木曽駒ケ岳『シブミ』読書会レポート〈前編〉(執筆者・きくちか)

翻訳ミステリー名古屋読書会登山部
木曽駒ケ岳『シブミ』読書会レポート〈前編〉


※読書会参加者有志の皆さんから登山&読書会のレポートが届きました。お楽しみください。
 また、自発的、自然発生的な読書会やファンイベントについて、レポート等掲載のご希望があればご相談ください。(事務局)


 まだ梅雨が明けない深夜の東京中央道を、1台の車が長野に向けてひた走っていた。
 中央道と言えば「中央フリーウェイ」。
 調布空港を過ぎ、府中競馬場、サントリービール工場を経て、この道はまるで滑走路……。


 いやいやいや、ついついユーミンの世界。
 皆さん始めまして。
 札幌読書会のきくちかです。
 7月10日の翻訳ミステリー名古屋読書会登山部主催木曽駒ケ岳『シブミ』読書会」に参加しました。
 昨年行われた「富士山頂『北壁の死闘』読書会」に次ぐ第2弾。
 私と、茨城からのメンバー、登山部の叶姉妹の姉Mさんの2人は夜中のフリーウェイを名古屋のメンバーが待つ長野県管の台へ、夜空に向けてひたすら走った。


 管の台駐車場で名古屋組メンバーと合流、朝5時まで車中で仮眠。
 男2名、女6名総勢8名のパーティである。
 チーム名はHMT49である。
 翻訳ミステリー登山部の略(今考えた)。
 どうでもいい事だが49は平均年齢である。




氷河期の氷に削られてできた千畳敷カールは高山植物の宝庫


 7時にバスで出発、ロープウェイを乗り継いで、降りたところが標高2612メートルの千畳敷
 なんと快晴、昨日の雨がうそのように青空が広がっている。
 いつも雨に降られては「K隊長のせいで雨」「えっ、オレのせい?」「そうに決まってるじゃないの」と非科学的な事を半分本気で論じ合うメンバー達も、晴れて機嫌がよく「ほれ、晴れたじゃないか」「いやいやいや」「あたしが晴れ女ですから」と相変わらず科学から遠い話で盛り上がる。
 そしてそこから見える千畳敷カールのすばらしさ。
 氷河に削られたU字型の谷が広々と見渡せ、まるでスイスのよう。
 低い木の緑と、輝く白い岩肌、青い空と、いやもうロープウェイでここに来るだけで現実離れした美しさである。



いざ出発。日焼け対策に余念のない女性陣の頭上に禍々しくそびえるのは宝剣岳


 でも我々HMT49の活動はこれからだ。
 乗越浄土の尾根を目指して、登山道を登り始める。
 だ、だんだんつらくなる。
 Uの字を見てほしい。
 両側が端に行くほど垂直に近くなっているのがおわかりだろう。
 つまり登れば登るほど勾配がきつくなっていくのだ。
「ひー」とか言いながら、岩だらけの道を乗越浄土までよじ登る。
 乗越浄土は山と山をつなぐ尾根である。
 ここまで来ると視界はさらに広くなる。
 前方にはこれから登る中岳。
 後方には連なる南アルプスと、その向こうに富士山。
 そして横には尖った岩を縦にどーんと立てたような、デンジャラスな顔つきの宝剣山。
 目標の木曽駒ケ岳は、中岳の向こうだ。
 富士山登山の時とちがって、メンバー達は皆余裕である。
 富士山の時はつらかった。
 参加した人は皆「富士山? いやーほんとにあの時はさあ」と……。
 富士山の話は去年のレポートをお読みください。



乗越浄土を目指してひたすら登る


 乗越浄土からは尾根歩きとなり、アップダウンの岩の道が続く。
 少し遅れるメンバーがいたり、走りたくて我慢できないメンバーがひとりまき道を木曽駒に住む野人のように走り去る事もあったが、全員無事木曽駒ケ岳に登頂。
 正面には2014年に噴火した台形の御嶽山が、雲の上に黒々と姿を現している。
 このような所で突然噴火に見舞われたら、どう逃げていいのか全然わからない。
 なすすべもなく亡くなった方々を思うと胸が痛んだ。


 木曽駒ケ岳の頂上は、石で囲まれた素朴な祠がいくつかあり広々として、売店茶店などもなくシンプルですがすがしく、厳かな雰囲気のところだった。
 茶店でソバでも食べようと昼食を持っていかなかった、世俗にまみれた凡人の私は、皆にお昼を分けてもらった。
 昼食ののち、いよいよ本日のミッションその2、『シブミ』読書会である。



頂上に到着〜

後編につづく)



きくちか @kikuchika1209


札幌在住。趣味は読書、ダンス、太極拳、時々登山。
特技はなし。無職。ちまちました遊び人です。
好きな言葉「あっしには言い訳なんぞござんせんよ」(木枯し紋次郎

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