創設一周年のご挨拶

 
 九月まで続いた地獄のような暑さもようやく治まり、急に秋めいて過ごしやすくなった今日この頃、みなさまにはご健勝のことと存じます。
 さて、早いもので、本サイトを立ち上げてから今日でちょうど一年が経ちました。
 その間、各方面から多くの方々の物心両面におけるご支援を賜り、当事務局のメイン・イヴェントである『翻訳ミステリー大賞』の選出、授賞式及びコンヴェンションを初め、トークショーや読書会といった催しも滞りなくおこなうことができました。
 大賞選定に投票してくださった翻訳者の方々、カンパをしてくださった方々、各種催しに参加してくださった方々、本サイトにヴォランティアで執筆してくださっている方々、本サイトを広く応援してくださっている方々に改めてお礼申しあげます。
 一方、さまざまなご意見もいただきました。
 そうしたご意見の中でなにより耳を傾けねばならないと思ったのは、やはり「翻訳ミステリー大賞」の趣旨――ひとつは本賞を翻訳者だけが選ぶ理由、もうひとつは、投票の結果とはいえ、選定した時点ですでに高い評価を得ていた作品に賞が与えられたことの意義――を問うものでした。
 ともにもっともなご指摘です。
 当事務局としてもこの点については、候補作の選出方法を工夫するなど、第二回以降、なんらかの対策を考えたいと思っております。
 そうした試行錯誤は今後も続きそうな気がしますが、とにかく何か行動を起こしたいという思いを同じくした有志が、正直なところ、えいやとばかりに始めた企画であります。今後とも率直なご意見、そして寛大なご理解をいただければ幸いです。
 一年が経ち、早くも次回候補作が話題になる季節となりました。
 投票者である翻訳者の方々はもとより、各方面のみなさま方の倍旧のご支援を賜り、少しずつでも「大きな」賞に育っていってくれればと願っております。
 今後ともご協力のほど、謹んでお願い申し上げます。
 
   ――『翻訳ミステリー大賞運営事務局』(文責・田口俊樹)