東京創元社 6月の新刊 

『犯罪』/Verbrechen
フェルディナント・フォン・シーラッハ(Ferdinand von Schirach)/酒寄進一・訳
東京創元社(単行本)/ 定価1890円(税込)/6月11日/ISBN: 978-4-488-01336-3
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした心やさしき銀行強盗。魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描く連作短篇集。文学賞三冠獲得、四十五万部刊行の欧米読書界を驚嘆せしめた傑作!

収録作品:「フェーナー氏」「タナタ氏の茶碗」「チェロ」「ハリネズミ」「幸運」「サマータイム」「正当防衛」「緑」「棘」「愛情」「エチオピアの男」

犯罪

犯罪


『暗い鏡の中に』/Through a Glass, Darkly
ヘレン・マクロイ(Helen McCloy)/駒月雅子・訳
創元推理文庫/定価945円(税込)/6月21日/ISBN:978-4-488-16807-0
ブレアトン女子学院に勤めてまだ五週間にしかならない女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。彼女への仕打ちに憤慨した同僚ギゼラと、その恋人の精神科医ウィリング博士が関係者を問いただして明らかになったその“原因”は、想像を絶するものだった。博士は困惑しながらも謎の解明に挑むが、その矢先に学院で死者が出てしまう……。幻のように美しく不可解な謎をはらむ、著者の最高傑作。解説=千街晶之

暗い鏡の中に (創元推理文庫)

暗い鏡の中に (創元推理文庫)


『フレンチ警視最初の事件』/Silence for the Murderer
F・W・クロフツ(Freeman Wills Crofts)/霜島義明・訳
創元推理文庫/定価1029円(税込)/6月29日/ISBN:978-4-488-22205-5
リデル弁護士はダルシー・ヒースの奇妙な依頼を反芻していた。裕福な老紳士が亡くなり自殺と評決された後に他殺と判明して真相が解明される、そんな推理小説を書きたい。犯人が仕掛けたトリックを考えてくれという依頼だ。何だかおかしい、本当に小説を書くのが目的なのか。リデルはミス・ヒースを調べさせ、ついにはスコットランドヤードのフレンチ警視に自分の憂慮を打ち明ける。サー・ローランド事件の再捜査が始まると、検視審問の評決が覆り……。解説=小山正/クロフツ作品リスト=戸川安宣

フレンチ警視最初の事件 (創元推理文庫)

フレンチ警視最初の事件 (創元推理文庫)


『今をたよりに』/Who's Sorry Now?
ジル・チャーチル(Jill Churchill)/戸田早紀・訳
創元推理文庫/定価819円(税込)/6月29日/ISBN:978-4-488-27517-4
ナチスの脅威が伝わってきつつある四月。ブルースター兄妹の兄ロバートは、ふとしたことから町の郵便事情に問題があることを知り、事態の改善に乗り出す。一方で、ドイツから引き揚げてきた仕立屋の店先に鉤十字が描かれる事件が発生。さらに、兄妹たちが暮らす屋敷の庭から白骨が見つかり、人畜無害な駅のポーターが殺される。ロバートは妹リリーやウォーカー警察署長と協力し、これらの事件にも関わることに……。好評シリーズ第6弾。

今をたよりに (創元推理文庫)

今をたよりに (創元推理文庫)


『キリストのクローン/真実』/Birth of an Age
ジェイムズ・ボーセニュー(James Beauseigneur)/田辺千幸・訳
創元推理文庫/定価1050円(税込)/6月29日/ISBN:978-4-488-55205-3
国連での地歩を固めたキリストのクローン、クリストファー。だが折も折、地球へ接近しつつある三個の小惑星が発見された。そのひとつが地球に衝突する軌道をとっているという。やがて全世界を覆う、まさに「ヨハネの黙示録」の実現たる災厄。クリストファーの口から語られる、旧約聖書に秘められた恐るべき真実。そして彼は、人類の運命について語りはじめた……。圧巻の第二部! 解説=霜月蒼

キリストのクローン/真実 (創元推理文庫)

キリストのクローン/真実 (創元推理文庫)


シャーロック・ホームズの誤謬』/L'affaire du chien des Baskerville
ピエール・バイヤール(Pierre Bayard)/平岡敦・訳
キイ・ライブラリー(単行本)/定価2100円(税込)/6月29日/ISBN:978-4-488-01532-9
ホームズは間違っていた!『アクロイドを殺したのはだれか』で、エルキュール・ポワロの推理に異を唱え、『アクロイド殺害事件』の真犯人を暴き出した《推理批評》家バイヤールが、今回はシャーロック・ホームズに挑戦した。シリーズ中の代表的長編『バスカヴィル家の犬』におけるホームズ推理の疑問点、矛盾点を指摘し、事件の真相に迫るのみならず、探偵と作家の関係を分析するという知的スリルに満ちた現代文学批評の傑作。

シャーロック・ホームズの誤謬 (『バスカヴィル家の犬』再考) (キイ・ライブラリー)

シャーロック・ホームズの誤謬 (『バスカヴィル家の犬』再考) (キイ・ライブラリー)