことを生み出しました。一つは、私立探偵というキャラクターの再発見です。ステロタイプな探偵像、それこそ「マルタの鷹」でサム・スペードを演じたハンフリー・ボガートを鋳型とするような探偵のキャラクターはこの流れの中で陳腐なものと見なされ、乗り越えられていったとしていいでしょう(一九八〇年に放映された「探偵物語」で松田優作演じる工藤俊作が以降の私立探偵像に大きな影響を与えました。同番組原案は小鷹さんですから、その方面でも足跡を残されたことになります)。リューインやスティーヴン・グリーンリーフといった〈ネオ・ハードボイルド〉の作家たちがアメリカ本国で潮流を作ったのか、それとも群として見なされる存在ではなかったのか、という検証は必要ですが、〈探偵のキャラクター化〉という観点では後続作家に与えたものは大きそうです。ちなみに、〈ネオ・ハードボイルド〉以降の作家たちがキャラクター化された探偵を配せざるを得なくなったことが連作の凋落を招き、単発作品主流の時代を招いたのではないか、という意味の指摘を法月綸太郎さんから受けて、思わず膝を叩くほど納得したことがあります。
ネオ・ハードボイルドという作品群が日本の読者に与えたもう一つの影響は、ハメット・チャンドラー・(ロス)マクドナルドという、いわゆるハードボイルド・スクールの三作家の再読が進んだことです。もちろんそれ以前から御三家としてそれらの作家を奉る動きはありましたが、神格化して褒めたたえるのではなく、それらの偉大な先人の作品を査読し、どういった要素が一九七〇年代以降の作家に継承されたかを検証する動きが産まれたのです。この動きは後に〈ノワール〉ブームが起きた際に一旦変化します。〈ハードボイルド〉という狭いジャンルから〈犯罪小説〉という広い定義へと作品群を解放して読むことによってさまざまな発見があるのですが、その話題は後日に譲りましょう。御三家のうち、もっとも重視されるべきはロス・マクドナルドの一人称私立探偵小説だと思われます。これについては先日、若島正氏がツイッターで非常に触発される発言をしておられました。6月27日のこのツイートからの一連の発言をぜひご覧になってください。「わたしたちは、小説の細部を読むことで、表面には浮かび上がってこないArcherの推理を読むのだ」という指摘は実に鋭い。『夜明けの睡魔』の瀬戸川猛資を引き継ぐ形で前出の法月綸太郎氏はロス・マクドナルドの論理性を評価しましたが、それは「事実の推移を追っているだけに見える小説に、実は作中のタイムラインを読者自身が再構成して読むように仕向けられている企みが秘められていることに気づく」というスリリングな読書体験へと導くものでした。表面で語られていることだけではなく、物語内時間・物語内論理で小説は動いていきます。一人称で見えることのみを書いてすべては語らない、という技法をミステリーで意識的に用いたのはハメットですが、マクドナルドはそれを完成させた作家といえます。そしてネオ・ハードボイルドの私立探偵小説を読むという行為は、最終的にはこのマクドナルド的技法の発見へとつながったのでした。
アルバート・サムスンというキャラクターについてほとんど触れずにきましたが、上で畠山さんが指摘されているとおり、彼は「調査に失敗する」私立探偵でした。捜査はだいたいうまくいかず、さまざまな迂回路を進むことを強制されます。実はその失敗こそが重要なのです。物語の表面で起きていることではなく、水面下で進行しているタイムラインが重要なのであり、それを発見したときに事件は解決する、という形式をサムスンの物語は、特に前期において採っていました。その完成形が『消えた女』でしょう。サムスン・シリーズの新作が刊行されていた時代に評論家の池上冬樹氏が「サムスンがパソコンを使うこと」についての危惧を表明しておられましたが、これは決して表面的な問題ではなく、その下にある「サムスンが試行錯誤することによってタイムラインが浮上する」という物語の特質を意識されたものだったでしょう。後にリューインは警察官リーロイ・パウダーを主人公に採用し、複数の捜査が同時進行していく、いわゆるモジュラー型の捜査小説を著わします。これもサムスンの私立探偵小説とは無関係に存在するのではなく、「水面下のタイムライン」に着目したリューインの創作法が生み出したものと見なすべきだと私は考えます。
ご存じの方も多いと思いますが、『誰か Somebody』に始まる宮部みゆきさんの連作は、アルバート・サムスン・シリーズへの尊崇の念から始まっています。この連作が象徴するように、一九九〇年代以降の日本ミステリーにリューインが与えた影響は多大なものがあります。現代ミステリーを読む上で決して無視できない偉大な山脈の一つとして、リューイン作品を推薦する次第です。
さて、次回はジャン=パトリック・マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』ですね。こちらも期待しております。
愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)
- 作者: ジャン=パトリックマンシェット,Jean‐Patrick Manchette,中条省平
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: 文庫
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加藤 篁(かとう たかむら) |
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愛知県豊橋市在住、ハードボイルドと歴史小説を愛する会社員。手筒花火がライフワークで、近頃ランニングにハマり読書時間は減る一方。津軽海峡を越えたことはまだない。 twitterアカウントは @tkmr_kato |
畠山志津佳(はたけやま しづか) |
札幌読書会の世話人。生まれも育ちも北海道。経験した最低気温は-27℃(くらい)。D・フランシス愛はもはや信仰に近く、漢字2文字で萌えられるのが特技(!?) twitterアカウントは @shizuka_lat43N |
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●アルバート・サムスン・シリーズ
- 作者: マイクル・Z.リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1991/07/01
- メディア: 文庫
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死の演出者 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 165-2))
- 作者: マイクル・Z・リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/01
- メディア: 文庫
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- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,島田三蔵
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/11
- メディア: 文庫
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- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1994/05
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- 作者: マイクル・Z・リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1994/10
- メディア: 文庫
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- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1996/08
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豹の呼ぶ声 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 165-11))
- 作者: マイクル・Z・リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1998/05
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眼を開く 私立探偵アルバート・サムスン (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1792)
- 作者: マイクル・Z.リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/11/15
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●リーロイ・パウダー・シリーズ
- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,浜野サトル
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/02/01
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刑事の誇り (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 165-7))
- 作者: マイクル・Z・リューイン,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/07
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- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1996/05
- メディア: 文庫
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●ルンギ家シリーズ
- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/12
- メディア: 文庫
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- 作者: マイケル・Z・リューイン,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/01/11
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●ノンシリーズ
- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/04
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- 作者: トレヴェニアン,北村太郎
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1988/04/01
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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)
- 作者: ジョンル・カレ,John le Carr´e,村上博基
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/03/31
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- 作者: ボストンテラン,Boston Teran,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/08/04
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読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100 (日経文芸文庫)
- 作者: 杉江松恋
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/10/25
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発端は重要、されど〜 E・C・R・ロラック『殺しのディナーにご招待』他(執筆者:ストラングル・成田)
パーティなどで「ミステリをどこから書きはじめたらよいか分からない」とこぼす人がいるらしい。作家のH.R.F.キーティングは、こうした問いに、執筆を粥(ポリッジ)づくりに例え、アイデアというオート麦を、想像力という火で煮て、それと相反する理性というスプーンで外部から合理的思考を加えるようにかきまぜる、という言い方をしている(『ミステリの書き方』[早川書房])。
「どこから書きはじめたらよいか」と問う人には、 E・C・R・ロラック『殺しのディナーにご招待』の発端は、とてもいい教材になるかもしれない。
- 作者: E・C・R・ロラック,青柳伸子
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2017/06/05
- メディア: 単行本
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とにかく発端がいい。
ロンドンのソーホーにある人気レストラン「ル・ジャルダン・デ・ゾリーヴ」。その地下食堂で開催される「マルコ・ポーロ」クラブという文筆家のディナー・パーティに、新規会員として八人の文筆家が招待される。超一流の文筆家しか入会が許されない格式の高いクラブゆえ、招待された面々は胸を弾ませてパーティに集まるが、何か様子がおかしい。主宰者や正式会員が一向に現れないし、業界の問題児トローネも招待されているらしい。やがて、招待者たちはトローネのペテンにかつがれたらしいと結論を出し、料理を堪能してお開きになるが、その一時間後、地下食堂の配膳台の下から当のトローネの死体が発見される……。
日本で最初にロラックが邦訳された『ウィーンの殺人』(1956/翻訳は1957) の解説で、植草甚一が本書の冒頭を紹介した上で、「発端の面白いもの」と評している(会長が死んでいた、と多少誤った紹介になっているが) 。
本書の設定は、英国ミステリによくある特徴的な小集団内の事件なのだが、ただの文筆家ではなく、旅行家であって文筆家というかなり特殊な集団という設定も風変りだ。だから、本や出版が終始話題になるなど、一風変わったビブリオミステリの趣もある。
珍しく、発端について長く触れたのは、いくつかのロラック作にみられるように、本書の最高潮の部分は、どうやら奇抜な発端にあったらしいからだ。
招待者たちが探偵行為を行ったり、関係者が交通事故にあったりと物語は動いていき、マクドナルド警部の例によって地道な捜査は続くものの、登場人物の一人が200頁を過ぎて「何もかも曖昧模糊」と発言しているというとおり、トローネを殺す機会があったのは誰なのか、招待者は誰なのかといった核心に迫る部分はなかなか明らかにならない。
結末に至れば、それなりに意外な犯人は設定されているし、アリバイトリックもあり、動機も毛色の変わったもの。それでも、モヤモヤしてしまうのは、犯人特定の決め手が薄いこともあるが、結末までに確定した事実が少なすぎて、マクドナルド警部の絵解きを聴いても、考えられうる解の一つとしか思えないところにある。謎解きに説得力をもたすためには、解決に至る過程で主要な事実のピン止めが必要だ。加えて、冒頭の奇抜な設定は何のためかという点に関して、いちおう説明があるものの、にわかには納得しがたいのも減点要素。
冒頭のキーティングのことばを借りれば、本書に関しては、発端の奇抜さという部分への想像力が勝ちすぎた、といえるのではないか。
- 作者: サキ,和爾桃子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2017/06/13
- メディア: 新書
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G・K・チェスタトンの序文、編集者によるサキ追想、訳者による貴重な書簡等の紹介「親族たちが述べたサキ」(収録の資料の全文発表は商業出版では英語を含めて世界で初めてという) に加えて、エドワード・ゴーリーの挿絵を収録した充実版。
『クローヴィス物語』『けだものと超けだもの』の統一された意匠こそないものの、奇想や機知、シニカルなユーモア、怜悧な人間観察などサキの特徴として挙げられる要素が本書収録の短編にもたっぷり盛り込まれている。とはいえ、作品から受ける印象には、思いのほか幅があり、例えば笑いの要素をとっても、チクリとした蜂のひと刺し的なものから「バターつきパンを探せ」「謝罪詣で(カノツサ)」「ヒヤシンス」といったスラプスティックに近い作品もある。
サキの皮肉や揶揄の対象は、社交をはじめとする中・上流階級の価値観を維持するために体面をとりつくろう人々に多く向かうが(「はりねずみ」「七つのクリーマー」等)、そのいじましいまでの必死さが、読者の思い当たるところでもあり、普遍的なおかしみにもつながっている。アイデア勝負、オチの意外性が最大の眼目というわけではないから、ときに奇想を交えた話の運びや会話の妙を何度も味わえる。
私的に三つを挙げるなら、異色の誘拐ミステリとしても読める「クリスピーナ・アムバーリーの失踪」、誤った虎猫殺しの顛末を描いた“恐るべき子供たち”物「贖罪」、ショーウィンドウに飾られた高慢な人形に子どもたちか妄想を膨らませていく「モールヴェラ」になろうか。
作品の特徴から、その作家像については、狷介とか冷笑家のイメージが湧いてしまうが、本書の序文や親族の手紙からはまったく異なる像が浮かんでくる。
「四十になっても、オックスフォード・サーカスの新年を祝う街頭で見ず知らずの人と手をつないで輪になって踊る」人(「へクター・ヒュー・マンロー追想」)であり、「実人生では明朗快活で優しく、とても我慢強い人」(従弟の手紙) であったという。一次大戦が勃発すると、四十代半ばにもかかわらず、一兵卒として志願し、過酷な歩兵隊に従軍、戦死した。サキは同性愛者であったという説が英文壇には根強いが、訳者によると、これといった確証や相手の名すら伝わっておらず、親族は手紙の中でこれを強く否定している。
サキは、保守主義者で愛国者でありながら、上流中流の価値観には皮肉と揶揄の手を緩めなかった。そのアンビバレンツがゆえに作品には品格と毒が同居しており、今後も特異な輝きを放っていくことだろう。
アガサ・クリスティーの大英帝国: 名作ミステリと「観光」の時代 (筑摩選書)
- 作者: 東秀紀
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2017/05/11
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確かに、作品史をたどれば、『青列車の秘密』『オリエント急行の殺人』は、旅行と切っても切れないものだし、自身の失踪事件後、『ナイルに死す』などに反映される中東への旅は、第二の伴侶の考古学者マローワンを得るなど、作者の転機にもなっている。
しかし、戦後は? 著者の分析によれば、戦中の『書斎の死体』『動く指』あたりから、作品の舞台は田園ミステリに比重が移ってくる。当時、英国政府が行っていた国土計画にもこの田園重視の姿勢が反映されているというから面白い。50年代から60年代に書かれたミス・マープルシリーズ七編のうち、マープルの暮らすセント・メアリー・ミードを舞台にしているのは一作のみというのは意外な感じがするが、著者の指摘によれば、英国のユートピアであった田園も、『予告殺人』(1950)にみられるように、「よそ者が跳梁跋扈する失楽園」へと変容していく。ミス・マープルの晩年の旅は過去への旅になる、という指摘も大いにうなずけるだろう。
クリスティーをダシにして観光や大英帝国の変容を語るというのではなく、クリスティーの作品史・生涯に即して語るという筋を通しているので、クリスティーの作品に親しんでいても彼女の生涯に不案内な読者は、作品と人生の意外なほどの結びつきについても概観できる。ミステリも時代の産物である以上、同じ時代を呼吸しているものであり、二次大戦を挟んで50年以上書き継がれたクリスティー作品は、今後とも同時代史の恰好の素材を提供していくことになるのだろう。
ストラングル・成田(すとらんぐる・なりた) |
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ミステリ読者。北海道在住。 ツイッターアカウントは @stranglenarita 。 |
- 作者: H.R.F.キーティング,H.R.F. Keating,長野きよみ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1989/11
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- 作者: H.R.F.キーティング,H.R.F. Keating,長野きよみ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/10
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- 作者: E・C・R・ロラック,藤村裕美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
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- 作者: E・C・R・ロラック,藤村裕美
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- 作者: E.C.R.ロラック,桐藤ゆき子
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- 作者: サキ,和爾桃子
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- 作者: サキ,和爾桃子
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- 作者: サキ,池田俊彦,井伊順彦,今村楯夫
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- 作者: アガサ・クリスティー,青木久恵
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- 作者: アガサクリスティー,山本やよい
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/04/05
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- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,加島祥造
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- 作者: アガサ・クリスティー,山本やよい
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- 作者: アガサ・クリスティー,高橋豊
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- 作者: アガサ・クリスティー,田村隆一
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漱石の倫敦、ハワードのロンドン―田園都市への誘い (中公新書)
- 作者: 東秀紀
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- 作者: 東秀紀
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第46回 正義感に燃えるイケメン3人組に萌えろ―クレイス『約束』(執筆者・♪akira)
全国の腐女子の皆様とそうでない皆様、こんにちは!
TVシリーズ『パーソン・オブ・インタレスト』が終わってしまって寂しい方も多いのでは。あのシリーズ、フィンチ(計画)&リース(実戦)のコンビだけで充分萌えられたのに、シーズン2の第1話で、ギャングが番犬として飼っていた凶暴なデカい犬(ベルジアン・マリノア種)をリースが瞬時に手なずけ、“犬にも好かれるナイスガイ”っぷりを見せた上、連れて帰って相棒フィンチに有無を言わせず「2人で」飼うことにして、犬好き腐女子を心肺停止させたものでした(しかも後半はウルトラ美老人悪役まで投入されてサービス良すぎなんですけど!)。
- 作者: ロバート・クレイス,高橋恭美子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2017/05/11
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……てことは今回は犬萌えなのか、と思ったそこのあなた! 違いますよ! マギーは女の子ですから! もうねー、「お嬢さん、肉でもいかがですか?」とかナンパしたくなるくらい可愛いんです(デレデレ)。そうです、本書の腐要素は、スピンオフの『天使の護衛』から6年目、本シリーズの『サンセット大通りの疑惑』からはなんと17年目にしてやっと日本に再登場した、エルヴィス・コール、ジョー・パイク&ジョン・ストーンの豪華オールスターメンズ3人組でございます!
ロスアンジェルスの住宅街で、逃亡中の殺人犯を追っていたスコットとマギーは、あたり一面を吹き飛ばせるほどの大量の爆発物を偶然発見します。同じ頃、その近所で行方不明の女性を探していた私立探偵のコールは、依頼内容を明かせないことから、殺人事件の容疑者として目をつけられてしまいます。しかしスコットとマギーは、ほんの一瞬ですが、真犯人を目撃していたのです。一方、依頼人に不審な点を感じたコールは、身の潔白を証明するとともに、依頼の裏に隠された陰謀を暴くべく、相棒のパイク(またの名を秘密兵器)と、高報酬傭兵のストーンの手を借り、本格的な調査に乗り出します。
警察と容疑者という関係ながらも、捜査の過程でだんだんと心を通わせるスコット&マギーとコールたち。マギーを見たストーンが、「いいねえ、犬か」と目じりを下げたり、ぶっきらぼうなパイクがすすんで挨拶のしぐさをしたり、マギーの方もコールたちになついていくくだりは、殺伐とした事件が続く中、読んでいてほっとします。
スコットとマギーの仲の良さは相変わらずですが、本書ではマギーがやきもちを焼くような人物も。相棒の警察犬を守るため自らロットワイラーに立ち向かって指を食いちぎられた過去がある、警察犬隊のレジェンド、リーランド部長刑事も再登場しますが、彼の過去の逸話がもう涙なくしては読めないという…。
そして本書を彩るヤロー3人組を簡単にご紹介しますと――
こんな人たちが犬を囲んでいちゃいちゃ、もとい、和気あいあいしたりカーチェイスしたりドンパチしたりしてるわけですよ! それだけでも今すぐ読みたくなったでしょ!? しかも充実の萌え要素! たとえば張り込みに行くのに、残りものを使ってコールがお弁当を作ったり、それをストーンが美味しそうに食べたりとか萌えどころ満載なのですが、なかでも自宅の豪邸で、ポルシェ並みのお値段の豪華ベッドでギャル2人と眠っていたストーンが、人の気配で起きるシーン。「ジョン、俺だ」って、それパイクなんですけどね。いくら急用とはいえ、音も立てずに他人の寝室に忍び込むなよ! しかも相手は女子含めて全員素っ裸。ストーンは多少驚いてましたが、パイク、もう少し気をつかってもいいんじゃないかと思うんですけど(笑)。それでもなおマッパで歩き回るストーン、お前はフォーグラーか!(注:ハラルト・ギルバース『ゲルマニア』参照のこと)
そんなありがたいエピソードを挟みつつ、テンポよく読者をひっぱっていく本書、じゃあキャラだけで読ませる作品かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません! コールたちが掴む事実は次第に様相を変えていき、クライマックスでは凶悪事件に隠された意外な真相が浮かび上がります。アメリカはもちろん、これからの時代、このようなやるせない事件はどこででも起きるのではないでしょうか。著者の良心が感じられるラストの後日談も深い印象を残します。西海岸の青い空の下、正義感に燃える30代イケメン3人の活躍をどうぞご堪能下さい。
さて、犬好きでキアヌ萌えの方々を筆頭に大絶賛されたアクション映画『ジョン・ウィック』の続編、『ジョン・ウィック:チャプター2』が7/7(金)に遂に公開となります! 飼い犬の復讐のため、たった一人でロシアン・マフィアの大組織を壊滅させた伝説の殺し屋ジョン・ウィック。本作は前作のラストから5日後に幕を開けます。
亡くなった妻が残した愛犬を殺され、その次に大事な愛車を取り返しに行くジョン(キアヌ・リーヴス)。愛車は取り戻したものの、悲劇から完全に立ち直れないジョンのもとに、かつての知り合いである殺し屋サンティーノ(リカルド・スカマルチョ)が訪ねてきます。彼の依頼を断り、殺し屋界の掟に背いたジョンを待っていたのは、殺し屋VS殺し屋軍団の壮絶バトル大会だったのです!
以前クリス・ホルム『殺し屋を殺せ』の時にも引き合いに出しましたが、主役も殺し屋なら敵も殺し屋という、殺し屋純度100%のこのシリーズ、殺し屋御用達ホテルや殺し屋界の非情の掟など魅力的な設定がぎっしりと詰まっていましたが、本作ではさらに、武器ソムリエや殺しのイチ推しコーデ、闇の地下組織なども登場し、まさに究極の殺し屋ファンタジーに仕上がっています。アクションシーンはもちろん言うまでもなく、スタント出身の監督が放つ神業カーチェイスのオープニングシーンから、観客は一瞬も目が離せません!
流れるような動きとともに繰り出される、手際のいい必殺技の数々。前作を上回る、めくるめくボディカウントの嵐にうっとり! しかも本作ではNYホテルオーナーのウィンストン(イアン・マクシェーン)に加え、ローマ本店オーナーとしてあのフランコ・ネロが出演し、ダブル美老人という超素敵なオマケ付き! 「犬に危害を加えようとする奴は許せない!」スタンスはもちろん変わりません。そんな『ジョン・ウィック:チャプター2』と、ロバート・クレイス『約束』、そして突然ですがボストン・テラン『その犬の歩むところ』(田口俊樹訳/文春文庫)という、犬好きに大推薦の三作品、ぜひお楽しみ下さいませ!
●映画『ジョン・ウィック:チャプター2』予告篇
■タイトル:『ジョン・ウィック:チャプター2』
■原題:John Wick : Chapter 2
■監督:チャド・スタエルスキ『ジョン・ウィック』
■出演:キアヌ・リーブス、コモン、ローレンス・フィッシュバーン
■公開表記:7月7日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国公開
■配給:ポニーキャニオン
■2017年/アメリカ
■コピーライト:©2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
♪akira |
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BBC版シャーロックではレストレードのファン。『柳下毅一郎の皆殺し映画通信』でスットコ映画レビューを書かせてもらってます。トヨザキ社長の書評王ブログ『書評王の島』にて「愛としみのスットコ映画」を超不定期に連載中。
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パーソン・オブ・インタレスト <コンプリート・シリーズ>ブルーレイ・ボックス (19枚組) [Blu-ray]
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- 作者: ロバート・クレイス
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- 作者: ロバート・クレイス
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- 作者: ロバートクレイス,村上和久
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サンセット大通りの疑惑―探偵エルヴィス・コール (扶桑社ミステリー)
- 作者: ロバートクレイス,Robert Crais,高橋恭美子
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- 作者: ハラルト・ギルバース,酒寄進一
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- 作者: クリスホルム,Chris Holm,田口俊樹
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- 作者: ボストンテラン,Boston Teran,田口俊樹
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NY Timesベストセラー速報20170702(執筆者・中谷友紀子)
アメリカのベストセラー・ランキング
7月2日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. CAMINO ISLAND Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
- 作者: John Grisham
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2. THE IDENTICALS New!
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド
The Identicals: A Novel (English Edition)
- 作者: Elin Hilderbrand
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3. TOM CLANCY: POINT OF CONTACT New!
Mike Maden マイク・メイデン
Tom Clancy Point of Contact (A Jack Ryan Jr. Novel Book 3) (English Edition)
- 作者: Mike Maden
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4. INTO THE WATER Down
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
Into the Water: The Sunday Times Bestseller
- 作者: Paula Hawkins
- 出版社/メーカー: Doubleday
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5. DRAGON TEETH Down
Michael Crichton マイクル・クライトン
- 作者: Michael Crichton
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6. COME SUNDOWN Down
Nora Roberts ノーラ・ロバーツ
Come Sundown: A Novel (English Edition)
- 作者: Nora Roberts
- 出版社/メーカー: St. Martin's Press
- 発売日: 2017/05/30
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7. NO MIDDLE NAME Down
Lee Child リー・チャイルド
No Middle Name: The Complete Collected Jack Reacher Stories (Jack Reacher Short Stories)
- 作者: Lee Child
- 出版社/メーカー: Bantam
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8. NIGHTHAWK Stay
Clive Cussler and Graham Brown クライヴ・カッスラー、グレアム・ブラウン
Nighthawk (The NUMA Files Book 14) (English Edition)
- 作者: Clive Cussler,Graham Brown
- 出版社/メーカー: G.P. Putnam's Sons
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9. THE FIX Stay
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
The Fix (Amos Decker series Book 3) (English Edition)
- 作者: David Baldacci
- 出版社/メーカー: Macmillan
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10. 16TH SEDUCTION Up
James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ
16th Seduction (Women's Murder Club) (English Edition)
- 作者: James Patterson,Maxine Paetro
- 出版社/メーカー: Little, Brown and Company
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【まとめ】
先週に引きつづき、グリシャムの最新作が1位を獲得しました。新たに登場したのは2作。2位のヒルダーブランドはベストテン常連の人気ロマンス作家で、住まいのあるナンタケット島周辺を舞台とした作品を書きつづけています。3位のジャック・ライアン・ジュニア・シリーズは、第1、2作をグラント・ブラックウッドが執筆していましたが、今作はマイク・メイデンが担当しています。メイデンはテクノスリラーのドローン・シリーズで知られ、第3作の『ドローン・コマンド 尖閣激突!』が昨年2月に角川書店より邦訳刊行されています。ベストテン外の11位には、『ダイヤモンド・エイジ』(早川書房)のニール・スティーヴンスンとヒストリカル・フィクション作家ニコル・ガランドの共著による近未来スリラー、“THE RISE AND FALL OF D. O. D. O.”がランクインしています。
中谷友紀子(なかたに ゆきこ) |
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訳書にサムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』、ミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち IV 聖なるワニの棺』など。 |
- 作者: マイク・メイデン,鎌田三平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/02/25
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- 作者: ニールスティーヴンスン,Neal Stephenson,日暮雅通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/12
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- 作者: Neal Stephenson,Nicole Galland
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- 作者: サムエル・ビョルク,中谷友紀子
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- 作者: ミシェル・ペイヴァー,中谷友紀子
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第3回松山読書会開催!
おかげさまで満席となりました。(7月16日追記)
〜私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ〜どころか、最近はなんだか姦しすぎて、耳はもちろん目も覆いたくなるようなことばかり。
でも大丈夫!
私たちには本がある!!
旅行鞄のかわりに一冊の本を手にして旅に出ましょう。
「え〜、でもミステリーって陰惨だったり血なまぐさかったりするよね」
ご安心ください。
3回目の翻訳ミステリー読書会松山で取り上げる課題図書では、殺人事件も誘拐事件も起こらないのですよ。
骨折で入院中の警部が挑む謎は、リチャード3世。そう、ジョセフィン・テイの『時の娘』が今回の課題図書です。
- 作者: ジョセフィン・テイ,小泉喜美子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/06/30
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歴史(西洋史)が苦手でも、へっちゃらなはず。なんたって、今回も魅力的なキャラクターたちが登場しておりますよ。
余談ではありますが、ワタクシが初めてこの本を読んだ時「だから、歴史の授業が嫌いだったんだよ!」と、胸のすく思いをし同時に赤点を恐れなくなった記憶が……。
日 時:2017年7月22日(土)18:00〜20:00
場 所:食べ物雑貨enowa
(住所はお申し込みの方に別途メールにておしらせいたします)
参加料:ワンドリンク付き500円
定 員:10名
読書会終了後に、別会場にて懇親会を実施いたします(別会費)
参加方法:件名を【読書会7/22】として、下記のフォーマットをご利用のうえ、kt_reading_club@yahoo.co.jp までお申し込みください。
お名前:
ご連絡先電話番号:
懇親会(別会費):参加/不参加(いずれかを消してください)
受付期間:先着順で受け付け、定員に達した時点で締め切らせていただきます。
その他ご不明な点がございましたら、kt_reading_club@yahoo.co.jp まで気軽にお問い合わせください。
翻訳ミステリー読書会松山世話人
氏原由美(Twitterアカウン卜 @kt_reading_club)
これまでの読書会ニュースはこちら
- 作者: ジョセフィン・テイ,小泉喜美子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
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- 作者: ジャンコクトー,Jean Cocteau,堀口大學
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1954/10/22
- メディア: 文庫
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第8回多摩南読書会のご案内
おかげさまで満席となりました。キャンセル待ちをご希望の方は tamaminamidokusho@yahoo.co.jp までご連絡ください。(7月16日追記)
こんにちは。紫陽花が雨露に輝く季節となりました。
この梅雨さえ抜ければ、そこは夏。
夏と言えば海! 海といえば太陽! 無人島! サバイバル!
…ということで、しばらく鳴りを潜めておりました多摩南読書会は、半世紀ぶりの新訳となりました『蠅の王』で復活の狼煙をあげます。
- 作者: ウィリアムゴールディング,William Golding,黒原敏行
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/04/20
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『蠅の王』は、少年たちの乗った飛行機が南の島に不時着したところから始まります。少年たちは大人のいない島で協力しあって生き延びようとするのですが、なかなかこない助けや狼煙を巡って次第に苛立ちが……
むむ、なんだかもうダークな匂いがしてきませんか。そうなんです、楽しい楽しい冒険譚というわけではありません。
新訳を手がけられた黒原さんご自身による紹介はこちらです。
2017-04-18 ウィリアム・ゴールディング『蠅の王〔新訳版〕』(執筆者・黒原敏行)
なんと、その黒原さんも当日駆けつけてくださいます。
今回の訳はセリフもするすると読み易く、少年たちのキャラクターもイメージし易いように思います。それにジャケットもカッコいい。
時はおりしも夏休みということで、まるでYA世代の方を狙ったかのような(狙いました)タイミング! ぜひ参加していただきたく、U-22にやさしい料金と時間設定にいたしました。
中高生のみなさん、これで夏休みの感想文問題もクリア出来るかも?!(出来たらいいな)
もちろん、読書感想文から解放されて久しい大人の方も、今この時代この年齢で読んでみると、また違うものが見えてくるんじゃないでしょうか。映画にもなっていますので映画見たよーという方もおいででしょう。タイトルは聞いたことあるけどどんな話?という方も、それに読書会ってなに?という方も、これを機にいかがでしょう。
「はじめての海外文学フェアVol.3」との連動企画ともなっています。
多摩南読書会は、「はじめての海外文学」作品としても『蠅の王』をお薦めいたします。
更に特別企画としまして、『蠅の王』にちなみ、「王」の字を含む名字を持つ方、先着1名様無料!!といたします。
全国の「王」様、どうぞ奮ってご参加ください。
しかしそれにしても、はたしてこの島で自分は生きていけるんだろうか……
あ、まずはホラ貝を拾わなければ。
日時 2017年8月5日(土)15〜17時(会場受付は14時45分から)
場所 JR/小田急町田駅近くの会議室(詳細はお申込の方に別途メールにてご案内いたします)
課題書 『蠅の王』ウィリアム・ゴールディング著、黒原敏行訳、ハヤカワepi文庫
定員 20名(初参加者優先枠あり)
参加費 一般1,000円 U-22(18〜22歳)500円 高校生以下 無料
「王」を含む名字の方、先着1名様無料
※飲み物などはつきません。会場に飲料の自販機あり。
※今回は、読書会後の二次会は特にご用意しておりません。本会に全力参加でお願いいたします。
お申込方法
6月24日(土)20時から申込を受け付けます。
多摩南読書会専用アドレス tamaminamidokusho@yahoo.co.jp にメール(件名:「多摩南読書会8/5 」)でお申込ください。
申し込みフォーム
「多摩南読書会8/5」に参加します。
お名前(ご本名フルネーム)
ご連絡先電話番号
ご連絡先メールアドレス
種別1 : 一般 / U-22 /高校生以下
種別2:リピーター/初参加
*種別は該当するほうを残してください。
*課題書は各自ご用意の上、必ず当日までに読了してご参加ください。
*先着順で受け付け、定員に達した段階で締め切ります。以降はキャンセル待ちを受け付けます。
*多摩南読書会に初めて参加されるかたがお申し込みしやすいよう4人分の「初参加者優先枠」を設けます。7月29日(土)までに「初参加者優先枠」が埋まらない場合は、キャンセル待ちをされているリピーターの方にご案内をいたします。
*多摩南読書会世話人*
片山奈緒美(ツイッターアカウント @naolynne)
青柳恭子(ツィッターアカウント @beth999ak)
大戸敦子(ツィッターアカウント @rolling_avocado)
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