東京創元社 8月の新刊

ミステリーズ!』vol.72 AUGUST 2015
東京創元社(雑誌)/本体価格1200円/8月12日/ISBN:978-4-488-03072-8
【特別企画】
来日記念 フェルディナント・フォン・シーラッハインタビュー
酒寄進一 シーラッハのロスト・イン・トランスレーション
【ブックエッセイ】
斎藤倫子 私はこれが訳したい Das Fliegende Klassenzimmer Erich Kastner
【評論】
川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第二十三回

ミステリーズ! vol.72

ミステリーズ! vol.72


『地球の中心までトンネルを掘る』/Tunneling to Center of the Earth
ケヴィン・ウィルソン(Kevin Wilson)/芹澤恵・訳
海外文学セレクション(単行本)/本体価格1800円/8月12日/ISBN:978-4-488-01658-6
【シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作】
これは「あなた」だったかもしれない人たちが織りなす、孤独と共感についての11の物語。代理祖父母派遣会社で引く手あまたの「祖母」として働く女性、人体自然発火現象で死ぬことを恐れながら弟と暮らす青年、折りヅルを使った奇妙な遺産相続ゲームに挑む男たち、ある日突然思いつき、裏庭でひたすらトンネルを掘りはじめた三人の若者……少しだけ「普通」から逸脱した日々を送る人々の、生活と感情の断片を切り取った挿話が、不思議としみじみした余韻をもたらす短編集。解説=倉本さおり

【収録作品】
「替え玉」
「発火点」
「今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き」
「ツルの舞う家」
モータルコンバット
「地球の中心までトンネルを掘る」
「弾丸マクシミリアン」
「女子合唱部の指揮者を愛人にした男の物語(もしくは歯の生えた赤ん坊の)」
「ゴー・ファイト・ウィン」
「あれやこれや博物館」
「ワースト・ケース・シナリオ株式会社」

地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション)

地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション)


『シンデレラたちの罪』/Askungar
クリスティーナ・オルソン(Kristina Ohlsson)/ヘレンハルメ美穂・訳
創元推理文庫/本体価格1300円/8月12日/ISBN:978-4-488-19204-4
女の子は座席で眠っていた。途中駅での停車時間にホームに降りた母親を置いて、列車は出発してしまう。そして終点で確認したときには、女の子は消えていた……。捜査にあたったストックホルム市警の敏腕警部は、少女の母親の別れた夫に目をつけた。どうやら母親は元夫に暴力をふるわれていたらしい。だが彼の部下で新人の女性警察官のフレデリカは捜査の方向に違和感を感じていた。世界27か国で刊行、大好評を博したデビュー作。訳者あとがき=ヘレンハルメ美穂

シンデレラたちの罪 (創元推理文庫)

シンデレラたちの罪 (創元推理文庫)


『誘拐された犬 名犬チェットと探偵バーニー2』/Thereby Hangs a Tail
スペンサー・クイン(Spencer Quinn)/古草秀子・訳
創元推理文庫/本体価格1000円/8月21日/ISBN:978-4-488-23007-4
●大矢博子氏――「犬を徹底的にリアルに(でも可愛く)描くことで、それがミステリとしての構造にも寄与しているという、稀有なシリーズ」(解説より)
チェットとバーニーの元依頼人、伯爵夫人と愛犬が誘拐された。事件を取材中のバーニーの恋人も失踪。何が起きたのか? 犬好きのリトマス試験紙ともいうべき傑作犬ミステリ。(単行本版タイトル『チェット、大丈夫か?』改題・文庫化)


『もう過去はいらない』/Don't Ever Look Back
ダニエル・フリードマン(Daniel Friedman)/野口百合子・訳
創元推理文庫/本体価格1040円/8月28日/ISBN:978-4-488-12206-5
88歳のメンフィス署の元殺人課刑事バック・シャッツ。歩行器を手放せない日常にいらだちを募らせる彼のもとを、因縁浅からぬ銀行強盗イライジャが訪ねてきた。何者かに命を狙われていて、助けてほしいという。やつは確実になにかをたくらんでいる。それはなんだ。88歳の伝説の名刑事vs.78歳の史上最強の大泥棒。『もう年はとれない』を超える、最高に格好いいヒーローの活躍! 解説=川出正樹

もう過去はいらない (創元推理文庫)

もう過去はいらない (創元推理文庫)


『怪盗ニック全仕事2』/The Complete Stories of Nick Velvet: Vol.2
エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)/木村二郎・訳
創元推理文庫/本体価格1300円/8月28日/ISBN:978-4-488-20115-9
映画の没フィルム、サーカスのポスター、アパートのゴミ……誰も盗もうとは思わないものだけを、依頼されて盗むユニークな怪盗ニック・ヴェルヴェット。本書にはお馴染みの奇妙な依頼のほか、何を盗むのか不明な話、ニック自身が盗まれる話、何も盗まないよう頼まれる話など、シリーズ屈指の変化球をそろえた。短編の名手ホックが生み出した、比類なき怪盗の文庫版全集第2弾。解説=木村仁良

【収録作品】
「マフィアの虎猫を盗め」
「空っぽの部屋から盗め」
「くもったフィルムを盗め」
「クリスタルの王冠を盗め」
「サーカスのポスターを盗め」
カッコウ時計を盗め」
「怪盗ニックを盗め」
「将軍のゴミを盗め」
「石のワシ像を盗め」
「バーミューダ・ペニーを盗め」
ヴェニスの窓を盗め」
「海軍提督の雪を盗め」
「卵形のかがり玉を盗め」
シャーロック・ホームズのスリッパを盗め」
「何も盗むな」

怪盗ニック全仕事(2) (創元推理文庫)

怪盗ニック全仕事(2) (創元推理文庫)


『まるで天使のような』/How Like an Angel
マーガレット・ミラー(Margaret Millar)/黒原敏行・訳
創元推理文庫/本体価格1200円/8月28日/ISBN:978-4-488-24709-6
山中で交通手段を無くした青年クインは、〈塔〉と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。だが彼は五年前、謎の死を遂げていた。平凡で善良な男に何が起きたのか。なぜ外界と隔絶した修道女が彼を捜すのか。私立探偵小説と心理ミステリをかつてない手法で繋ぎ、著者の最高傑作と称される名品が新訳で復活。解説=我孫子武丸


『書店猫ハムレットの跳躍』/A Novel Way to Die
アリ・ブランドン(Ali Brandon)/越智睦・訳
創元推理文庫/本体価格1200円/8月28日/ISBN:978-4-488-28602-6
ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫ハムレットが店のマスコットだ。ある日、ダーラは近所の工事現場で常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡が。最近、夜に外を出歩いているらしいハムレットのものなのか? 名探偵猫ハムレット登場の、コージー・ミステリ第一弾。訳者あとがき=越智睦

書店猫ハムレットの跳躍 (創元推理文庫)

書店猫ハムレットの跳躍 (創元推理文庫)