「真夏の読書探偵」 最優秀作品賞 全文掲載 (後編)

 
 
 去る10月19日(金)に第3回「真夏の読書探偵」作文コンクールの最終審査結果を発表しましたが、きのうときょうに分けて、最優秀作品賞を受賞なさった3人のかたの作品全文を掲載します。
 後編では、2年連続で最優秀賞を受賞なさった小平采果さんの作品をご紹介します。


木下雄太さん(小1・東京都) 「あおい目のこねこ」
    お読みになった本――『あおい目のこねこ』 エゴン・マチーセン著、せたていじ訳、福音館書店


小平采果さん(小4・神奈川県) 「宇宙への秘密の鍵」
    お読みになった本――『宇宙への秘密の鍵』 ルーシー&スティーヴン・ホーキング著、さくまゆみこ訳、岩崎書店


山内優莉さん(小5・埼玉県) 「モーツァルトはおことわり」
    お読みになった本――モーツァルトはおことわり』 マイケル・モーパーゴ著、さくまゆみこ訳、岩崎書店

あおい目のこねこ (世界傑作童話シリーズ)

あおい目のこねこ (世界傑作童話シリーズ)

宇宙への秘密の鍵

宇宙への秘密の鍵

モーツァルトはおことわり

モーツァルトはおことわり

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【小平采果さんからの受賞コメント】
今年も最ゆうしゅう賞に選ばれるなんてゆめを見ているようでした。
この本を書くときに苦労した事は、本の内ようを理解する事でした。この本に書かれていた説明は私が思いえがいていた星のイメージとはちがっていたからです。だから、星のことを理かいするまでがとても大変でした。けれども、一度理かい出来ると星のイメージがどんどん変わってきました。
この本には続きがあります。続きを読むことを楽しみにしています。


太陽系の不思議と私
小平 采果


 私がこの本を読もうと思ったのは、母にすすめられたからだ。はじめはむずかしくてつまらなかったが、時間がある時読んでみた。すると、なんだか、楽しい。はじめて知った事や想ぞうしたことがたくさんあったからだ。そして、この本を読んで、私自身が変わったことと、変わらなかったことがある。私はときどきこの本をのぞいている。
 私がはじめに知った事は、月が夜空でかがやけるのは、太陽に照らされているからだということだ。私は、月は自分で光っていると思っていた。また、夜空に小さく光っている星が、こう星という太陽のような大きな星であることもわかった。星は、太陽や地球よりもずっと小さいと思っていたので、信じられなかった。そして、太陽系という、太陽に家族のような星があることを知った。
 私は地球が太陽の周いを回っていることは知っていたが、太陽系の絵を見て、本当のしくみがわかった。私が住んでいる地球も太陽の家族の一員だ。私は太陽系について学んだことを、「宇宙の星新聞」にまとめてみた。
 新聞を作っていて、不思議に思ったことがある。例えば、水星が熱い星である事と、火星が寒い星であることだ。水星は、しゃく熱の世界で、はい色の死の世界と言われている。水星の字には、「水」という漢字があるのにあついなんてへんだなあと思った。反対に、火星は、寒くてさばくのような星らしい。名前がまるであべこべだ。
 太陽系について調べていて、私はふと、「太陽って、パパににているなあ。」と思った。私の父も家族の中心にいて、いつも私をはげましてくれる。私は、太陽系を自分の家族で考えてみようとしたが、人数がたりなかったので、かわりに動物にあてはめてみた。
 まず、太陽はライオンだ。なぜなら、ライオンは、動物の王者で、たてがみが太陽のほのおとにているからだ。水星はイルカだ。水星という漢字からイメージして海に住む動物を選んだ。本当の水星はあつい星だけど、私のイメージは変わらない。金星はトラだ。トラには黒と黄色のしましまがある。黄色のしまが金色のようにキラキラしている。金星も漢字からのイメージだ。そして、地球は人間だ。私達が住んでいるわく星だからだ。火星はサル。水があり、地球とかんきょうがにていて、地表が、赤いからだ。しかも、サルは人間に近いし、サルの体は赤い。木星はゾウ。八このわく星の中で一番大きいからだ。わっかをもっている土星ラクダだ。土星のわっかはラクダの口わににているからだ。太陽から七番目の天王星ホッキョクグマだ。天王星は、私の中では白いイメージがある。それに、北きょくは地球のはしっこにあり天王星も太陽からはなれている。そして一番はずれにいるペンギンの海王星。ペンギンは南きょくに住んでいて、私たちの所から遠くはなれている。さらに、「海」という字から海の動物のペンギンがうかんだ。
 では、月はどうかな。月はわく星ではないけれど、地球にとって特別な星だ。日本では昔から、「月でうさぎがもちつきをしている。」という言い伝えがある。だから、やっぱり月はうさぎだ。
 このように太陽系をなにかにたとえるのはとても楽しい。私は花にもたとえてみた。太陽から順番に、ひなげし、オオイヌノフグリ、きんもくせい、青いバラ、ダリア、木の実、サボテン、シロツメクサ朝顔、そして、月はたんぽぽになった。今度は友達にたとえてみようかな。
 本を読み終って、わかったことが二つある。
 ひとつ目は、「変わったこと」だ。私の住所が長くなった。私の住所は、神奈川県からはじまっていたが、本当は、「宇宙太陽系地球日本神奈川県…」になる。私は、宇宙新聞の住所を新しい住所に書きかえておいた。
 ふたつ目は、「変わらなかったこと」だ。この本で学んだことはたくさんあったが、私が持っていた太陽や月や星に対するイメージは本を読んだあとも変わらなかった。月はやっぱり自分で光っていると思うし、水星は海に泳ぐイルカのようだし火星は赤くてあつい星のような気がする。
 私はいろいろなことを知ったのに、どうしてイメージが変わらないのかな。その理由は、分からない。
 

小平采果さんの去年の作品(ファーブル昆虫記)が掲載された記事はこちら

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 最終選考会は3人の選考委員のかた(写真左から川端裕人さん、ないとうふみこさん、羽田詩津子さん)によっておこなわれました。選考委員のみなさん、お忙しいなか、ていねいにコメントしてくださり、ありがとうございました。


 最優秀賞を受賞なさった3人のかたには賞状と図書カード5,000円ぶんを、優秀賞の3人のかたには賞状と図書カード1,000円ぶんを近日中にお送りします。
 また、今回応募してくださった全員に、予選委員からの個別コメントとともに、参加賞としてこのクリアファイルをお送りします。お楽しみに!


 作成は今年もデザイナーの村上武彦さんにお願いしました。ご協力ありがとうございました。