翻訳ミステリー長屋かわら版・第58号

  田口俊

翻訳者のみなさん、翻訳ミステリー大賞選定の第一次投票締め切りまで、ひと月を切りました。
 もうお決まりでしょうか?
 かく言う私、あと一冊を決めかねていて、積んどく書になっている話題作を今月中にできるだけ読もうと思っています。毎年そんな調子ですが。まさに子供の夏休みの宿題ですね。
 すでにご承知のことと思いますが、今年から少しばかり投票要項が変わりました。おひとりでも多くの方に投票していただきたいと願った結果です。
 投票できる五作がありながら、これまで投票をためらっておられた方がいらっしゃるようでしたら、どうかご遠慮なく、清き一票、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

(たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬とパチンコ)



   横山啓明

翻訳ミステリー大賞一次投票日が近づいてきました。

もう、そんな時期なんですね。今年は特にあっという間。
いろいろとあったなぁ〜(しみじみ)。

さて、今年はなにを選びましょうか。
すでに三冊は決めているんですけど、
あとの二冊をどうするか……。
気楽に選ぶことにします。
お祭りですから。

投票資格のある方、あまり難しく考えずに
軽い気持ちで参加してくださいね。
翻訳出版界を一緒に盛り上げていき
ましょう!

(よこやまひろあき:AB型のふたご座。音楽を聴きながらのジョギングが日課。主な訳書:ペレケーノス『夜は終わらない』、ダニング『愛書家の死』ゾウハー『ベルリン・コンスピラシー』アントニィ『ベヴァリー・クラブ』ラフ『バッド・モンキーズ』など。ツイッターアカウント@maddisco



  鈴木恵

ケイト・アトキンソン『探偵ブロディの事件ファイル』が面白かった。ステロタイプをうまく活かしたブロディのキャラ(鼻に絆創膏を貼ったジャック・ニコルソンみたいな)もさることながら、依頼人たちの造形がまた秀逸。とくに女たちの身も蓋もなさが、なんとも可笑しい。そういう属性は本来なら探偵側の専売特許であるはずなのだから、ブロディのほうがお株を奪われた格好で、読んでいるあいだじゅうニヤニヤしっぱなし。これが4部作の第1作だというから楽しみ。翻訳ミステリー大賞の投票がすんだら、『世界が終わるわけではなく』も読んでみたい。

(すずきめぐみ:文芸翻訳者・馬券研究家。最近の主な訳書:ウィンター『自堕落な凶器』 バリー『機械男』など。 最近の主な馬券:なし orz。ツイッターアカウント@FukigenM



    白石朗


 先月25日、熱海でおこなわれた読書会合同合宿「熱海でポン!」にお邪魔してきました。千葉・横浜・名古屋の各読書会メンバーを中心に総勢五十名。ビブリオバトル等の企画で楽しみ、クロスワードパズルについ熱中(ひとつググっちゃいましたすみませんすみません……そのくせ全問正解は遠いという情けなさ……)、深夜まで翻訳ミステリーの話題づくしのにぎやかな一夜でした。やっぱり温泉はいいですね。世話役とご参加のみなさま、お世話になりました。
 さて、先日こちらにも掲載したとおり、第六回翻訳ミステリー大賞の投票がはじまっています。今年はフィクション翻訳者のみなさまにくわえて、ノンフィクションの分野で活躍されている翻訳者諸兄姉にも投票をお願いすることにしました。多くの方の「オススメ本」の声をあつめて翻訳書のおもしろさを世に広めていきたいと思います。まわりのお知りあいの方にもお声をかけてくだされば幸甚です。

しらいしろう:1959年の亥年生まれ。最新訳書はヒル『NOS4A2―ノスフェラトゥ―』グリシャム『巨大訴訟』キング『11/22/63』アウル『聖なる洞窟の地』など。ツイッターアカウント@R_SRIS



   越前敏弥

 以前このシンジケートが主催し、いまはやまねこ翻訳クラブのメンバーが中心で進めている読書探偵作文コンクール(今年が第5回)の結果が先日発表になりました。おかげさまで今年は過去最高の155通の応募がありました。受賞作はこちら、1次選考通過作へのコメントはこちらです。
 総評にも書きましたが、今年特に印象に残ったのは、何人もの文章のなかに、翻訳書を多く読んでいるにちがいないと思われる表現が散見されたこと(たとえば、比喩やダーシの使い方など)。そして、翻訳書を読んだことをきっかけとして、作者や主人公の住む国の社会や文化について徹底的に調べた例がいくつも見られたこと。どちらも、翻訳者として、うれしいかぎりです。
 受賞7作の本文は、これから順次公式サイトに掲載されるので、ぜひ読んでみてください。来年の応募もお待ちしています。
 翻訳ミステリー大賞の1次投票や、横浜翻訳ミステリー読書会主催の「ヨコミス」の投票も、受付を開始しています。そちらもどうぞよろしく。

(えちぜんとしや:1961年生。おもな訳書に『解錠師』『夜の真義を』『Yの悲劇』『ダ・ヴィンチ・コード』など。趣味は映画館めぐり、ラーメン屋めぐり、マッサージ屋めぐり、スカートめくりツイッターアカウント@t_echizen。公式ブログ「翻訳百景」 )



   加賀山卓朗

 毎年もっと前倒ししなきゃと思いながらも、翻訳ミステリー大賞の投票に向けてラストスパートです。C・J・ブロック『復讐のトレイル』イアン・ランキン『監視対象』もJ・M・ケイン『カクテル・ウェイトレス』もこれからですYO! 犬飼ってる人はロバート・クレイス『容疑者』も必読? しかし目黒考二さんのおひとりさま料理本『連篇累食』を読みはじめたら面白くて、いろいろ間に合いそうにないんですが……。あ、今年の投票対象外ですけど、まもなく発売のジョン・ル・カレ『繊細な真実』もよろしくお願いします(蹴)

(かがやまたくろう:ロバート・B・パーカー、デニス・ルヘイン、ジェイムズ・カルロス・ブレイク、ジョン・ル・カレなどを翻訳。運動は山歩きとテニス)



 上條ひろみ

 先日、翻訳ミステリーお料理の会(けっしてあやしいものを作って食べる会ではありませんよ!)メンバーと、六本木の北欧料理のお店に行ってきました。今ではすっかりおなじみとなった北欧ミステリーですが、そういえばちゃんとした北欧料理って食べたことないなと思っていたところ、メンバーのひとりがすてきな北欧料理のお店を見つけてきてくれたのです。けっこう有名店みたいで、長身スレンダーな北欧美人がサーブしてくれるのは、ニシンのマリネやビーフシチュー、ジャガイモのグラタンなどの、気取らない家庭総菜料理。北の国々の料理なので、お味はちょっと濃いめでしたが、何を食べてもすごくおいしくて、やはり「北欧はあなどれない!」との思いをあらたにしました。
 さて、第六回翻訳ミステリー大賞一次投票の締切はいよいよ今月末! 翻訳者のみなさまは頭を悩ませている最中かと思います。今年も話題作が多くて選ぶのはなかなか大変かと思いますが、あなたのビビッときた作品を多くの方々に広めるべく、投票のほどよろしくお願いします。どんな結果が出るのか、今から楽しみです。

(かみじょうひろみ:英米文学翻訳者。おもな訳書はジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ〉シリーズ、カレン・マキナニーの〈朝食のおいしいB&B〉シリーズなど。趣味は読書とお菓子作りと宝塚観劇)


探偵ブロディの事件ファイル

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世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)

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復讐のトレイル (講談社文庫)

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監視対象: 警部補マルコム・フォックス (新潮文庫)

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カクテル・ウェイトレス (新潮文庫)

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容疑者 (創元推理文庫)

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連篇累食

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