ジーヴス読書会&トークショー@大阪&京都 連続レポート【梅】 (執筆者・小佐田愛子)

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第1回京都読書会  7月21日(月)14時から 課題書『サンキュー、ジーヴス』


 お天気にも恵まれ、まずは四条烏丸にあるイタリア料理屋さんでランチ会。昨日から引き続いて参加の人も、読書会の常連さんも、初めての参加者も、打ち解けて和やかに歓談。なぜだか鹿の話で盛り上がってました。続いて蹴上にある会場に移動、緑豊かでいいところです。ゲストの森村さんを含めて参加者は20人、初参加者が6人、きょうは男性が3人。司会は昨日と同じく世話人Y。世話人Uの登場人物相関図が好評です。
   
        

 初参加の方には、ジーヴス大好きな方が目立ちます。いきおい感想も熱いです。
ツイッターで見ての初参加です。ウッドハウスの本は、本読みの友だちにはマンネリズムと言われるのですが、そこがいいんです。そこに一本筋が通った解決のロジックがあって、それが好きです」
「ご本人がいらっしゃることを知らなくて、緊張しています。読書会も初めてで何をしゃべればいいのか」
「翻訳物を読むのが好きですが、ミステリーはあまり読まないんです。今回ジーヴスがミステリーというのでびっくり。(いえ、ユーモア文学ですが、ミステリー的な読み方もできるかなと……)文芸好きのあいだでは、訳がおもしろいとジーヴスはすごく評判になっていました。長年のファンで、印象的なフレーズもたくさんあって、大好きです」
「2005年に発売されてから、7年かけ、シリーズは全部読みました。いつもバーティがえらい目にあうんですが、あまりにかわいそうと思っていたら、この本の最後のほうでやっと認められて、誉めてもらえて、読んでいるほうも嬉しくなりました」
ジーヴスの真意が、どこからどこまでなのかわからなくなって。ミステリー的な読み方というか、きょうはそこが聞きたいと思ってきました」(ミステリー的な読み方は……あまりなかったでしょうか、すみません)
「うちわやら、お菓子やら、プレゼントやらもらって、いい読書会だなと」(昼間の読書会はいつもお菓子を用意しますので、またどうぞ)「3、4日のことがこんなに長くて。出てくる人がみな当事者意識がなくて、他人事みたいで、ドタバタ続き。でも笑わせてもらいました」


もちろん、常連さんだって負けてはいません。今回初めてジーヴス・シリーズに挑戦した方も多かったようです。
「おもしろいものを見つけました。この先楽しめそう」
ジーヴスの台詞まわしが、バカ丁寧で、慇懃無礼でおもしろかった」
「落語を聞いてるみたい。言葉もおもしろくて〝激蹴〟とか、原文はどうやったんやろう」(「そのままですよ、書いてあるとおりに訳すのがモットーですから」、と森村さん)
「この台詞を、堺雅人さんとかに立て板に水の口調でしゃべってほしい」
「日本の執事ものって、この本がモデルになっているのかな」
「今読んでいる、ひりひりする本と同時進行で読むとほっとできていいみたい」


 きのうの課題書は短編集でしたが、きょうのは長編です。
「長編はしょうもなさが凝縮して、楽しくていとおしい」
「パターンをとりまぜてたくさん入れられるので、さてどう料理するのか楽しませてもらいました」
「この本は最後の一行『滅相もないことでございます、ご主人様』に集約されていて、もうそこでほろりとしました」
「ジャンルも時代もこえ、通じるものがありますよね」


 熱くなったところで、森村さんが
「イギリス理解に通じるかな? でも、イギリスの空港で背の高い人が格好よく歩いているのを見て、この人たちもウッドハウスを読んで笑うのかなと思うと、親しみが湧きますよね。日本ではウッドハウスを知らない人が多いわけですが、ウッドハウスをいかに世に広めるかがわたしの使命だと思っています」(やっぱり熱いです)


 今回舞台で演じられているミュージカルは、作曲はアンドリュー・ロイド=ウェーバーが手がけ(でも初演はこけたそうです)、脚本はオリジナル脚本なのですが、パンジョレレの挿話は今回の課題書から来ているらしいです。
「へたなパンジョレレというのがキモなんです。舞台ではバーティにパンジョレレを弾かせないように回りが苦労してドタバタがあるんです」
「ああ、ドラえもんジャイアンのコンサートとか、落語の『寝床』といっしょですね」


 年代についての疑問が昨日もあがってましたが、
ウッドハウスは長い時間かかってシリーズを書いています。最初は短編を書いていました。1915年から、1930年頃まで。このあたりは書かれた時代が作品の時代になります。やがて長編に移るのですが、長編になると時代が固定されます。時代・風俗は当時のものが偶に入りますが、登場人物は歳をとらず、パラレルワールド的に30年代にとどまります。これはイギリスの社会制度が大戦を境に大きく変わり、バーティのような人が生きていられなくなったからです」
ウッドハウス自身はどんな階級の出身ですか?」
「アッパーミドルですね。実学向きの勉強をして、法律家や医者になる。上流階級は仕事につかないわけですから」
「上流階級の人々が羨ましかったのでしょうか? 愚かに書いていても、愛情を持って書いている気がします」
「羨ましくもあり腹立たしくもあったのでしょう。上流階級の悲哀もしっかり書いてあります。チャッフィーなんかはそうですよね。田舎の領主で、金策が苦しくても、土地に縛りつけられている」
そのあと、チャッフィーが治安判事だった件に話が及び、ミステリー読書会らしい話題が広がります。


 森村さん自身、今回の再読時に、いくつか新しい発見があったそうです。「頭のくるくるしたアヒルちゃんみたいな可愛らしさ」といった表現に改めて、そうバーティのイメージってアヒルだよねと思ったり、ヘンリー叔父さんは豚も飼っていたことが判明したり。ジーヴス・ファンの参加者が、身体の具合の悪いとき、気分が落ちこんだときに読むと話していたのもうなずけます。


 楽しい時間はあっという間に過ぎ、ぜひ第2回のジーヴス読書会をやりましょうと、一同誓いながら解散。


 新幹線にて戻られる森村さん、京都駅まで重い荷物を持ってくださったメンバーのGさんに、ジーヴスの面影を重ねて感謝された由。「サンキュー、Gさん」(すみません、荷物を京都駅のコインロッカーに入れるようにアドバイスすべきでした……)


(小佐田愛子)