NY Timesベストセラー速報20160508(執筆者・佐藤桂)

アメリカのベストセラー・ランキング
5月8日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)


1. THE LAST MILE    New!
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

The Last Mile (Amos Decker series Book 2) (English Edition)

The Last Mile (Amos Decker series Book 2) (English Edition)

20年前に自分の両親を殺害して服役していた死刑囚が、べつの人物の自供によって刑の執行を免れた。超記憶症候群のため驚異的な記憶力を持つデッカー刑事は、FBIの特別チームの一員として真相究明に乗りだす。シリーズ第2作。


2. THE OBSESSION    Down
Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

The Obsession (English Edition)

The Obsession (English Edition)

12歳のとき父親が連続強姦殺人犯として逮捕されて以来、名前を変え、人目を避けるように各地を転々としながら暮らしてきたナオミ。事件から18年が経ち、カメラマンとして成功した彼女は海辺の町に家を買い、新たな恋人と出会って新生活を始めるも、謎の殺人者に命を狙われることになる。


3. THE NEST    Down
Cynthia D'Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー

The Nest (English Edition)

The Nest (English Edition)

ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。


4. THE GIRL ON THE TRAIN    Up
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

The Girl on the Train

The Girl on the Train

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。


5. ELIGIBLE    New!
Curtis Sittenfeld カーティス・シッテンフェルド

Eligible (English Edition)

Eligible (English Edition)

オハイオ州シンシナティを舞台にした現代版『高慢と偏見』。ニューヨークで雑誌のライターをしていたリズ・ベネットは、父の健康状態を案じ、ヨガ・インストラクターの姉ジェインとともに生まれ育った家へもどった。そして、町へ越してきた医師のビングリーとその友人で神経外科医のダーシーに出会う。


6. FOOL ME ONCE    Down
Harlan Coben ハーラン・コーベン

Fool Me Once (English Edition)

Fool Me Once (English Edition)

元特殊部隊パイロットのマヤは、ベビーモニターで留守宅の娘の様子を確認中、ありえない光景を目にする。そこには娘を抱きあげる夫の姿があった。2週間前、強盗に襲われて死んだはずの夫がなぜ……。マイロン・ボライター・シリーズの著者による、スタンドアローンの新作スリラー。


7. THE NIGHTINGALE    Down
Kristin Hannah クリスティン・ハナ

The Nightingale: A Novel (English Edition)

The Nightingale: A Novel (English Edition)

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行予定。


8. MILLER'S VALLEY    Down
Anna Quindlen アナ・クィンドレン

Miller's Valley (English Edition)

Miller's Valley (English Edition)

ミラーの谷で代々農園を営むミラー家。政府は治水のためにダムの建造計画を進めるが、実現すれば農園は水没してしまう。ミラー家の娘ミミの目を通して、家族の絆と反目、葛藤、故郷の意味を描く。


9. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down
Anthony Doerr アンソニー・ドーア

All the Light We Cannot See

All the Light We Cannot See

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年――第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。


10. AS TIME GOES BY    Down
Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク

As Time Goes By

As Time Goes By

アルツハイマー病の夫を殺害した容疑で妻が逮捕される。妻は弁護士がすすめる司法取引を拒み、法廷でみずからの無実を証明しようとする。裁判の模様を伝えるリポーターは、幼いころに生き別れになった母をずっと捜しつづけていた。やがてふたりの物語が重なり合う。


【まとめ】
1位と5位に新作が登場しました。1位は、昨年5月に当ランキング初登場1位を獲得した“MEMORY MAN”の続編。フットボールの試合中の事故により、些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー刑事が主人公です。5位のシッテンフェルドは、デビュー作“PREP”がニューヨーク・タイムズの2005年ベストブック10冊に選ばれた女性作家です。ベストテン外では、14位に伝記作家、歴史家、ジャーナリストでもある女性作家L.S.ヒルトンのスリラー “MAESTRA”、16位にノルウェー人作家カール・オーヴェ・クナウスゴールの“MY STRUGGLE: BOOK 5”がはいりました。“MY STRUGGLE (Min Kamp)”は全6巻からなる自伝的小説で、第1巻『わが闘争 父の死』(岡本健志・安藤佳子訳、早川書房)が邦訳刊行されています。



佐藤桂(さとう けい)

神奈川在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)、『世界のEMOJIへ: 絵文字の成り立ちとグローバルな展開』(Amazon Kindle Singles)など。


Memory Man (Amos Decker series)

Memory Man (Amos Decker series)

Prep: A Novel

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Maestra: The Shocking International Bestseller

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My Struggle: Book Five

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わが闘争 父の死

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中途の家 (角川文庫)

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