第三回翻訳ミステリー大賞・予選委員会経過報告

 
 2011年12月20日、都内において第3回翻訳ミステリー大賞の最終候補作を決定する予選委員会が開催されました。予選委員会には、上條ひろみ、白石朗、鈴木恵、田口俊樹、森嶋マリ(50音順)の全予選委員が出席、また立会人として翻訳ミステリー大賞事務局の川出正樹、杉江松恋が同席いたしました。
 
 予選委員会ではまず、11月30日に締め切られた第一次投票結果(投票者全60名、投票作品全75作)について、立会人をふくめて確認作業をおこないました。
 まず全60名の投票のすべてが有資格者(フィクションの訳書が少なくとも1冊ある者、またはそれに準する訳業のある者)によるものであること、および各投票者が規定どおり5作投票していることを全員で確認しました。
 つづいて投票された作品のうち上位20作について、対象年度内に刊行された(奥付ベースで2010年11月1日から2011年10月31日)翻訳フィクションであることをを全員で確認しました。
 
 つづいて投票結果の上位5作について話しあいました。ここでは委員全員がフィクション翻訳者の総意である投票結果を厳粛に受けとめ、またいずれの作品にも候補作とするにあたって問題のないことを確認、最終候補作とすることに異存がないとの意見を表明いたしました。
 
 その話しあいの過程で、今年度の翻訳ミステリーの充実を背景に、最終候補作を5作と限らなくてもよいのではないかという意見も複数の委員と立会人から出されました。しかしながら、今年度の投票要項で最終候補作を5作と明記している関係上、最終候補作の数に関しては次回以降の投票要項と選考過程の再検討にあたっての議題とすることを全委員で申し合わせました。
 
 上記話しあいの結果、最終候補作を以下の5作とすることを決定いたしました。(作品名50音順)
アンダー・ザ・ドームスティーヴン・キング白石朗訳(文藝春秋
『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴訳(早川書房
『犯罪』フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一訳(東京創元社
『夜の真義を』マイケル・コックス/越前敏弥訳(文藝春秋
『忘れられた花園』ケイト・モートン/青木純子訳(東京創元社
 
(付記――白石朗委員は自訳書であるスティーヴン・キングアンダー・ザ・ドーム』に関しての議論にはいっさい加わりませんでした。同作品に関しての決定は他4名の予選委員がすべて責任をもって下しました)
 
 最終候補作5作の決定後、今後の選考と発表のスケジュールや形態について話しあい、以下のように決定いたしました。

                                                                                          • -

2次投票締切:2012年3月31日(土)
公開開票式および贈賞式:2012年4月14日(土)

                                                                                          • -

*投票要項、および公開開票式と贈賞式の詳細、後者を含むコンベンションの詳細や参加方法などは、追って当サイトにて公表いたします。また一次投票の結果のうち、投票のあった全作品を近日中に公開いたします。
 
 また二次投票は「一次投票に参加していなくても、最終候補作をすべて読了した有資格者であれば投票できる」旨の告知をさらに徹底することもあわせて各委員が申し合わせました。
 

――翻訳ミステリー大賞・予選委員会 
 
【一次投票者】阿尾正子,青木悦子,青木創,飯干京子,大野晶子,大森望,緒川さら,尾之上浩司,加賀山卓朗,柿沼瑛子,片山奈緒美,門野集,金井真弓,金井美子,上條ひろみ,喜須海理子,木村浩美,熊井ひろ美,栗木さつき,黒輪篤嗣,小林さゆり,駒月雅子,酒寄進一,佐々田雅子,島村浩子,下村純子,白石朗白須清美,鈴木恵,芹澤恵,高橋佳奈子,高橋恭美子,高橋知子,高山真由美,田口俊樹,立石ゆかり,対馬妙,辻早苗,戸田早紀,冨田ひろみ,中里京子,成川裕子,那波かおり,野口百合子,法村里絵,羽田詩津子,早川麻百合,東野さやか,平岡敦,古屋美登里,堀川志野舞,三浦玲子,三角和代,皆川孝子,宮崎真紀,森沢くみ子,森嶋マリ,山岸真山田久美子横山啓明(以上60名、五十音順、敬称略)
 
■関連記事
第三回翻訳ミステリー大賞最終候補作決定(12月21日掲載)
第三回翻訳ミステリー大賞一次投票のご案内(11月1日掲載)
第三回翻訳ミステリー大賞選出にむけて(10月12日掲載)
第三回翻訳ミステリー大賞選出に向けて(7月10日掲載)