【毎月更新】戸川安宣の翻訳家交遊録

翻訳家交遊録 7(執筆者・戸川安宣)

■乾信一郎さん 今回は乾信一郎さんについて書いてみたいと思います。 この度、歌人でSFファンでもある広島の天瀬裕康氏が「悲しくてもユーモアを 乾信一郎の自伝的な評伝」を纏められ、それを拝読させて戴きました。 綿密な調査の許に書かれた本稿は、乾信…

翻訳家交遊録 6(執筆者・戸川安宣)

■北欧ミステリ・フェス2014 昨年の11月22日に、立教大学で「北欧ミステリ・フェス2014」という催しがあり、スウェーデンからカラミ・レックバリ、そしてフィンランドからレーナ・レヘトライネンという二人の女流作家が来日し、それに翻訳家の柳沢由実子、ヘ…

翻訳家交遊録 5(執筆者・戸川安宣)

■菊池光さんの想い出 フランシスの競馬シリーズや、パーカーのスペンサー・シリーズの翻訳家、菊池光さんが亡くなって(2006年6月16日)、早いものでもう8年になります。 菊池さんが突然、翻訳家として鮮烈なデビューを飾ったのは、昭和43(1968)年、ギャヴィ…

翻訳家交遊録 4(執筆者・戸川安宣)

■懐かしい宇野節 ぼくが初めて宇野先生とお仕事をさせていただいたのは、入社早々、昭和45(1970)年の春でした。上司から宇野先生の担当になれ、と言われ、道順を教わって初めて田園調布のお宅にうかがった時のことをはっきりと覚えています。今は新しい駅舎…

翻訳家交遊録 3(執筆者・戸川安宣)

■編集者・厚木淳 2014年の7月11日、東京・神楽坂の出版クラブで、東京創元社60周年記念の翻訳家謝恩パーティがありました。 受付の後ろに立ち、続々とやってくる来賓の方を見ていたぼくには、感慨深いものがありました。そのほとんどが女性、というのは少し…

翻訳家交遊録 2 (執筆者・戸川安宣)

「1」はこちら 東京創元社における翻訳ミステリ出版前史(承前) 背景説明のつもりの話が存外長くなってしまいましたが、もう暫くご辛抱下さい。 「クライム・クラブ」発刊の翌7月から「ディクスン・カー作品集」全12巻の刊行が始まります。カーは「世界推…

【新連載】翻訳家交遊録 1 (執筆者・戸川安宣)

はじめに 今(2014)年の9月、新潮文庫から田口俊樹訳の『郵便配達は二度ベルを鳴らす』が刊行されました。同文庫で半世紀に亘り売り続けてきた田中西二郎訳に替わる新訳版ということで話題となり、蔦屋書店代官山店ではやはり同書の翻訳を手がけた小鷹信光…