〈翻訳ミステリーお料理の会〉第7回調理実習レポート スペンサーの食卓(執筆者・よしだ熊猫)

11月最後の土曜日、翻訳ミステリーお料理の会は第7回の調理実習を行いました。今回は参加してくださった方からのレポートです。
 



  
スペンサー・シリーズを読んでいると何やらお腹の虫が騒ぎ出すのは私だけではないと思います。スペンサーの手から生み出される「アメリカの日常の食事」。なんとも美味しそうですね。世話人の皆様が「いつかはチャレンジしてみたい」と仰っていたそのレシピが、いよいよ翻訳ミステリーお料理の会のまな板の上に乗せられる日がやってきました。
 
今回スペンサーのレパートリーから選ばれたのは「ズッキーニとかぼちゃのリングィーネ」「コールド・アスパラガスのグリーンハーブ・マヨネーズ添え」「ホットビスケット」の3品。いつもより品数が多い上に、お料理の会開催7回目にして初の男性の手によるレシピ。世話人さんの「ボリュームがあるのでお腹を空かせてきてね」のお言葉に、参加者一同期待に胸を膨らませ、その分お腹はペコペコにして会場に集まりました。
 

今回はこんな材料を使います

 
当日は菊池光さんの後を継いでスペンサー・シリーズを訳された加賀山卓朗さんも、スペンサー張りの長身に深緑のストライプのエプロンをキリッと纏ったお姿でご参加下さいました。
 

加賀山さん、実はお料理男子なんだとか。どうりでエプロン姿がさまになります!

 
今回の講師は翻訳者の芹澤恵さん。
軽妙なおしゃべりを混ぜつつ、手順を教えてくれます。
 
まずはコールド・アスパラガスから。
アスパラガスを好みの柔らかさに茹でて、ベビーリーフとトマトをあしらったお皿の上に並べます。
その一方で3種類のハーブを刻んでマヨネーズに混ぜてソース作り。
共同作業なのでサラダとソースが同時に出来上がっていきます。
ハーブは何でもあるものでとのことなので、いろいろな組み合わせを試して自分の好みを見つけるのも楽しそうです。
出来上がったサラダとソースはひとまず冷蔵庫へお引越し。試食まで暫しのお別れです。
 
続いてはホットビスケット。
講師は芹澤さんから、イラストレーターでありながらパン教室も開いているという粉物名人・宮崎裕子さんに交代です。
バターを切って、空気を含ませた粉に混ぜ、そこに生クリームを投入して生地をまとめます。
ささっと成形したら、予熱していたオーブンへin。
とっても簡単なこのレシピ。いちばん大変なのは最初に分量の粉を図ることじゃないかしら。
この日は粉類はあらかじめ用意されていたこともあって、参加者のみなさんの作業もスムーズ。中にはこの後に作るパスタ用の野菜を切り始める班もちらほら…。
そんな訳でオーブンから良い香りが立ち上がってくる頃には、パスタ作りの準備もすっかり整いました。
 

ホットビスケット、焼きあがりました

 
パスタ作りの講師は芹澤さん。
松の実とパン粉をオリーブオイルで炒める一方で、先ほどアスパラガスを茹でたお湯を利用してパスタと野菜を茹でます。
パスタは全粒粉で作られたもの。ここがスペンダーのこだわりなんだとか。
パスタにパン粉を加えるレシピは、昔シチリアの貧しい人々がチーズの代用品としてパン粉を使ったことに由来するそうです(芹澤さん談)。
そういえばネロ・ウルフにもパン粉をパスタに混ぜるレシピがありますが、アメリカでは割と一般的なのかしら。
茹で上がったパスタと野菜、パン粉をソースに絡めて完成です。
いつもより品数が多いので時間が足りなくなるのではと心配したのですが、講師の方々の説明が分かりやすい上に参加者のみなさんの手際が本当に良くて、あっという間に3品がテーブルに並びました。
 

シンプルな調理法ばかりなのに、このボリューム

 
いよいよお楽しみの試食です。
サラダ、パスタ、ホットビスケット。どれから食べるかはみなさんそれぞれでしたが、同じように「美味しい!」という声が上がります。
サラダに添えたマヨネーズのハーブのフレッシュな香り。パン粉が生み出すパスタの食感の面白さ。ホットビスケットのリッチな味わい。うーん。スペンサー侮りがたし。
こんなお料理を手早く楽しんで作ってくれるパートナーがいたら、スーザンが頼ってしまいたくなるのも分かるってものです。
加賀山さんも「簡単に作れるのに美味しい!」とご満足の様子。いままでスペンサーの料理を作ってみたことはなかったそうですが、またご自宅で作ろうかななんて仰ってましたよ。
その加賀山さんの解説によると、スペンサー・シリーズはラノベに近いミステリーとのこと。
会話が多く、事件もそれ程込み入ったものではなく、キャラクターの魅力を前面に押し出しているというのがその理由。なので翻訳ミステリーを読み慣れていない人にお勧めしやすいのではないかと。
実はこの日、もうひと方ロバート・B・パーカーの作品を訳されている翻訳者の光野多恵子さんもご参加されていて、加賀山さんとご一緒にパーカーの魅力をたっぷり話して下さいました。
 
そうそう。さすがに今回のお料理はボリュームがありすぎて(だってパスタの具がかぼちゃとズッキーニですよ。スペンサーどれだけかぼちゃ好きなの⁉)、ホットビスケットを食べきれず持ち帰りにした参加者もおりました。
実は私もその1人。持ち帰った物を翌朝焼き戻して頂きましたが、サクサクで美味しかったことをお知らせしておきます。
毎回、美味しいレシピと楽しい話題を提供してくださるお料理の会の世話人のみなさま、今回もごちそうさまでした!
 

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