【毎月更新】クラシック・ミステリ玉手箱

そんなものこっちに向けないで〜『チャーリー・モルデカイ1』『2』他(執筆者:ストラングル・成田)

チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)作者: キリル・ボンフィリオリ,三角和代出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/12/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見るチャーリー・モルデカイ (2) 閣下のスパイ教育 …

いま積んではいけない〜デュ・モーリア『いま見てはいけない』他(執筆者:ストラングル・成田)

今年もクリスマスソングが聞こえる季節。各種ミステリランキングが発表されているが、本欄で紹介したクラシック作品も健闘している。今年は、質・量ともにクラシックミステリが充実した一年だったといえそうだ。 いま見てはいけない (デュ・モーリア傑作集) …

ストレンジウェイズ・シリーズ完結!〜ブレイク『死の翌朝』ほか(執筆者:ストラングル・成田)

今回は、バラエティに富んだ英国のクラシック新刊が4冊。 死の翌朝 (論創海外ミステリ)作者: ニコラスブレイク,Nicholas Blake,熊木信太郎出版社/メーカー: 論創社発売日: 2014/11/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 論創海外ミステリで…

反ミステリの翼に乗って〜レルニット=ホレーニア『両シチリア連隊』ほか(執筆者:ストラングル・成田)

今回、紹介するのは、米・英に加えて、イタリア、オーストリアの作品の4冊。現代ミステリと同様に、クラシック発掘の試みもグローバルなものになり、思いもよらなかった謎とロマンの世界が拓かれていくようだ。 黒い蘭―ネロ・ウルフの事件簿 (論創海外ミス…

全米最高魔女決定戦〜マクロイ『逃げる幻』ミラー『悪意の糸』ほか(執筆者:ストラングル・成田)

「現代における数少ない本物の魔女の一人」 評論家アントニー・バウチャーがミステリ作家シャーロット・アームストロングを評した言葉として有名だが、魔女と呼ぶにふさわしい作家は、ミステリ界にまだいる、ということの裏返しでもある。 8月は、アメリカ…

夏だ、大自然だ、ガーヴだ〜ガーヴ『運河の追跡』パーマー『五枚目のエース』(執筆者:ストラングル・成田)

運河の追跡 (論創海外ミステリ)作者: アンドリュウガーヴ,Andrew Garve,菱山美穂出版社/メーカー: 論創社発売日: 2014/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ガーヴには夏が似合う、と勝手に思っている。大自然を舞台にした長編が多く、後味…

ノスタルジックな銀幕の方へ〜パーマー&ライス『被告人、ウィザーズ&マローン』ほか(執筆者:ストラングル・成田)

往年の銀幕時代。映写幕に銀皮膜を塗られたスクリーンからは、今とは比べ物にならない美しい光芒が投じられたそうだ。今回紹介する本は、ミステリの範疇にあっても、コメディ、ロマン、冒険、恐怖とジャンルは多様、なぜか映画に縁がある作家の作品が揃った…

過去が追いつめる〜クェンティン『女郎蜘蛛』バルバラ『赤い橋の殺人』(執筆者:ストラングル・成田)

女郎蜘蛛 (創元推理文庫)作者: パトリック・クェンティン,白須清美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/05/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見る 東京創元社創立60周年(祝!)記念新訳として、復刊されたのが、パトリック・クェンティン…

花咲く季節のフルハウス〜P・マクドナルド『狂った殺人』他4冊(執筆者:ストラングル・成田)

このところ、クラシック・ミステリの刊行ペースが上がってきており、まるで、ミステリの地下迷宮から続々と「珠」が放たれるような状態になってきている。今回は、いつもの倍のスペースをいただき、最近、「論創ミステリ」として刊行された三つの長編と、二…

盤面の不敵〜アントニイ・バークリー『服用禁止』(執筆者:ストラングル・成田)

服用禁止 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)作者: アントニイバークリー,Anthony Berkeley,白須清美出版社/メーカー: 原書房発売日: 2014/03/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 原書房ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ約3年半ぶりの…

隅の老人とは誰か?〜バロネス・オルツィ『隅の老人【完全版】』(執筆者:ストラングル・成田)

隅の老人【完全版】作者: バロネス・オルツィ,平山雄一出版社/メーカー: 作品社発売日: 2014/01/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る A・B・C喫茶店の片隅に座りながら難事件を次々と解決していく「隅の老人」。ホームズのライヴァルた…

ゴシックの地雷原を行く〜クリスチアナ・ブランド『領主館の花嫁たち』(執筆者:ストラングル・成田)

領主館の花嫁たち作者: クリスチアナ・ブランド,猪俣美江子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/01/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る クリスチアナ・ブランドといえば、海外本格ミステリファンにとっては、まさに超一流ブランド。…

香り豊かな虚実のブレンド〜リリアン・デ・ラ・トーレ『探偵サミュエル・ジョンソン博士』(執筆者:ストラングル・成田)

探偵サミュエル・ジョンソン博士 (論創海外ミステリ)作者: リリアンデ・ラ・トーレ,Lillian de la Torre,中川みほ子出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 歴史上の人物を名探偵として活躍させる−和洋問…

好きにならずにいられない〜小鷹信光編『ジャック・リッチーのあの手この手』(執筆者:ストラングル・成田)

ジャック・リッチーのあの手この手 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: ジャック・リッチー,小鷹信光出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/11/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (20件) を見る 今年、創刊60周年を迎えた、通称ポケミスこと、ハヤ…

二重のアクロバット〜アンドリュウ・ガーヴ『殺人者の湿地』(執筆者:ストラングル・成田)

殺人者の湿地 (論創海外ミステリ)作者: アンドリュウガーヴ,Andrew Garve,水野恵出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 論創海外ミステリがまたやってくれた。アンドリュウ・ガーヴの実に42年ぶり!の邦…

侵入者ボーモント〜チャールズ・ボーモント『予期せぬ結末2 トロイメライ』(執筆者:ストラングル・成田)

予期せぬ結末2 トロイメライ (扶桑社ミステリー)作者: チャールズ・ボーモント,井上雅彦,深町眞理子,宮脇孝雄,村上博基,矢野浩三郎,伊藤典夫,植草昌実出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2013/09/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (11件) を見る 早川書房…

ミステロイドがミステリになるとき〜ロブ=グリエ『消しゴム』(執筆者:ストラングル・成田)

消しゴム (光文社古典新訳文庫)作者: アランロブ=グリエ,Alain Robbe‐Grillet,中条省平出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/08/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (11件) を見る 帯に曰く、「世界を震撼させた〈ヌーヴォー・ロマン〉の嚆矢、ついに新訳…

映画史を変えたかもしれない一冊〜ブレイク『短刀を忍ばせ微笑む者』(執筆者:ストラングル・成田)

短刀を忍ばせ微笑む者 (論創海外ミステリ)作者: ニコラスブレイク,Nicholas Blake,井伊順彦出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ひょっとして、この作品が映画化されていれば、映画史は大きく変わった…

懐かしいときめき〜アフォード『百年祭の殺人』(執筆者:ストラングル・成田)

百年祭の殺人 (論創海外ミステリ)作者: マックスアフォード,定木大介出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/05/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 面白い探偵小説には、結末が近づくにつれ、「真相を早く知りたい」という気持ちと「まだ結…

ロンドンの闇、ウィーンの夕映え〜ローマー『骨董屋探偵の事件簿』グロラー『探偵ダゴベルトの功績と冒険』(執筆者:ストラングル・成田)

思わぬ同時多発現象になったが、前回に続いて、『クイーンの定員』関連の新刊2冊を紹介する。いずれも、20世紀初頭、ホームズ譚の影響を受けつつ、それに対抗するように創造された個性派アマチュア探偵が登場する短編集だ。 骨董屋探偵の事件簿 (創元推理文…

未知なる物語との刹那の出逢い〜クリスピン『列車に御用心』ホワイトチャーチ『ソープ・ヘイズルの事件簿』(執筆者:ストラングル・成田)

嬉しいことに、ミステリ史上の重要な短編集をクイーンが選定した「クイーンの定員」短編集の翻訳が相次いでいる。今回は、論創海外ミステリから続けて刊行された二冊を紹介する。 列車に御用心 (論創海外ミステリ)作者: エドマンドクリスピン,Edmund Crispin…

パズル――誰のための? パトリック・クェンティン『人形パズル』(執筆者 ストラングル・成田)

人形パズル (創元推理文庫)作者: パトリック・クェンティン,白須清美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/03/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (11件) を見る クラシック・ミステリの翻訳・刊行が途切れることなく続いている。新刊・復刊のクラシ…