【読書探偵応援団】探偵は“本の置きBAR”にいる!? 〜「秋の読書探偵」を伝道してみた〜(執筆者・しねまる)

 
 さっそくタイトルで脱力した方、すみません。私、今回畏れ多くも「秋の読書探偵」に関してシンジケートのサイトに初寄稿することになりました。正直、事務局から依頼があったときは「文筆を生業とするお歴々の記事に拙文を並べるなんて滅相もない!」と恐縮したのですが、「プロフィールに自分のコラムのリンク入れていいよ」という殺し文句にあっさりやられちゃいまして……。そうそう、しねまるというこれまた脱力感たっぷりのネームは某所で執筆中の映画コラムにちなんだものですが、普段は翻訳教育の事務局で翻訳家志望の方をサポートしている仕事柄、出版翻訳についてもさまざまな講師(=翻訳家)からお話を聞ける立場にあるわけです。
 
 そんな私ですから翻訳書に世間の関心がもっと向いてほしいという並々ならぬ想いは常日頃から持っていまして、そこで目に留まったのが昨夏に続く作文コンクール第2弾「秋の読書探偵」でした。小中高生を対象に、読んだ翻訳書の作文を募る、という趣旨には大いに感銘を受けました。なぜって、多感で想像力たくましい年頃の子どもがもし素晴らしい翻訳書にめぐり逢えたら大人になってからの翻訳書との関わりにも大きく影響しうるし、それが出版業界にとっても望ましいことだからです。しかも課題図書はなし、作文の書き方も自由。学校や親の言いつけで本を読まされるのがイヤな子どもにもこういうコンクールの存在を知ってぜひ自主的にチャレンジしてもらいたい!という希望から、私は図書館や書店、つまり子どもが訪れそうな「本の置き場」に読書探偵フライヤーを置いてもらおうと思い立ちました。
 
 折しも先日の3連休(9/17〜19)、所用で都心や横浜方面に出るついでがあったので周辺の図書館と書店を回ることに。まず初日は港区立の図書館の全館制覇にのりだしました。残暑きびしいなか合計6館を回った結果、とりあえず各館にフライヤーを預け、設置スペースの空き状況しだいで検討してもらえることになりました。すぐ設置に至らないのは官公庁や自治体と関連のないフライヤーだったり休日は館長が不在だったりと諸々の理由があるのでしょうが、それでも話に耳を傾けフライヤーを受け取ってくれた館員の方には深謝。せっかくなので各館内を一巡すると、自分の子ども時代と変わらずどこも児童書やヤングアダルトの蔵書が充実していて、休日のためか親子連れや中高生の姿も目立ち、「おっ、ここから名探偵誕生の予感!」と勝手に胸が躍ります。
 
 図書館が閉まった夕方以降は、さらに周辺の書店を訪ねました。図書館と違い、書店は大型の所でもチラシを置けそうなスペースが少ないように感じましたが、それでも多くの書店ではとりあえず検討のためフライヤーを預かってくれ、中にはすぐに置かせてくれる店舗もわずかながら見つかりました。自分で自由に置いてよいと言われた店舗では、しっかりラックのど真ん中に居座らせてきましたとも!
 
 2日目以降は別の区の中央図書館をいくつか回りつつ、新たな書店に足を運ぶことに。図書館はどこも(預かってはくれるものの)「区の催しのチラシが優先でして……」と言われることが多いですね。こっちも思わず「ええと、さっき見たラックに空きがありましたが……」って言いそうになるんですけど(笑)。そして書店はというと、私が回った大都市圏の大型書店はだいたいが黙っていても売れそうな話題の国内小説を店頭に平積み(というより山積み)しているんですよね。休日だから店舗自体は賑わっているのに海外小説の売場はお客さんがまばらだし……。やっぱり未来の翻訳書を支える読書探偵を増殖させねばと、フライヤー設置の営業トーク(?)にもおのずと力が入ります。
 
 そんなこんなで「ふみ〜、不慣れな外回りをして足が、ふ、粉砕しそうだよ〜 略して3F」(←大げさ)となりながら、3日間で回った図書館と書店はのべ23ヵ所。時間が許せば100でも200でも回りたいところですが、せめて自分が依頼済みの場所の情報を共有できればとGoogleでマイマップを作ったところ、他所へ置きに行かれた方々が情報を追加してくださり、設置場所のアイコンが徐々に全国区へと広がりつつあります。私一人があげられる成果なんて微々たるもの。でも、ほかにもフライヤーをどこかに持っていってくださる方がどんどん増えれば、むしろそれが成果といえるのかな、と思うことにします。
 

より大きな地図で 「秋の読書探偵」フライヤー設置状況 を表示
 
 最後に、ここまで拙文におつきあいくださった、翻訳書好きまたは翻訳書に関わる大人のみなさんへ。もし馴染みの書店や図書館、子ども向けの施設などがあれば、読書探偵フライヤーを広めていただきたいです。たぶんその場所に縁のある方が頼めば置いてもらいやすいのではないでしょうか。そして子どものみなさんへ。いろんな翻訳書を手にとってみてください。私は小学生までは海外の物語を読みあさっていたものの、中高生のころはなぜか読書と疎遠になってしまった「反面教師」ですが、大人になってから読んだ本の中には「子どものころに読んでたら人生変わってたかも!」と思えるものが多々あります。そんな本にこれからリアルタイムで出会える君たちがうらやましい!
 
 さて、応募締切まで残すところ約1ヵ月。私は応募作にこそ目を通せないものの、腕利きの個性派探偵がどれだけ集うのか、楽しみでなりません。
 


しねまる 翻訳教育現場の片隅に身を置くしがないサラリーマン。本業の合間に「はっしゅ」名義で映画コラム「シネマ掘り出し市」、実務翻訳コラム「実務とれたて直送便」の執筆・編集も担当する。どのジャンルにおいても「B級モノ(またはそれ以下)」に食指が動きがち。最近はツイッター@cine_maru)のTLで読書家諸氏に触発され「本の虫」を目指そうと、まずは孵化にいそしむ日々。
 

◆秋の読書探偵フライヤー◆

 できるだけたくさんの人にコンクールのことを知ってもらいたくて、2種類のフライヤーを作成しました。ひとつめは応募のルールなどが記載された正式版で、「小学生の部」「中高生の部」共通です。もうひとつは、小学校低学年ぐらいの読み聞かせ会などで子供たちに直接渡すときのことを考えて、「ふりがな」つきの案内になっています。
 コンクールのことを広めてくださるかたは、以下からご自由にダウンロードして印刷してください。
 
画像クリックでPDFファイルを別窓でひらきます
 注:画像には画面での見やすさを考えてクリーム色の枠がありますが、PDFファイルにはこの枠はありません。
  
 
 ダウンロードはこちらからどうぞ(リンクをクリックするとファイル保存のダイアログボックスをひらきます)。
◆告知チラシ(要項あり).pdf  ◆告知チラシ(小学生版).pdf