扶桑社ミステリー8月の新刊

 
森の惨劇/Cover
ジャック・ケッチャム(Jack Ketchum)著/金子浩訳
扶桑社ミステリー/定価780円(税込)/発行年月日:2010/08/10
ISBN:9784594062484
 
ベトナム戦争からの帰還兵リーは、心に深い傷を負って現実生活に適応できなくなり、人里離れた山中で愛犬とともに暮らしています。マリファナを栽培しながらの夢と現が交錯する生活。しかし、そこに人気作家ケルシーを中心とした仲間6人がキャンプにやってきて……。
 
山に気楽な気分で入ると、大変なことが起きる……。
なんとなく現実の事件にも当てはまる気がしてぞっとしますが、今回のお題は、
ケッチャム版「ランボー×13金」
傑作『オフシーズン』隣の家の少女のあいだに書かれた、“もっともケッチャムが危険な作家だった”最初期の問題作です。
 
と、扇情的にちょっとあおってみましたが、
中身はケッチャムらしい、切り詰めたドライな筆致と、酷薄で嗜虐的な描写、ある種のリリカルな文学性を示す、彼にしか書けない「まさにケッチャム」という作品となっています。
 

殺戮とグロテスクのグラン・ギニョル。
神話的な恐怖をたたえた“迷宮としての森”。
緊迫感あふれる“狩るもの”と“狩られるもの”のゲーム。
悲しいまでにせつなく、やるせない帰還兵の心のかたち。
作家たちの織りなす、不思議な愛のかたち。
そして、すべてをのみこんで動きつづける、運命の車輪。

  
ホラー・サスペンスとしても、“ベトナム戦争”小説としても、一級品。
隣の家の少女だけではないケッチャムの世界を、読者の皆様にも味わってほしいと切に祈っております。夏のひとときを、ケッチャム片手にぜひひんやりお過ごしください……。(編集Y)

森の惨劇 (扶桑社ミステリー)

森の惨劇 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

オフシーズン (扶桑社ミステリー)

オフシーズン (扶桑社ミステリー)

 
森の惨劇翻訳者の金子浩氏による「イチ押し本」はこちらです。あわせてお読みください。(事務局)