大塚国際美術館『インフェルノ』特別読書会 in 徳島 レポート(中)(執筆者・関西読書会世話人ズ5人組)


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インフェルノトークショー by 越前敏弥氏
大塚国際美術館 別館2Fオープンスペース 参加者65名



*越前氏と大塚美術館とのご縁は、2004年5月頃から開催された作品鑑賞ツアー「ダ・ヴィンチ・コードツアー」から。その後、2009年に雑誌の企画取材で再訪し、今回の「地獄へようこそツアー」で3回目の訪問となる(浅井さんがツアーを企画された経緯はこちらの記事に)。


(浦)ダ・ヴィンチ・コードツアーは4年ほどつづいたそうで、人気ツアーだったんですね。
(小)本を持ってルーヴル美術館をめぐる人も多かったそう。大塚美術館にはほぼ揃っている。すばらしい着想ですね。


ロバート・ラングドンは、原作ではハリソン・フォードがイメージされていたようだが、最初の邦訳ではジョージ・クルーニーをイメージして訳していた。



(飯)ジョージ・クルーニーを評して「無駄にイケメン」が、ツボりました(笑)
(小)ジョージ・クルーニーなら、いつも女性に助けられているのもうなずけるかも。ついに年貢をおさめたみたいですけど。
(浦)宴会のときには、ヒュー・ジャックマンの名前もあがってましたよ。
(吉)ラッセル・クロウの名前も出ていましたね。好きなイメージキャストでシリーズ再読してみるのも楽しそう。


*小説ではラングドンは自分のことを「わたし」と言っているが、映画では「僕」に。映画化後、つぎの訳書でどうするかが悩みどころだった。


(浦)トム・ハンクスなら「僕」というのは、たしかに。
(吉)小説は「わたし」で読みたいかな〜。
(小)さてどうなっているかは、訳書をご覧ください(笑)


インフェルノロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で2015年12月18日公開が決まった模様。


(小)日米同時公開だそう。楽しみです。
(浦)舞台になっているいろんな観光地の映像も楽しみですね。
(吉)予習はばっちりなので、早く観たいです!


ダン・ブラウン作品の特徴は、歴史・文化・美術などの薀蓄+スピード感。このふたつが絶妙のバランスでまじりあったノンストップ・サスペンス。


(浦)たまに薀蓄言ってないで逃げたほうがいいんじゃないの?と思うこともあるけど(笑)、ハラハラ・ドキドキ感がつづくところはすごい。
(吉)あれだけたくさん盛り込んで、もたつかないのは、やっぱりバランスなんだろうな〜。
(影)蘊蓄言っててもあまり気にならないし、読むスピードが全然落ちないですものね。


*シリーズ作品それぞれに出てくる秘密結社。イルミナティシオン修道会は、小説に出てくるような形とは違うが、実在したかもしれない。フリーメイソンは実在する。大機構は100%フィクション。


(吉)次作ではどんなのが出てくるのか、気になってきました。
(飯)ここで日本のフリーメイソン潜入ルポが! しかも内部写真たくさん! 
(影)フリーメイソンの建物って入れるんだ!


インフェルノに登場する「大機構」。英語ではThe Consortiumで、この訳語にいちばん苦労した。ばかばかしいほど大げさなことをする組織なので、大げさで偉そうな響きがある訳語にしたかった。


(浦)最初はすごそうな組織の雰囲気を漂わせてましたよね。でも……


インフェルノはシリーズのなかでいちばん大どんでん返しがすごい。(インフェルノのプロモーションムービーが紹介されました。角川書店ダン・ブラウン公式サイトで視聴できます)


(浦)PVかっこよかった。ゾブリストの台詞が読まれて、急に具体的なイメージがわいてきました。


神曲の訳書でいちばんのおすすめは神曲【完全版】』平川祐弘訳)。これにはギュスターヴ・ドレの挿絵が全点収録されている。角川ソフィア文庫からも読みやすいものが出ている。ほかにも関連書として、デビルマンを描いた永井豪『ダンテ神曲や、阿刀田高『やさしいダンテ〈神曲〉』村松真理子『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』などが面白い。ダン・ブラウン研究会のダン・ブラウン徹底攻略』もぜひ。


(飯)神曲』への興味がつのってきたところで、おすすめ訳書、ご紹介ありましたね。
(浦)永井豪さんの漫画が意外。
(小)思わず、kindleでポチってしまいました(笑)
(吉)どれもそれぞれにおもしろそうです。


インフェルノで重要な鍵となる絵画や場所をスライドで紹介。
 ボッティチェルリ作〈地獄の見取り図〉/ ヴェッキオ宮殿五百人広間にあるヴァザーリの〈マルチャーノ・デッラ・キアーナの戦い〉/ ダンテのデスマスク など。


(浦)〈地獄の見取り図〉のスケキヨの足みたいなのってのもツボでした。


ベアトリーチェは永遠の恋人といわれているが、実はダンテが9歳・18歳のときの2回しか会っていない。


(小)ほとんど言葉も交わしていなかったそう。ベアトリーチェは他の人に嫁いで、24歳で夭折。美しいイメージだけが残ったのかな。
(吉)美しい姿だけを見たのですね……


*大塚美術館にはウィリアム・ブレイクの「ダンテとベアトリーチェ」(ダンテに語りかけるベアトリーチェ)という絵がある。



(飯)これ、午前中に見ましたよ。ツアーでは回らなかったですね。
(浦)気づきませんでした。残念。右端の人物がダンテなんですよね。女性にも見えるけど(笑)


*参加者からの越前氏への質問です。


Q.小説の舞台となった場所で、実際に行ったところ、行きたいところ、役に立ったところはどこかありますか?
A.ルーヴル美術館を三時間ぐらい訪れただけですね。近々、ぜんぶ回りたいと思っています。ワシントンDCがいちばん面白そうなので、最初に行きたいかな。


(浦)『ロスト・シンボル』を読んだとき、わたしも思いました。こんなところに、こんなものがと。
(飯)たしかにあれは、ええっ、この人物がほんとに?って仰天しますよね。この目で確かめたくなる。


Q.学芸員として日々ミケランジェロに感嘆していますが、そのミケランジェロに、これが無ければ絵が描けなかったとまで言わしめた神曲の魅力をあらためて教えてください。
A.シェイクスピアに匹敵すると言われているんですが、それはなにより神曲が平易なわかりやすい言葉で書かれたことによります。一般大衆に広く読まれ、親しまれて、感銘を与えることができたんですね。


(浦)神曲トスカーナ地方の口語で書かれていると知ってびっくり。有名すぎるからか、もっと形式ばった言葉で書かれているかと勝手にイメージしてました。
(影)世界的な名作ですものね。ラテン語の流麗な文章だと思い込んでました。



by 関西読書会世話人ズ(飯干京子、浦野壽美子、影山みほ、小佐田愛子、吉井智津)


【下】(読書会編)につづく

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やさしいダンテ<神曲> (角川文庫)

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ロスト・シンボル (上) (角川文庫)

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ロスト・シンボル (中) (角川文庫)

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