NY Timesベストセラー速報20170521(執筆者・青木創)

アメリカのベストセラー・ランキング
5月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)


1. 16TH SEDUCTION    New!
James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

16th Seduction: (Women’s Murder Club 16) (Women's Murder Club) (English Edition)

16th Seduction: (Women’s Murder Club 16) (Women's Murder Club) (English Edition)

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第16作。信じていた人物に裏切られ、心に深い傷を負ったリンジー・ボクサー。立ちなおろうともがいていたところへ、爆弾テロ事件が起こり、多数の死者が出る。リンジーは犯人の逮捕に成功するが、捜査の正当性に疑問を投げかけられてしまう。


2. INTO THE WATER    New!
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

Into the Water: The Sunday Times Bestseller

Into the Water: The Sunday Times Bestseller

イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。


3. AGAINST ALL ODDS    New!
Danielle Steel ダニエル・スティー

Against All Odds

Against All Odds

ケイト・マディソンは夫が不慮の死を遂げるという不幸に見舞われながらも、事業に成功し、4人の子供を立派に育てあげた。だが、子供たちは安定した人生を歩もうとせず、茨の道を選ぼうとする。子供を愛する母親として、ケイトには何ができるのか。


4. THE FIX    Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

The Fix (Amos Decker series Book 3) (English Edition)

The Fix (Amos Decker series Book 3) (English Edition)

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第3弾。FBI本部近くの路上で男が女を射殺し、直後に自殺する場面を目撃したデッカー。捜査に乗りだしたところ、国防情報局に手を引けと警告される。この事件の背後には重大な国家機密がかかわっているというのだが……


5. GOLDEN PREY    Down
John Sandford ジョン・サンドフォード

Golden Prey (A Prey Novel Book 27) (English Edition)

Golden Prey (A Prey Novel Book 27) (English Edition)

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第27作。米国連邦保安局へ移ったルーカスは強盗事件を手がけることに。犯人は麻薬カルテルを襲って売人4人を殺し、居合わせた幼い少女の命まで奪って、大金を持ち去っていた。金を取りもどそうと麻薬組織が追手を差し向けるなか、ルーカスはいち早く犯人にたどりつこうと捜査を急ぐ。


6. THE BROKEN ROAD    New!
Richard Paul Evans リチャード・ポール・エヴァンズ

The Broken Road: A Novel (The Broken Road Series)

The Broken Road: A Novel (The Broken Road Series)

チャールズ・ジェイムズは不幸な少年時代を送りながらも、野心をかなえ、富と名声を手に入れる。だが、崩れた道をあてどなく歩きつづけるという悪夢に悩まされ、自分が選んだはずの人生に疑問を持つようになる。『クリスマス・ボックス』の作者による、人生の再出発をテーマにした物語。


7. THE BLACK BOOK    Down
James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

The Black Book

The Black Book

痴情絡みと思しき事件現場で警官パティが目にしたのは、女2人の死体とともに全裸で血を流した双子の兄ビリーだった。ビリーは一命をとりとめるが、過去2週間の記憶がもどらない。実直な同僚警官でもある彼の汚名を濯ごうとするパティらの捜査線上に、シカゴの高級娼館と黒表紙のアドレス帳の存在が浮かびあがる。


8. ANYTHING IS POSSIBLE    Down
Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト

Anything Is Possible: A Novel (English Edition)

Anything Is Possible: A Novel (English Edition)

『オリーヴ・キタリッジの生活』でピュリッツァー賞を受賞した著者の6作目の小説。『私の名前はルーシー・バートン』のルーシーの故郷、イリノイ州の架空の町を舞台にした9つの作品からなる連作短篇。


9. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Down
Amor Towles エイモア・タウルズ

A Gentleman in Moscow

A Gentleman in Moscow

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。


10. BEARTOWN    Down
Fredrik Backman フレドリック・バックマン

Beartown: A Novel (English Edition)

Beartown: A Novel (English Edition)

雪と森に閉ざされたスウェーデンの小さな町ベアタウン。人口が減って廃れつつある町の唯一の自慢は、ジュニアのアイスホッケーチームで、人々はチームの活躍にすべての希望を託していた。ところが、町の日常を揺るがす事件が起こる。『幸せなひとりぼっち』で知られるスウェーデン人作家の最新刊。


【まとめ】
1位から3位までを新作が独占しました。1位のジェイムズ・パタースンとマクシーン・ペトロのコンビは相変わらずの人気を誇っています。昨年10月に出版された“WOMAN OF GOD”はスタンドアローンの作品でしたが、こちらは待望のシリーズ続篇です。2位のポーラ・ホーキンズは言わずと知れたロングセラー、“THE GIRL ON THE TRAIN”(邦題『ガール・オン・ザ・トレイン』)の著者。本欄では2015年1月からほぼ1年半にわたってランクインをつづけました。今度はどこまで伸びるのか、楽しみなところです。3位は常連のダニエル・スティールで、この新作は特に母親たちから共感を集めているようです。6位にも新作がランクインしました。リチャード・ポール・エヴァンズは久しぶりの登場となりましたが、本作は3部作の1作目となることが発表されています。


青木創(あおき はじめ)

先月、早川書房よりジェイン・ハーパー著『渇きと偽り』が刊行されました。そのほかの訳書に、E・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学』、D・ワッツ『偶然の科学』、D・ウィンズロウ『報復』(共訳)など。


Woman of God (English Edition)

Woman of God (English Edition)

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)

クリスマス・ボックス (講談社文庫)

クリスマス・ボックス (講談社文庫)

渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)

渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)

愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める

愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める

偶然の科学

偶然の科学

報復 (角川文庫)

報復 (角川文庫)