集英社文庫10月の新刊

 
クッキング・ママのダイエット/Fatally Flaky
ダイアン・デヴィッドソン(Diane Davidson)著/加藤洋子訳
集英社文庫/定価:860円(税込)/発売日:2010年10月20日
ISBN:9784087606133
 

クッキング・ママのダイエット (クッキング・ママ) (集英社文庫)

クッキング・ママのダイエット (クッキング・ママ) (集英社文庫)

 
わがままな花嫁のウェディング・パーティ。
〓せたい願望につけいるダイエット・スパ。
ケータリング探偵ゴルディは恩人の仇を取れるのか!?
 
 ケータリング業を営むゴルディにとって、天敵とも言える存在“ビック2”といえば、①超わがままな花嫁(ウェディング・パーティのメニューや招待客人数をころころ変える)②ダイエット志願の女性(美味しいものとカロリー数減は必ずしも共存できない)――。よりにもよってこの二つが登場する『クッキング・ママのダイエット』。ゴルディの“頭を抱える度”はシリーズ中、最大かもしれません。
 
 これだけでも物語のカオスぶりが想像できるのに、さら今回は町の元名医フィンが殺され、さらにはゴルディの名付け親ジャックも襲われ……。フィンが生前、様子を探っていたという「ゴールド・ガウチ・スパ」。ダイエット願望を抱いた女性らが群がるこのスパには、どうにも胡散臭い雰囲気が漂います。意を決したゴルディは、スパの料理人に休暇をとってもらい、自分が臨時シェフとして乗り込んでいくのですが……。
 
『クッキング・ママ』シリーズの日本版第1作の刊行は1994年。本作で15作目となる長寿シリーズを支えるのは、ヒロイン・ゴルディの人間観察眼と料理の腕(と、もちろん読者のみなさま)。周囲の人の行動や噂話をあれこれ考察、推理しながら、パパパッとクッキーやらサラダやらを仕上げていく姿には、読者も心地よい達成感を得られるから不思議です。事件の推理を編み上げていくのと、料理を作り上げていくのは、意外と似ている作業なのかもしれません。
 
 ちなみに3年前にシリーズ全巻のカバーを改装以来、カバーを飾るのは本編中に出てくるレシピを、実際にフードスタイリストの星谷菜々さんに料理してもらったもの。撮影後に試食をするのですが、これが意外と(!)イケるんです。作者のダイアン・デヴィッドソン自身、料理好きときいて納得。一冊でミステリーの謎解きと料理のレシピが楽しめる、人気の長寿シリーズ最新刊を、ぜひお試しあれ!
 
クッキング・ママのクリスマス (クッキング・ママ) (集英社文庫)

クッキング・ママのクリスマス (クッキング・ママ) (集英社文庫)

クッキング・ママの遺言書 (クッキング・ママ) (集英社文庫)

クッキング・ママの遺言書 (クッキング・ママ) (集英社文庫)

クッキング・ママの鎮魂歌 (集英社文庫)

クッキング・ママの鎮魂歌 (集英社文庫)