NY Timesベストセラー速報20170709(執筆者・国弘喜美代)

アメリカのベストセラー・ランキング
7月9日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)


1. CAMINO ISLAND    Stay
John Grisham ジョン・グリシャム

Camino Island

Camino Island

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。


2. THE SILENT CORNER    New!
Dean Koontz ディーン・クーンツ

The Silent Corner

The Silent Corner

FBI捜査官ジェイン・ホークは夫の自死を不審に思い、理由を突き止めようとする。大きな力を持つ何者かが秘密を守るべく迫りくるなか、ジェインはひそかに真相へと近づく。強さとやさしさを備えた魅力的なヒロインの活躍する新シリーズの第1作。


3. THE IDENTICALS    Down
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

The Identicals: A Novel (English Edition)

The Identicals: A Novel (English Edition)

恋も仕事も長つづきしない気まぐれなハーパー。完璧主義でやかまし屋のタビサ。両親の離婚後、長年のあいだナンタケット島とマーサズ・ヴィニヤード島に別れて暮らしてきた双子の姉妹は、行きづまった人生を立て直そうと、互いの家を交換することに決める。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。


4. INTO THE WATER    Stay
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

Into the Water: The Sunday Times Bestseller

Into the Water: The Sunday Times Bestseller

イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。


5. DANGEROUS MINDS    New!
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

Dangerous Minds

Dangerous Minds

ハーバード卒のテキサス娘、ライリー・ムーンと大富豪エマーソン・ナイトのシリーズ第2作。島が消えた――僧侶の不可解な訴えを受け、謎解き好きのエマーソンは、ライリーといとこのヴァーノンとともに調査に乗りだす。やがて国立公園局の関与が明らかになる。


6. TOM CLANCY: POINT OF CONTACT     Down
Mike Maden マイク・メイデン

Tom Clancy Point of Contact (A Jack Ryan Jr. Novel Book 3) (English Edition)

Tom Clancy Point of Contact (A Jack Ryan Jr. Novel Book 3) (English Edition)

ジャック・ライアン・ジュニアを主人公としたスリラー第3作。ジャックの所属する“ザ・キャンパス”ことヘンドリー・アソシエイツ社は、軍需企業社長をつとめる元上院議員から依頼を受ける。表向きは買収を検討中のシンガポール企業の財務調査だったが、ジャックとともに財務アナリストとしてシンガポールへ飛んだ元CIA職員のブラウンは、ある密命を帯びていた。


7. KISS CARLO     New!
Adriana Trigiani アドリアナ・トリジアーニ

Kiss Carlo

Kiss Carlo

1949年フィラデルフィア、ニッキーは幼いころに両親を亡くし、いまはおじのマイクが経営するタクシー会社で運転手として働いている。婚約者もいて暮らしも安定しているが、ニッキーには舞台俳優になりたいという夢があった。反目し合うマイクとドミニク兄弟、劇場を父親から受け継いだカラなど、イタリア系アメリカ人のふたつの家族が描かれる。


8. DRAGON TEETH    Down
Michael Crichton マイクル・クライトン

Dragon Teeth

Dragon Teeth

1876年、未開の西部へと気軽な探検に繰り出したエール大の学生ウィリアムは、2人の古生物学者マーシュとコープによる「骨戦争」こと恐竜化石発掘の熾烈な競争に巻き込まれる。2008年に急死した著者による未発表作品で、綿密に描かれた史実の枠に『ジュラシック・パーク』を彷彿させる豊かな想像力を嵌め込んだ冒険フィクション。


9. COME SUNDOWN    Down
Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

Come Sundown: A Novel (English Edition)

Come Sundown: A Novel (English Edition)

ボディーンはモンタナ州で、家族4世代でリゾート施設を備えた牧場を経営している。ある夜、家出したと聞かされていたおばのアリスが、牧場の近くで惨殺死体となって発見される。じつはアリスは家出をしたあと何者かに誘拐されており、その家から逃げ出していたのだった。この事件をきっかけに、ボディーンと彼女の家族の絆が試されることになる。


10. THE FORCE     New!
Don Winslow ドン・ウィンズロウ

The Force

The Force

ニューヨーク市警で精鋭チームを率いるデニー・マローンは、麻薬と暴力がはびこり、人種間の争いが絶えない街を18年守ってきたタフな警察官で、“マンハッタンノースのキング”とも呼ばれている。だが、その道に通じたすえにみずから薬に手を出し、賄賂を受け取るようになり、ついにはヘロイン密輸に絡む大金を手にする。映画化が予定されているクライムノベル。


【まとめ】
グリシャムが3週つづけて1位をキープしています。初登場の作品は4つ。2位のディーン・クーンツの新シリーズは、ホラーや超常現象の要素のないミステリだと著者が語っています。7位のアドリアナ・トリジアーニはイタリア系アメリカ人の人気作家。日本に紹介されている小説は『愛するということ』(ヴィレッジブックス)だけですが、映画の脚本なども手がけ、《ビッグストーン・ギャップ》では監督と脚本を担当しています。10位のウィンズロウ“THE FORCE”は映画化が予定され、現在公開中の《LOGAN/ローガン》を撮ったマンゴールドが監督をつとめるようです。ベストテン外では、12位にメアリー・アリス・モンローのビーチハウス・シリーズ第4作“BEACH HOUSE FOR RENT”がはいっています。


国弘喜美代(くにひろ きみよ)

東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。訳書は『スパイの血脈――父子はなぜアメリカを売ったのか?』など。


愛するということ 上 (ヴィレッジブックス)

愛するということ 上 (ヴィレッジブックス)

愛するということ 下 (ヴィレッジブックス)

愛するということ 下 (ヴィレッジブックス)

Beach House for Rent (The Beach House Book 4) (English Edition)

Beach House for Rent (The Beach House Book 4) (English Edition)

スパイの血脈――父子はなぜアメリカを売ったのか?

スパイの血脈――父子はなぜアメリカを売ったのか?